ゲームに挑む
学校が終わり、俺達はいつものように近くのゲームセンターに行って遊んでいた。
「今日こそは勝つからな!賢治あれで勝負するぞ!」
「またやるのかよ、お前あれで勝ったことねぇだろ」
「うるせぇ!今度こそ賢治に勝つ!」
「はいはい、めんどくせぇ」
俺はいつもゲームセンターに来ると必ずと言っていいほど寛太に勝負を挑まれる。今回するゲームは、1分間に多くボールをバスケットゴールに入れるゲームだ。
「ま〜たやってるよ。あの2人」
「ほんとだ、それより拓也あのぬいぐるみ取って〜」
「はいよ、可愛い彼女のために頑張るよ」
「明音のためにファイト〜!」
この2人は昔からの幼なじみで高校に入学してから付き合い始めたらしい。
2年生になっても見たとおりラブラブだ。
「私たちはどうする?真矢のやりたいことないの?」
「私は特にないよ、恵理ちゃんはないの?」
「あっ!アイス食べたい」
「じゃあアイスを買いに行こうか。皆に連絡しとかないと」
―恵理ちゃんとアイスを買いに行ってきます―
「恵理と真矢、アイス買ってくるって」
最初に連絡に気づいた賢治が、寛太に言った。
「うるせぇ!クソォまたかよ!」
賢治と寛太は勝負をして、賢治の勝ちで終わり寛太はアイスを食べに行った恵理と真矢のことを一切聞いてない。
勝負に負けた寛太は、賢治に飲み物を奢っていた時に明音と拓也が賢治達のもとにきた。
「見てみて、拓也が取ってくれたの」
「相変わらず上手いな拓也」
「まぁね、そっちはいつも通りのようだな」
拓也は、明音が欲しいと言ったぬいぐるみと他に箱を持っていた。その箱は、学校にある机の大きさと同じくらいだった。
「拓也の持ってるその箱何?」
気になった俺は拓也に聞いてみた。
「ん?これはぬいぐるみを取った後に、隣の台で取って欲しそうに俺のこと見てたから取ったんだよ」
「すげぇ!何でも取れんだな!」
負けて俺に飲み物を奢った寛太が、何事も無かったように元気になって拓也を尊敬の眼差しで見ている。拓也はUFOキャッチャーでだいたいの物は取れる。本当に凄い奴だ。
「まぁな」
「それで、箱の中に何がはいってんの?」
「人生ゲーム」
「へぇ〜、懐かしいなぁ」
俺は小学生の時に、お正月みんなで1回したことがある。それ以降やってないので懐かしく思えた。
「人生ゲーム面白そうじゃん。みんなでやろうよ」
懐かしく思っていると、アイスを買いに行っていた恵理と真矢が戻ってきた。
真矢はバニラ、恵理は抹茶のアイスを片手に持ち美味しそうに食べている。
「人生ゲームは人数が多ければ楽しいし」
「いいな!やろぜ!それで賢治に勝つ!」
「まぁ、暇だしやるか」
「拓也がやるなら明音もやる〜」
「私も、人生ゲームしたことないからやりたい」
「じゃあ、俺の家で人生ゲームするか」
みんなが人生ゲームをしたいと言ってるので、ここからは俺の家が1番近いから俺の家でやることになった。
俺の親は共働きで、家に帰ってのは月に1回くらいだ。だから、今日も親は帰ってこない。
「はやく人生ゲームしようぜぇ!」
「はいはい、じゃあやるか」
リビングでみんなくつろいでいる中、寛太が無邪気な子どものようにはやくと言う。なので、俺は箱の中の人生ゲームを取り出し机に広げていた。
準備ができたので、人生ゲームを始めようとした。
瞬間、周りが真っ暗になり何が起きたかわからない。混乱状態の中、聞き覚えのある声が聞こえた。
「賢治!大丈夫か!?」
「ここ、どこだ?」
目が覚めると見覚えのない場所にいる。周りにある建物や山や地面は、プラスチックのような物でできている。そこには、俺だけでなく他のみんなも一緒にいて、何が起きたか全員理解できていない。
