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政治経済エッセイ

【密かに進行】憲法9条加憲案は緊急政令と並立して危険すぎる!【来年にも改正か?】

作者: 中将

◇「緊急事態条項」は「緊急政令」に変更



筆者:

 本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。


 今回は台風やら大谷選手の活躍のニュースの裏側で静かに推し進められている

「憲法改正最新情報」をお伝えしようと思います。


 今回はその中でも「憲法9条」に焦点を当てて論点を整理したいと思います。



質問者:

 これまでは緊急時(定義不明)の政府の権限強化(抑止機関無し)が問題だというお話が多かったのですが、名前が変更されたみたいですね……。



筆者:

 そうなんです。緊急事態の対応についてこれまで「緊急事態条項」と言われていたものから「緊急政令」へ名前を変更されました。


 ある種のネットでの発信している方々の頑張りにより、

「緊急事態条項の問題」が広まったことが大きいと思います。


 これにより自民党を中心とする憲法改正派が脅威を持ち始め、「名前を変え続けないと誤魔化しきれない」と思い始めているという事を意味していると思います。


 なぜなら、「問題ない」と思っていれば名前なんて変えませんからね。


 これはある意味ネットでの皆さんの危険であるという警鐘の発信活動が「一定の成果」を出したといっていいと思います。


「緊急時に政府の権力を強める条文追加(緊急事態条項・緊急政令等)」


 などと指摘する側としても表記が長くなってしまう事から政府側としても名称変更はある程度の効果はあると思います。


 しかし、既に危険性に気づいている側としては問題ないと思います。

 (以下、長くなるので緊急政令と統一)


 

質問者:

 国民民主の玉木氏が「緊急事態条項の名前を変えるべきだ」という発言が以前あったというお話でしたが、まさにそう言う形になりましたね。



筆者:

 本来であれば緊急政令の内容を精査し、「緊急時の定義」や「憲法裁判所の設置」などについて話し合って国民側の不安を払拭することに努めるべきです。


 小手先の名前を変えるだけに終始しようとしているところが本当に不快感しかありません。


 そもそも、災害や傷病などに対してはそれぞれ特措法があるのにそれを改正しないというのは怠慢とも言えるわけですからね。

 それを放置して突然権力を強める話をするのは意味が分からないと言えます。


「ヒトラーのような独裁政権にしたいのでは?」と言われても仕方のないことだと思います。



質問者:

 そもそも政治資金の問題なども「法の穴」を掻い潜っていますからね。

 解釈の幅が広いと危険ですよね。


 ところで、本当に名前を変えただけなんでしょうか? 内容が改善されたということは無いんですか?



筆者:

 9月2日産経新聞の、

『自民が改憲「論点整理」を了承 自衛隊明記、緊急政令も可能に 首相「一気呵成に進める」』 


 と言う記事では、


『自民党は2日、憲法改正実現本部(古屋圭司本部長)の全体会合を開き、自衛隊明記など改憲の指針となる論点整理を了承した。平成30年にまとめた改憲4項目の見解を引き継ぎ、現行の9条を維持した上で「9条の2」を新設して自衛隊を追記する案を軸とした。』


 とあります。


 平成30年の内容を引き継ぐとあるので内容はこれまでの「緊急事態条項」の内容通りと言って過言では無いと思います。


 そして他の記事では岸田首相は後戻りせずこの案を新総裁にも引き継いで欲しいという要望を出し、他の主要候補者もそれに対して前のめりです。


 今年の秋の臨時国会や来年にも衆参両院を通過、参院選挙と同時期に国民投票まで行く可能性は高いと思っています。



◇憲法9条加憲案の問題点



質問者:

 平成30年の内容を引き継ぐのなら本当に名前を変えただけなんですね……。


 記事の中にある「憲法9条の2を新設」っていったいどういう案なんでしょうか?

 あまり聞き慣れないので良く知らないのですが……。



筆者:

 これは「9条加憲案」とも呼ばれていますね。


 ここからテクニカルな法律学になるために、結論だけを言うなら。


1 「9条の2案」は自衛隊の地位向上に寄与しない

2  現状の「ウルトラC解釈」で何とかなっている状況の方がマシ

3 「国連憲章の敵国条項削除」の方が優先度が高い


 と言う感じです。


 まず1から行きますが、


 「自民党 憲法改正実現本部」と言うサイトの「資料」と言うページの「憲法改正に関する議論の状況について」(平成30年3月26日)

 と言うところを参照したいと思います。


その中で『(1)自衛隊の明記について』というところでは


『第九条の二 前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。


② 自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。 (※第9条全体を維持した上で、その次に追加)』


 とあります。



質問者:

 これについて何が問題なんでしょうか?



