*第1話* 〜種〜
初投稿です。小庭甘栗と申します。
小説を書くのも、このような場に投稿するのもはじめてなので至らない点等多いかと思いますが、何卒宜しくお願い致します。
その日は雨だった。
小雨でも土砂降りでもない、普通の、雨。
僕の隣には“彼女”がいた。カフェの窓際の一番端の席に、強く、美しく、しかしどこか儚さを感じさせる"彼女“が。
「あなただけなの。あなたしかいない。私を………」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
……いつもここで目が醒める。いつだったか、物心ついた時から時々こんな夢を見る。
普段生活している分にはこんな夢、覚えてなんていないが、この夢を見た直後にはいつも思い出す。幼い頃から何度も、何度も何度もこんな夢を見続けてきた事を。
だいたい、どうしろというのだ。いつも同じ所で目が醒めるし、この“彼女”もどこの誰かなんて分かるわけがないし、私をなんだというのだ。
そんな訳で、俺に出来ることなんて何にもないし、する気もない。そもそも俺は、困難からは逃げる主義なのだ。
俺なんかが困難に立ち向かった所で、悪い結果になるに決まっているのだ。それは昔からの経験で分かっている。
誰にだって出来ないことはあるのだから、そんなものからは逃げてしまえばいい。
かと言って、定期考査、これからは逃れることはできない。なので、こうして仕方なく朝の支度を進めているというわけである。
ただ自分の身の上話をしているだけではない。こうしている間にも、きちんと手は動かしている。
東京から少し、そう、少しだけ離れた田舎にある公立高校に通う俺、上村紅葉は、今日も欠伸をしながら朝6時50分の電車に間に合わせるために玄関の扉を開けた。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
どの程度の頻度での更新になるかは分かりませんが、必ず完結させますので、是非読んで頂けるとありがたいです。