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ギフテッド・ブレイバー(仮)  作者: 夢見柘榴
物語の始まりと、巻き込まれ少女
7/7

初日の結果は押され気味

 面会時間が終わり、執事のセバスチャンさんがアークを迎えに来て。

 そこからしばらくした後。夕暮れの王宮。俺は自分の仕事部屋で机に寝そべっていた。そんな俺の前に王子。なんか、口元を抑えて笑っているような気配。


「笑うなら笑ってくれていいんですよヘンリー殿下。」

「いや、その…ヨハンがそこまで疲れを露わにしているのがその…新鮮でつい…」

「つい、で笑われているんですか俺…」


 こほん、と咳払いをする王子。


「で、彼との面談はどうだったんだい?」

「このザマを見て分かりませんか?疲れました。」

「いや、それは分かるよ。ぼくが言いたいのは何を話したのか、というところなんだけど。」

「話した、というか…一方的にしゃべられたというか…」

「ほう?何を?」

「何って、ギフテッドについてですけど」


 俺は面談の時をのやり取りを思い出しつつ、かいつまんで話す。

 

 『ギフテッドについて、ご存知ですか』と聞いた俺に対して、あの少年、アークはひどく目を輝かせた様子で食いついてきた。

 --ギフテッドって、あのおとぎ話とかに出てくるギフテッドですか!

 『は、はい、そうですが』と答える俺に対して、当のアークはさらにくらいついてきた。

 --僕、ギフテッドの出てくるお話がとても大好きで、ギフテッドの物語の中でも特に好きなのって剣士のギフテッドをもっている人の出てくるお話で…

 

 ……そうして、アークのマシンガントークが始まった。始まってしまった。


「止めることはできなかったのかい?」

「あいつのしゃべりを止めるのは、走っている馬車の目の前に立って止めるのと同じくらい難しいです。」


 そうして話を止めるのを俺が諦めた結果、時間と彼のしゃべりだけが過ぎていき、あっという間に面会時間が終わってしまった。


「そんなわけでギフテッドについて、基本的なことすら喋れていません!」

「なるほど?」

「殿下が俺が来る前に話していたらこんなことにはならなかったと思うんですが!?」

「いやー、それはごめんねぇ?」


 悪びれもしない王子に少し腹は立つが、いったん抑える。


「一番厄介なのは俺、明日以降もあいつに付きっ切りなところですよ!肝心なギフテッドのお話の時だけ暴走するあいつに!この仕事終わるまで!」

「…うん、今からでも他の人に変わってもらおうか?」

「それは俺が許せないので却下で!」


 今から明日が憂鬱で仕方ないが、受けてしまった仕事を放りだすわけにはいかない。こればっかりはしょうがないとあきらめるしか俺にはなかった。


☆☆☆


その日の夜、用意してもらった部屋で、


「…、もしかして、僕、しゃべりすぎた?」


アークは一人、反省していた。

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