表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

同じ世界の、異世界から

これほどまでに削ることになってしまうとは…。

改行・空白なしで998字です。

 ふと、考えたことがある。中学生特有の、どうしようもない妄想ではあったが、既に答えの出ているその疑問は今もなお、この頭の片隅で、目を離せないほど激しく自己主張している。

 僕は、その不自然さが、眼前に広がるどんな自然よりも、懐かしく感じてしまう。


***


 中学生の頃の僕は、テレビの科学番組で見た紫外線で見える世界、というものに心を囚われた。人間の目には見えない世界がある、というこの事実は僕の心に突き刺さり、すっかり抜けなくなってしまっていた。

 そして『この世界の本当の姿を人間は見られない』なんて考えが、あの頃が思い出になった今でも、頭の片隅に残り続けている。


「ねむ」


 いつも通り、自然な朝だ。カーテンを開ければ、半分の太陽が浮かんでいるのも。窓ガラスに映された自分の部屋に、その主である僕が映し出されていないのも。

 顔を洗うために洗面台で鏡を見れば、映る限りの自分が透けて映し出されている。何とは無しに捻った蛇口からは、爽やかな水色の水が流れ出す。

 文句の言いようがないくらいの普段通りさだ。


「いや!おかしいだろ!こわ、なにこれコワイ」


 家の外を見れば、空にはひび割れが走り、鋪装のされてない地面は所々が鏡のようになっている。それだけでなく、この目に映る世界の所々が非常識なものだった。


「何でみんな平然としてんの?え?これ」

「ありゃ、自分で気付いちゃった」

「はい?」


 気付けばそこには見覚えのない少女が。


「これ、」

「そう、君が見えている世界と私の見ている世界は、きっと同じだね」

「これって、」

「これが世界の真実!君が今までその目に映してきた世界は偽りだった!って言えば満足する?」


 どこか得意げな表情に、軽い苛立ちを覚える。


「君がこうして迷い込んでしまったのは、君自身がそのことに意識を向けすぎたせいだ」


 そのことと言われても、どのことだかがさっぱりだ。


「んー、あの自然な世界は自己防衛の結果なんだ、っていうので納得してね。時間もないし。自分で気付いちゃう人初めてなんだよ」


 咄嗟に叫んだ。


「どうすれば、ここに居てもいい⁈」

「君だけのものを見つければ、かな。それだけ。じゃあね」

「ちょ、っと?」


 瞬きをした瞬間には、いつもと変わらぬ自然に囲まれていた。この自然さが恋しいと思っていたはずなのに、あの不自然な世界が、去り際のあの言葉が、頭から離れなくなっていた。


『私は待ってる。君の生きるこの同じ世界で、この異世界から』

導入のようになりました。この枠内に収める内容ではなかったと、書き終わったあとで気づく始末

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