筆者:

 まずこれまでの問題としてあったのは9条2項の


『前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。』


 と「戦力不保持」いう事が自衛隊を事実上完全否定しているという事です。


 しかし9条2項を削除または改訂(例:“ただし、日本国内の専守防衛のための戦力のみを有する“)などにすることなく「9条の2」を加えるというのは即座に「自己矛盾」を発生させてしまっているという事です。


 9条1項の戦争放棄は国際法上当然ですが、2項を修正することをしないままに、

「9条の2」を追加することは、戦力と言えない自衛隊の低い位置づけからの改善に何ら寄与していないと言えるわけです。



◇むしろ緊急政令とのドッキングで「悪用」の危険性も



質問者:

「9条の2」には『法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。』


 と言うのが加わっていますけど、これはいわゆるシビリアンコントロール(文民統制)という事なんでしょうか?



筆者:

 基本的に文民統制の考え方は戦前の軍部の暴走を食い止めるためと言った発想から出てきています。


 ただ、問題は「政府が軍事力を悪用する」と言った観点に非常に欠けています。


 特に緊急政令から出される閣議決定は法律と同等なわけですから戦前の「治安維持法」みたいな法律が出されて、それに対して自衛隊も従うと言ったことが容易に想像がつくわけです。


 反対する者に対して自衛隊が言論統制・弾圧や逮捕などと言った悪夢のような世界が展開される可能性がより上がるという事です。



◇「国連旧敵国条項廃止」が国防に適っている



質問者:

 最悪の状況とは言え、可能性があるだけでも恐ろしいですね……。


 現状も自衛隊は合憲とも違憲とも言えない不思議な解釈でありながらも、

 閣議決定で集団的自衛権を容認という事になっていますからね。


 いずれにせよ自衛隊の存立の危機に瀕している憲法解釈では無いですから、

 憲法改正しない方が色々とマシという事なんでしょうか?



筆者:

 むしろ改正してしまったことにより「日本国民が軍隊を保有。戦争を是認」という事で、


 国連憲章の「旧敵国条項」を中露が活用して沖縄、北海道を占領と言ったことが容易に想像がつきます。


 安全保障の話になると必ず僕が述べていることとしては、

 国連の「旧敵国条項」を削除しなければ、自衛隊を軍隊と正式に認めるのは逆に攻め込まれる口実を与えるようなものであると考えています。


 国連で1995年に廃止が決議、死文化が決定されたとはいえ廃止には至っていません。

 廃止のための具体的な手続きをしなければいけないのに日本はそれを怠っているわけです。


(他の旧敵国条項に該当するドイツ、イタリア、フィンランド、ハンガリー、ルーマニアに関してはNATOに正式加入しており、アメリカやフランスとは領土問題も無いです。それに対し、日本は中国とロシアとの間で領土問題があるため問題の質が違いすぎます)


 

質問者:

 「死文化している」ことについて中国やロシアは認めていないという話があるのは本当に怖いですよね……。



筆者:

 リスクが無用にある状況は早く脱していく必要があります。


 それをすることなく憲法改正することは、むしろ旧敵国条項完全削除から大きく後退する可能性すらあると思っています。

(憲章改正自体には安全保障理事会常任理事国5か国を含む国連加盟国3分の2以上に批准が必要のため)


 まずは旧敵国条項削除から手を付けるべきであり、国民側もそれを要求するべきなのです。



◇とにかく抵抗を諦めないこと



質問者:

 しかし、マスコミがそもそも旧敵国条項はおろか憲法改正の重要論点についてすらもそんなに重要視していませんから、

 静かに改正されてしまうのではないでしょうか?



筆者:

 非常に残念なことにむしろ「保守派」と言われている「自民党岩盤支持層」はむしろ憲法改正を支持しているわけです。


 最後の瞬間まで抵抗するつもりではいますが、緊急政令込みの憲法改正と言うのは起きてしまうと覚悟することも重要だと思います。


 そして「乱発するな!」「使ったら暴君政府だぞ!」などと国民側が訴えまくって乱発させないように言論活動をし続けることがその後は大事になると思います。



質問者:

 今回も「緊急事態条項」から「緊急政令」に名前が変わって批判を交わそうとしているわけですから、頑張って抵抗することが大事なんですね。



筆者:

 そうなんです。例え改正されてしまったという結果が同じだとしても「やりにくさ」を感じてくれるだけで「乱発抑止力」になる可能性はあります。


 フェーズごとに抵抗することが大事だと思うので、緊急政令込みの憲法改正に反対することにご賛同いただける方々は諦めずに抵抗することが大事だという事をよく覚えておいてくださいね。


 という事でここまでご覧いただきありがとうございました。


 今回は密かに今、憲法改正の素案が固まりつつありその中の大きな軸としてある「憲法9条加憲案」が自衛隊の地位向上には何にもならないこと、それより先に「旧敵国条項削除」が大事であること。

 とにかく抵抗し続けることが大事だという事をお伝えしました。


 今後もこのように政治・経済、マスコミの問題について個人的な意見を書いていきますのでどうぞご覧ください。

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