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私はモブ令嬢A?ポジなのに友人が毎回存在詐欺だと言ってくるのが誠に遺憾である。  作者: 雪 牡丹
第二章 始まりの春と宵闇の海辺街
17/42

葬送の如く旅立ちに、

追記。

2023/11/29 歴史捏造済みでFA O (:3)~ ('、3_ヽ)_


『幼少期に出来た傷は、大人になった自分で治すしかない。

 それが自然治癒できないモノなら尚更で』


子供時代で手に入らなかった愛の代わりに、

大人となって自分だけに属する名誉が、金が、未来が欲しくなった。

自分だけの人生、自分だけの『価値』。

そして良くも悪くも芽生えた、そんな時分で。最後の期待(ひかり)を引き裂かれ、ようやく目を覚ます。


だから、努力した。

だから、心を殺した。

だから、×××を×し。

だから、嘗ての私は『性』と共に『(かぞく)』までも捨てた。


それこそ穴だらけの心を抱きしめ、法的に成人すらしてない身の上で。

知り合いの名義まで借り、自分(ひとり)だけの(いえ)を作って。

すべて諦めた頭に、とうに『正気』なんてモノはなく。

(せかい)を捨て、本当のひとりになって、努力して、努力して、狂った(こわれた)ように努力を重ね。

あの世界(いえ)の何もかもを払拭し、見返せるほどの……努力を。




……けれど、それでもやはり、世の中とは皮肉なモノだった。

「ああ、変われたかな」と自分を褒めようとした時、後ろをふと振り返って、ようやく気づく。

前も後ろも誰もいなくなった世界で、自分の傍に誰かがいるはずもないことに。


そして、理解する。

二択しかない優しさの見分けすらつかなくなった世界で、『本当に理解した』。

寝ても覚めても足の引っ張り合いで、

起きても眠っても戦場と成り果てた世界(くらやみ)にあるのは、何処を見渡(さが)しても汚れた大人たちの期待だけなのだ、と。


死ねないから、がむしゃらに迷い生き。

涙が朽ちるまで頑張って、生きただけなのに。

名誉も、金も、未来も手に入れた『大人』になろうと、結局は、迷子の子供のまま。


記憶に残る(かつての)私はいつも、独りぼっちで……。





———本当の戦場でなくも『敗北する』とは、『死ぬ』のと同義だ。

そればかりはどの業界、どんな世界に行けど変わらずで。

勝てば官軍、負ければ賊軍。

大義名分はクソ、騎士道うんぬんすらも全無視。


あれからというモノの……この三日? 四日間。

勝者はただただ上機嫌に鼻歌を歌い、スケジュールを調整し、夜になれば勝者同士で乾杯しては、時折負け犬共を突くことを繰り返す。

その一方キャイン達は……まぁ、詰まるところでのつまり、そう言うことだ。


ハハッ!(甲高い声)


すすり泣く声に混じってホント、先ほどから誰だろう。

こちらから見れば逆に異世界となる場所での、二重異世界ランド、某ネズミ代表みたいな声出しているヤツ。

どうせ世は地獄、勝っても負けても人生というモノなのだから……。オメェら全員、せめてもうちょっと、先っちょだけでももう少し心穏やかに、気を確かに持って。

お願いだから。


国・大陸以前、時空・時間・次元すらも違えど、本当の葬式死人役を実体験したことのある人間!! からの、マジ後生のお願いだから。

後生での今生だけに……、ハハッ!



「アトランティア、虫が来るまでまだ数日あるし。出発は、明日に延期して……」

「ですが、もう準備してしまいましたよ? 私も、みんなも、」

「くっ……!」


流石ファンタスティック人間もビーストも、DよりかのP世界如く生息している世界。

アポをとった上で襲来する虫さんとか、寧ろ今生の父以上に常識があるのではなかろうか?

そしてその上での駆除にご指名された、お兄様。

この度の留守番組筆頭として、とても悔しいのか。それともシスコン代表として、死ぬほど悲しいのか。

一体どっち立場での、どういう感情なの?

