包丁で手を切ったら、包丁に薬を塗る?
統計の話?
「こんにちは。藤村としゆきです」
「今日の相方の、マサオです」
「マサオくん、刃物でケガをしたら、どうする?」
「は? 応急処置するに決まってるでしょ。そのあと、衛生兵に診てもらって……」
「衛生兵なんてその辺にいないから。で、応急処置ってどうやるの?」
「まずきれいな水で傷口を洗い、清潔な布で止血をしますね。縛り方はいろいろありますが……」
「薬は塗らないの? マサオくん」
「最近では、清潔な水で洗えば、薬を塗る必要はないとされてますね」
「いや、そうじゃなくて、どこに塗るのかな、って言ってるんだよ」
「は? なに言ってるんですか、としゆきさん。傷口に塗るに決まってるでしょう」
「そうだよね。でもね、昔は、そういう考えじゃなかったんだ。中世のヨーロッパね」
「それって、『なろう』で人気の時代じゃないですか」
「なろうで人気の時代だね」
「なんで人気なんですか?」
◆ ◆ ◆ (`・ω・)_旦~~
「マサオくん。それより、中世ヨーロッパでは、薬をどうしてたか、だよ」
「そうでしたね。どこに塗るんですか?」
「うん。たとえば剣で切られてケガしたとするよね?」
「はい」
「なら、その剣に薬を塗るんだよ」
「は? 昔の人って、アホなんですか?」
「それじゃ治らないと思う?」
「当たり前じゃないですか。戦場をナメてるんですか」
「これはね、ちゃんと科学的なアプローチをしたんだ」
「どこがですか?」
「傷口に塗るのと、武器に塗るのと、両方のグループに分けたんだ」
「なるほど。でも、結果は明らかですよね」
「で、結果はね。武器に薬を塗ったほうが、兵士の傷の治りが良かったんだよ」
「はあ? としゆきさん、嘘つくのやめてもらっていいですか?」
「それがホントなんだよね」
「ありえないですよ」
「実はね、当時の塗り薬って、汚物やらなんやら、わけの分からないものを混ぜ合わせたもので、かなり不潔だったんだ」
「それじゃ、よけいに悪化するじゃないですか」
「そうなんだ。だから、武器に薬を塗って、傷口を放置したほうが、治りやすかったんだよ」
「はえ~。なるほど」
「でもさ、この理論で面白いのはさ」
「何がです?」
「統計的に正しいからといって、理論が正しいとは限らない、ってことなんだよね」
「そんなもんですかね。それにしても、当時の戦いって過酷だったんでしょうね」
「戦争はいつの時代も過酷だよ」
「そうですか? 聞いたところによると、現在はエアコン完備の部屋から、ドローンを操作してるらしいですよ?」
「そうなの? それはそれで怖いね」
「としゆきさんも、いっぺん戦場に来てみます?」
「……それは堪忍(泣)」
今回の相方は『朝、起きたら戦場だった』https://ncode.syosetu.com/n8204lf/から。
ちなみに、『武器軟膏』は17世紀の近世です。