「ここどこ?怖いよ、、、」
「大丈夫、きっと帰れる」
「うん」
明音が恐怖で体を震わせてる時、拓也が寄り添い声をかける。涙目だった明音は、安心したのか顔を拭い笑顔になる。
「ヤッホー、これからゲーム始めるよ〜ん」
「何、今の声?誰?」
突如、誰かわからない声が聞こえ恵理が問いかける。
「僕はね〜呼ばれたから、きたんだよ〜」
「だから誰だよ!名前を言え!」
「ん〜僕に名前は無いんだけど、僕はこの人生ゲームのゲームマスターだよ~」
突如聞こえた声はテンションが高く、元気な青年の声だった。声の主の姿は見当たらない。声の主は、自分をゲームマスターと言ってそのままペラペラと喋り続ける。
「まぁ〜説明するとね、君達6人は人生ゲームをしようとしたでしょ?その人生ゲームはね、ただの人生ゲームじゃなくてリアルの人生をかけるゲームなんだよね。だから君達は実際に体を使って、マスの指示に従わないといけないんだよ。まぁ普通の人生ゲームとほとんど変わらないから楽しめると思うよ」
「俺達は帰れるのか?」
「帰れるよ。ただし、帰れるのは5人だけどね〜」
「帰れるのは5人ってことは、1人は残るのか?」
「そゆこと〜。でも、上手くいけばね」
「上手くいけばって、どうゆことだ?」
ゲームマスターが言うには、俺達は人生ゲームをしないといけないらしい。この人生ゲームは、実際に体を使ってゴールまで向かうゲーム。だけど、この人生ゲームから抜けて帰れるのは5人らしいが、上手くいけばの理由がわからない。
「このゲームは、実際の体を使うから仮に死んだらその人は本当の死を意味するから、気おつけて〜」
「意味わかんない!ここは、そもそもどこなの!?」
「君達がいる場所はね〜、説明が難しいけど簡単に言うと誰も知らない次元にいるよ。だから、君達と僕以外はいないよ〜」
「そ、そんな」
今まで何も喋らなかった真矢が大声で叫んでいた。普段大人しい真矢が取り乱す姿を見て、みんなが驚いた。だが、それよりこのゲームでの死は本当の死。もしかしたら、マスの指示に死を意味することが書いてあるかもしれないということ。しかも、ここにいるのは、俺達とゲームマスターだけで助けを呼べない。ここを出るには、ゴールをするしかないらしい。
「みんな、ゲームをするしかねぇ!ここを出るためにゲームをするぞ!」
「でも、出れるのは5人なんだよ!?わかってんの!?誰か1人置いていかれるんだよ!?」
「けど、ゲームをしねぇと出れねんだよ!」
「やめろ!寛太も真矢も喧嘩するな!」
「真矢、ここは覚悟を決めてゲームをしよう。」
「で、でも、、」
ゲームをするかしないかで、真矢と寛太が喧嘩を始めた。無理もないと思う。ゲームマスターが嘘をついてるようには見えないし、ここから出れるのは5人で1人はここから出られない。喧嘩を止めた後、恵理が真矢に言うが納得のいかない顔をしている。
「とりあえずゲームをしながら、みんなで出れる方法を考えようよ」
「そうだな。とりあえずやろう」
「わ、わかった」
明音と拓也は覚悟を決めている。その姿を見て、ぐしゃぐしゃになった顔を拭い真矢も覚悟を決めたらしい。
「迷惑かけてごめんなさい」
「俺も悪かったな」
「2人が仲直りして、みんな覚悟を決めた所で出れる方法を考えながらゲームをするぞ!」
「おっしゃ!やるぞ!」
「おー!」
「みんなで出よう!」
寛太と真矢が仲直りをし、拓也と明音と恵理はやる気を出している。
「みんなの気持ちが1つになった所でゲームのルール解説するからこっちに注目してね〜」
こうして、俺達のリアル人生ゲームが始まる。