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消えた時間の街  作者: わど
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消えた時間の街: 再び開かれた扉

再びシヅカ町へ足を踏み入れたユミは、前回と同じように静寂に包まれた町の風景を目にしました。石畳の通り、静かな広場、動かない時間。けれど、今回の訪問には以前とは違う感覚がありました。何かが彼女を待っている――そんな予感が、胸の奥で強く響いていました。


時計屋の店は相変わらずそこにありました。中に入ると、店主は前回と同じ場所で古びた時計を修理していました。しかし、今回は彼女が店に入るなり、店主は顔を上げて不思議な微笑を浮かべました。


「戻ってきたね。君がもう一度来ることはわかっていたよ。」


「どうして…私は何かしなければならないんですか?」ユミは尋ねました。


店主は静かにうなずき、奥の棚から別の時計を取り出しました。驚いたことに、その時計には今度は「シヅカ町」と刻まれていました。前回の時計にはユミの名前が刻まれていたのに、今回は町そのものの名前が刻まれていたのです。


「この時計は、町そのものの時間を表している。君は前回、自分の時間を取り戻した。でもこの町は、まだ時間の中で迷っている。君に託すのは、この町の運命だ。」


店主は、時計をユミに手渡し、じっと彼女を見つめました。


「君が選ぶんだ。この町を、時間のない場所から解放するか、それとも永遠にこの状態を保ち続けるか。選択は君にかかっている。」


ユミは時計を手に取り、しばらく考えました。この静かな町に住む人々の姿が脳裏に浮かびました。彼らは幸せそうに見えたが、永遠に同じ時間の中で生き続けることが本当に幸せなのかどうか、彼女にはわからなかった。


「どうして私にこの選択が?」とユミが聞くと、店主は答えました。


「君は、外の世界とこの町の両方を知っている。君はこの町に影響を与える特別な存在なんだ。外の時間を知る者だけが、この時計を動かせる。」


ユミは深呼吸をし、時計を見つめました。この町を解放するなら、彼らは元の時間に戻り、外の世界に触れることになる。しかし、それは彼らにとって新しい世界であり、不確かな未来を意味していた。一方で、このまま放っておけば、彼らは変わることなく同じ日々を永遠に過ごすことになる。


ユミはゆっくりと決断し、時計の針を動かし始めました。カチ、カチ、カチ――音が響き渡り、時計が再び動き出しました。


すると、町全体が再び揺れ、今度は強烈な光が広がりました。ユミは目を閉じ、まばゆい光に包まれる中で、町の人々の笑顔が心に浮かびました。


目を開けると、彼女は再び都会の自分の部屋に戻っていました。時計は、もう動いていません。あの静かな町がどうなったのか、彼女にはわかりませんでした。しかし、ふと窓の外を見ると、遠くにシヅカ町のシルエットがぼんやりと見える気がしました。


それは、静かで美しい記憶の中に残る町。ユミはその姿を見ながら、心の中で微笑みました。彼女は自分が正しい選択をしたと感じていました。


その後、彼女の手元に残った懐中時計は、もうカチカチと音を立てることはなくなりましたが、いつでもその町の静けさを思い出させる、彼女の大切な宝物となりました。


この続編では、ユミがシヅカ町の運命を選択する瞬間を描きました。彼女が再び町を訪れ、時間の謎を解くことで、町も彼女自身も変化を迎えるというお話です。いかがでしたか?

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