そのご尊顔……、


と、そんなこんなを思いつつ……。

前世の別れより今生の別れしている兄に引き留められている所で、アトランティアが一度周囲を見渡せば、周囲は周囲の至る場所で絶賛問題勃発中だったでござる……。

年は1625、季節は春。

此方が見るからなピクニックなら、彼方は見ずとも分かるほど葬送真っ盛りな空気を醸し出している、この瞬間。


「ぐすっ、お嬢様、本当に行ってしまわれるのですね……」

「ああ、これからの日々。もしお嬢様に会いたくなったら、私は、私たちはどうすれば、」

「今年の花見もお嬢様と是非、ご一緒したかったのにッ」

「ふぇ~~~ん」

「グッバイ…俺たちの春。もはや、ここまでか……」


「ハハッ、負け犬たちがなんか言ってるぅ~~~」

「ありがとう世界、ありがとう母さん、貴女の産んだ息子は今日も幸せです……」

「これだから世界は美しい」


「ムキ―ッ」

「猿かよ、お嬢様たちが去るだけに」

「ブッッッッッ、殺すぞ」


と、等と。

そんな本日の現場からは以上です。


例のお父様もひどければ、実の兄を含めここ数日、特に本日の夜明けにかけての今が一番ひどい。

留守番組VS勝ち鬨組で互いをDisり合いながらも、まぁ、器用な事に、この度は対戦ありがとうございました!!

……と若干称え合う雰囲気も混じっているという、なんとも表現しずらい空気だ。

そしてそんな中でも特に、先ほどからのお兄様の表情筋が一番絶妙で、


オラは全身全霊で引き止めたいのにッ! 出来ないッ!!

おどれ、クソ虫のバッキャ野郎……


みたいな温度差アップダウン運動をしばしば繰り返して、見ている分には大変面白い。

が、


「お兄様、そろそろ……」

「分かってる、分かっては、いるのだが……くっ」

「もう、そんなくっころ助みたいなお顔をされても、ダメなものはメ! ですよ?」

「グゥッ」


それでも、その唸り声を皮切りにとうとう殺して留めんばかりの勢いで、ぎゅうううううと抱き締められる。……というか胸ダイブでリアル窒息死体になりそうなのが、今日この頃だ。

「ここまで来れば旅立ちの日来たれりというより、又もや年若くして、早くも人生二度目の葬送をする羽目になりそう、お兄様ギブ」とアトランティアは死んだ。

主に目と息の音が。


これ以上考えるのはヤメよう……。

同じ空の下とは言え、暫く会えない妹成分補填中です。

しばらくお持ちください……、


んで、数分後。


「……メレス」

「ハッ、ここに」

「僕の目の届かぬ所で、妹の髪一本傷つくことのないように」

「…ハッ! この身に変えても!!」

「お爺様たちもいることだし、万が一にもないとは思うが……もし向こうで身の程を弁えないゴミがいれば、その剣に血を吸うことを許そう」


と、お兄様は言うが。オメェの妹は既に死んでいるし、犯人はオメェ。

葬送の如く旅立ちの先に、魂が既に実家の上空までさよならバイバイしている件について、海より深く反省して、兄よ。

ただでさえ異世界レベル1で飛び立っている妹の不安を、その台詞で殊更煽っていることに何故気づかぬ?


「これだから生まれながらの選ばれし陽キャは嫌いなんだ」とアトランティアは思った。

前世持ち十歳児、魂からの叫びだ、ドン!!



この度における【引き籠り症候群/陰キャ病】のカルテ。

・神が人に与えし不条理で、他人からすれば滑稽極まりない不治の病。

・社会不適合な陰キャが初めての世界(そと)に出たとき、(主に本人の)何もかもが狂い、(主に本人からした)何もかもが奇怪でマジ怪奇に見える、時空の壁を越えても治らない病気。

・世の全てに怯え、始めて会う生命にビビり散かし、中の人ですらどもり出す、そんな奇病。

・そして生まれながらコレを患いし患者たちは、自らの病に気づいても、どうにもできない。



……というか、どうにかする前から基本的に諦め、自己防衛に走ってしまう。のが、世の陰キャという生命体だ。

なので、


「コートが重くて歩きにくいだろう。このままお兄様が、お母様の所まで運んでやろうな」


これからの事を私のお墓という名の空から思い馳せる、異世界版千の風になって。

実の兄という超弩級イケメンにナチュナルスマート姫抱きされようと、最早どうでもいい。


「……ありがとうございます、ん」


その遺言を最後に。

お前はもう死んでいる状のアトランティアは更に死んだ。


最弱のメンタルなのに、今日も異世界イケメン達が二度討ちしてきます。

ハハッ、

ハァ、しんど……、


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