衛霊
何かをすると、何かができない。
自分の不器用さが嫌になる。
「……」
子供が物陰から此方の様子を伺っている。ふと、友人の家に遊びに行った時の、警戒したネコを思い出した。
「あの子のことは気にしなくていい。もう少し時間が必要じゃろう」
神樹から少し離れ、案内された小さな村。お爺さんの住んでいるであろう家の扉を開けた瞬間こんなことがあれば、嫌でも気になってしまう。
シエルさんは俺達とは一旦別れ、奥の部屋へ行ってしまった。
色々と聞きたいこともあるが、先ずは感謝を述べるのが礼儀だろう。
「改めて、さっきは本当にありがとうございました。僕は『如月想護』。恐らく別の世界から転移して来たんだと思います。この世界のこと、色々と教えていただけると助かります」
「ワシは『コウ・クローム』。想護くんもコウ爺と気軽に呼んでくれ。さて、どこから話そうか…」
テーブルへと促され、お互い椅子に腰掛け話を始める。
「この世界には『衛霊』というものが存在する。『衛霊』、衛るもの。お主の様にこの世界に転移した者にも必ず衛霊は宿る。先の争いの…、クシと言ったか、君にも宿っておるよ」
衛霊。
クシが衛霊として宿っている。
「百聞は一見に如かず。呼んでみるといい」
言われるまま、俺はその姿を想像しクシを呼んでみる。
(…想護さん)
口には出さない心の声。それに答える響く声。目を開ければ、そこにクシが現れていた。
足元にすり寄ってくる姿に、思わず抱き抱えずにはいられなかった。
「これが衛霊じゃ」
にこと和らいだ表情も束の間、眉を落として言葉を続ける。
「生命があるものには必ず死が訪れる。衛霊とは魂だ。君にクシが宿っているということは則ち、君のもといた世界ではもう…」
その言葉で改めて実感が湧いてくる。
そうか、クシがあの時刺されたのは、紛れもない事実なのか…
「でも、この世界なら生きられるんですよね?」
「この世界なら、衛霊に二度の死は訪れない」
二度目はない。コウ爺さんの言葉に少し安堵する。
「衛霊の基本的な力には3種類存在する。一つは一部の力を行使する『憑依』。一つは衛霊を呼び出し、その力を使役する『顕現』。いまの状態が正しく『顕現』じゃな。そしてもう一つが先程お主が見せた、その身に姿を顕し、最大限力を引き出す『憑依顕現』。皆短く『憑顕』と呼んでおる。どれ、今一度やれるか?」
「やってみます!」
とは言ったものの、あの時は必死でどうやったかなんて覚えていない。力を込めてみるがそう簡単にはいかない。
「想護くん」
呼び掛けと同時、優しい口調とは裏腹にとてつもない威圧感。咄嗟に腕を構え防御の姿勢を取る。
またしても訳の分からないまま「憑顕」ができている。
「言ったじゃろう。衛霊は衛るもの。何かを衛ろうとするときに一番力を発揮する。自在に『憑顕』を出来るようにしておいてほしい。必ず必要になる時が来る」
と、ここでシエルさんが慌てて部屋に飛んできた。
「今の何!? お爺ちゃん!!」
シエルさんが俺の憑顕を見て、俺は俺でシエルさんのエプロンを見て一瞬時が止まる。
だが一目見て状況を概ね理解したようだ。
「もうすぐご飯できますから、想護さんを苛めてないで準備してください」
そう言い残して部屋を後にする。
やれやれといった様子で此方に向き直す。
「君がこの世界で何をしたいか、何をすべきか。先ずはこの世界に慣れることからじゃな。君の為に力を貸そう。たまには年寄りのお願いも聞いてくれるかの?」
「はい、もちろん」
まだ分からないことだらけだが、先ずはこの生活や力の使い方に慣れるよう頑張ろう。
クシと一緒に、この世界で。
説明ばかりで分かりにくくないですか?
勉強しながらで稚拙ではありますが自分の表現したいものをマイペースに書いていきます。




