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怨血  作者: 棗院宵月守吉景
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第伍帖 障害

 金曜日の夜、俺は結依に雲雀のことを打ち明け、神様は「恋人の勾玉の気配がさっきより強くなった。この調子で力を開放して入手するがよい。」と俺にアドバイスをした。


 ~同日 聖の寝室~


 (今度の日曜、結依をデートにでも誘うか。)

 俺はそう思いながらネットで電車代が往復1000円以内で収まる場所にあるデート向けの飲食店情報を調べ、それを基にプランを練って結依が喜ぶことに期待を寄せ、日曜日になり、俺と結依の初デートは幕を開けた。

 今回は月小國最大規模のショッピングモール「メイジモール如月」の中にある和風の喫茶店「京町茶房メイジモール如月店」を主軸としたデートプランを組み、恋人の勾玉の気配を強くしようと考えている。ここまで来たからには後戻りは禁物、かといって結依を振り回すのはNG。そのためにはなるべく結依の意見を尊重しつつ俺が練ったプランをなるべく遂行するのが一番だ。

 その結論を出した俺は「なあ、お前は何処に行きたいんだ?」と聞くと結依は「ちょうど昼時だしまずは食事をとろう。私はそのあと新しいパズルを見に行きたいの。」と答えた。これで恋人の勾玉は少しばかり気配が強くなるだろうと安心して京町茶房へ向かおうとしたが誰かの気配を感じた俺は「いるんだろ、隠れてないで出て来いよ。」とペットショップの物陰に向かって呼びかけた。気配を発していたのは案の定雲雀で「用件は何だ、まさか俺をつけてきたのか?」と聞くと雲雀は「そうだ。紅月、逆に聞くが何か目的があるのか?」と肯定すると同時に俺に聞き返した。

 その問いに対して俺は「実は俺、もともと男なんだ。先月に家族を全員失って魔戦士になるために血属性の力を手に入れたことでこの体になってしまったんだ。だから俺は元の体に戻るため奔走しているというわけだ。」と本当のことを話した。すると雲雀は「そういうことだったのか。目的のためなら私は協力を惜しまない。」と事情を納得してくれ、協力することを約束してくれた。これであいつも敵意を示さなくなるだろうと安心した瞬間、結依から電話が入った。

 そういえば結依を放っていってしまったから申し訳ないと思い電話に出ると俺の予感は当たっており「凌、今どこにいるの?さっきから姿が見えないんだけど。」と電話口で話しかけてきた。それに対して俺は「御免、今そっちに行く。それで、今どこだ?」と質問すると「京町茶房の前。」と答えられた。それならば今回の計画を遂行するのにちょうどいい。そう考えた俺はすぐさま電話を切り「すまん、雲雀。俺行くわ。」と別れを告げてその場を後にした。


 ~京町茶房メイジモール如月店 店内~


 昼食をとるため席に着いた俺と結依だったがその空間には気まずい空気が流れていた。そこで何とか気を取り直すため彼女の好物である蕎麦を注文し「お前を放っておいて本当に済まない。お詫びと言っては何だけどここのそばとデザートのあんみつで機嫌、直してくれ。」と自分の非を詫びた。すると結依は「大丈夫、やましい案件じゃないんでしょ。」と案外簡単に許してくれた。

 その後も同じフロアにあるパズル専門店「THE BLAIN」で1500ピースのジグソーパズルを物色したりゲームセンターのクレーンゲームコーナーで対戦格闘ゲーム「修羅の剣豪」のヒロインである早乙女(さおとめ) (ひな)のフィギュアを取るために筐体と睨み合っている雲雀の姿を目撃したりしたらあっという間に時間が過ぎ、電車の中で俺たちは「なあ、俺ってこれで少しは男に戻るための道を進めたか?」

「そうかもしれないね。今回はそのためにデートプランを組んだんでしょ。」

「まあな。」といった今日を振り返る会話を執り行ったのだった・・・

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