第6話 過去を悔やみ、未来を願う者
注意 この作品は東方Projectの二次創作作品です。 ご理解いただける方のみ先をお読みください。
この作品は前の話を見てから読むとさらにお楽しみいただけます!
対霊郷攻略作戦決行まで残り二週間。
少女たちは日々、鍛錬に勤しんでいた。
-紅魔館門前- 美鈴・妖夢
美鈴「いい感じです、、。 もっと、意識を深くに沈めてください、、。」
妖夢「う、、。 も、もう限界、、。」
美鈴「そのまま、10秒その状態キープですよ、妖夢さん。」
妖夢「、、、ッ」
美鈴「上出来です! 最後はそれを私に向かって撃ってみてください。」
妖夢「、、クッ!」
妖夢が沈めていた気を放った瞬間、周りの空気が少し、震えた。
美鈴「いいですね、妖夢さん! いい調子です!」
妖夢「これが、殺気、、。」
美鈴「その通りです。 けれども妖夢さんはこれを撃った後、即座に行動をとれていません。」
妖夢「まだまだ練習は必要、ということですね。」
美鈴「はい。 けど、妖夢さんは呑み込みが早いですので、すぐコツを掴めるようになりますよ!」
妖夢「ありがとうございます、美鈴さん。」
妖夢(次は絶対に守って見せる。 あの人のために、そして、己のために。)
-紅魔館一階ロビー- 咲夜・フラン
咲夜「そこだ、、、!」
フラン「まだまだぁ、、!」
咲夜・フラン「はぁぁぁぁ!!」
咲夜のナイフとフランの魔法がぶつかり合う。
ロビーの天井にあるシャングリラが激しく揺れた。
咲夜「、、今!」
咲夜は時を止め、フランの背後に回った。
しかし。
フラン「残念咲夜。 分身を置いといたよ!」
咲夜「さすが妹様です、用意周到ですこと!」
咲夜はナイフの技術を磨き。
フランは力の制御と解放の訓練をしていた。
フラン「咲夜、ナイフの技術上がったね! ”あの時”より、私の行動を止められてる。」
咲夜「妹様も力の留め方、上手くなっていますよ。」
フラン「やっぱり、私たちは変わったんだね、、。」
咲夜「えぇ、皆”あの時”から強くなった。」
咲夜(今回こそ、家族を失うわけにはいかない。 必ずここに、家族そろって。)
フラン(かつてこの力は家族を壊してしまった。 なら次は創って見せる!)
-紅魔館二階 レミリアの部屋-
レミリア(何時以来かしら、皆がここまで必死になって己を高め合うなんて。
けど、”あの時”とは違う。 優しさが皆の中にある。)
レミリア「私は、咲夜を、霊夢や魔理沙を、家族の帰る場所を守る。 絶対に。」
...もう二度と、あんな思いをしないために...
ー紅魔館地下 大図書館ー
魔理沙「なあ、パチュリー?」
パチュリー「なによ。」
魔理沙「この本なんだがよ。」
博麗の歴史と魔法の発達
パチュリー「また古い本を見つけてきたわね。」
魔理沙「文字が薄れててほとんど読めないじゃないかよ、これ。」
パチュリー「何年前よこの本。 初代の博麗の巫女のことが書かれてるわね。」
魔理沙「なあ、そういや魔法ってどうしてできたんだ?」
パチュリー「なにか、書いてあるわね、、。」
肝心なところは薄れて読むことは不可能だった。
けれども、とある一文に、こう綴られていた。
”魔法は博麗の巫女を助けるカギになる。 どうか後世にこれが伝わりますように。”
魔理沙「初代って、、。 霊夢は今十三代目だよな、、。」
パチュリー「どういう意味なのだろう。 巫女を助ける、、。 その為に魔法はできた、、。」
魔理沙「よくわからんが、力つけときゃどうにかなるぜ!」
パチュリー「あなたらしい答えね。」
魔理沙「後悔してからじゃ遅いからな!!」
魔理沙(あれは霊夢にも当てはまるのか。 その時、助けれるのは私だけだ、、)
ー白玉楼ー
霊夢「、、、。」
幽々子「霊夢は今、何をしているの?」
紫「黒の霊力の変換。」
幽々子「そんなことできるの? 前霊夢はここで無想天生をしようとしたけど、できなかったんでしょ?」
紫「えぇ、今もできるはずはないわ。 けど、やる必要がある。」
幽々子「器の覚醒、かしら?」
紫「、、、。」
幽々子「あなた、隠すの下手ね。」
紫「霊夢にも言われたわ。 同じこと。」
幽々子「あの子も同じ運命を背負わせるの? 先代と、、。」
二人がそんな会話をしている間にも霊夢は少しずつではあるが黒の霊力を取り込み始めた。
幽々子「あなた、もう分かってるんでしょ。 黒の霊力の正体。」
紫「えぇ、けれどもまだ確証があるわけじゃない。」
幽々子「でもそれは彼女には知る権利があるはずよ?」
紫「わかってるわ、けれども、、、けれども、、、」
その後、紫がその先を口に出すことはなかった。
幽々子「なにも、、あなただけが背負う必要はないじゃない、紫、、。」
二人が悲しみのオーラに包まれているとき、霊夢に動きがあった。
霊夢「うおおおお!!」
それはわずか一瞬だったが、、
白玉楼に、霊力が戻った。
紫「今一瞬、、」
幽々子「霊力がもどった、、?」
わずか数枚の桜の花が、新たな強さを祝うかのように、舞い散っていった、、。
紫「また一段と強くなったわね、霊夢。」
霊夢「うん、、。 ねえ、もしかしてあなた、泣いてる?」
紫「何言ってるのよ霊夢。 まあ、あなたが強くなっていくのは嬉しいからね。」
霊夢「なにそれ、変なの。」
紫「そりゃああなたを小さい頃から見てるんですもの、嬉しいわよ。」
(頑張るのよ、霊夢。 信じてる。 あなたなら運命を変えられると。)
作戦会議からわずか二週間。
各々が各々のやり方で、守る強さを磨いている。
その日の夜、不思議なことに、皆同じ夢を見たようだ。
形は違う、けれども結末は同じ。
大切な何かを、失った。
何を見ていたのか、それは霧がかかったようになって思い出せない。
けれども失ったそれは、夢を見た者にとって大切な何かだったそうだ。
ー白玉楼ー
紫「はっ、、、! い、今のは、、。」
その日の空は雲が多く、月の光が微かに見える位だった。
紫(霊夢は、あなたと同じ道を進むかもしれない。
あなたが思い描いた運命をあの子がたどることは無いのかもしれない。
私は、どうすればいい、十三代目の博麗の巫女さん。)
ここは、幻想郷。
人間と妖怪、妖精、様々な種族が入り乱れ暮らす素敵な楽園。
この物語は、そんな素敵な楽園の巫女と、彼女を慕う仲間の物語。
失われた春を取り戻す物語。
そして少女たちの、それぞれの春を追い求める物語。
今年の幻想郷は、冬が長い、、。
過去の過ちを責めるもの。
過去の選択を悔いるもの。
未来の運命を願う者。
次回
第一章、最終回。