2、朝からハンバーグ……
みんなに言いたい事がある。
俺、転生した。
今世での記憶はハンバーグを食べているうちに少しずつ思い出してきた。
俺はリコルド家公爵の長男、ルーク・リコルドとして生まれたらしい。
「どうしたんだ、ルーク!?」
紺色の髪に赤目の男性、父である。その父がなりふり構わず、俺に飛びついてきた。イケメンなのに、できる大人って感じなのになんか残念……。
「昨日無理しすぎたのが原因なんじゃないかしら?」
銀髪に金色の眼のこの女性、母である。めっちゃ美人。そして優しい。まさしく聖女のよう。その聖女も心配そうにこっちを見てくる。
「……! そうかもしれんな!今日は一日座学にするか。いや、そうしなさい!」
すごい勢いで念押ししてくる父。
「……わかりました、父様」
やっぱり残念。
ちなみに俺は、紺色の髪に金色の眼だ。ちょっとカッコいい。
昨日までの記憶があるおかげで転生はしたけど、二人が両親だって分かっているから赤の他人って感じがしない。ラノベだと記憶ないから他の人に聞くという作業があったけど、俺はそんな必要もない。かなり楽できる。
「本日のお料理はハンバーグでございます」
今までの記憶を整理していると料理長が料理と共に来た。ハンバーグはジュウジュウと言ってて美味しそうだ。けどさぁ……
「朝からハンバーグは重いような……?」
朝食は大切だって言うよ?ちゃんと食べとくべきだし。けどさ、いくら今9歳だからって朝からハンバーグは無理!入らないものは入らない! むしろ両親はよく入るな!
「それは私も思っていたわ……」
「私もだ……」
……二人とも無理してたのか、今まで。
「なっ!? もっ、申し訳ございません!!」
料理長は真っ青な顔をしながら謝っている。
……ちょっと待てよ?記憶が正しいなら俺が7歳の時に朝からハンバーグですっごく喜んでいた。で、味を占めた料理長が朝ご飯を肉肉しいものにし始めたんだよな。
……俺のせいじゃん。
「美味しいものって食べるならたくさん食べたいからさー!食欲があまりない朝よりも昼とか夜に食べたいなあ!!」
俺は必死に弁解する。料理長の料理が美味しいのは事実だし。でも、本人は聞く耳を持たなかった。
「ルーク様のお考えを汲む事ができず申し訳ございません!! 私なんて……!」
料理長は、包丁を取り出す。
「ちょっ、待て!」
全力で料理長を止める。いや、力強っ……!?
両親も力も借り、自害しそうな料理長をなんとか止める事ができた。あぶない……
ちなみにハンバーグは美味しく頂きました。
とまあ色々あり、俺は田嶋龍河改め、ルーク・リコルドとして生きることとなった。
1話1話が短いです。
どこで切ればいいのかよくわからない……。