第肆帖 巫女
紅月神社にて話を聞いた睦月。
彼女はお目付け役として雲雀 燐を月小國へと送り込んだのだった。
「福田はん、お目付け役とは一体誰ですの?」と境谷が福田に尋ねると福田は「その人の名前は雲雀 燐、過去最年少で金牛の席に就任した雲雀 潤の妹で彼女もまた中学生でありながら幹部レベルの実力を持っています。」と説明すると周りは
「潤の妹だって!?」
「確か雲雀 潤って今失踪中じゃなかったか。」
「あれから4年経ってるんですよね、もう死んでるんじゃないですか?」とざわつきだした。境谷は燐に対して「今からあんたが受ける任務はお目付け役として対象の行動を観察することやけど大丈夫です?」と問い、燐は「私は御役目を果たし兄の行方を探り当てるまでです。この任務、引き受けます。」と承諾した。
~数週間後 有明中学校~
俺が女になった日に起こった惨劇の所為で以前より生徒が減った教室にクラス一の情報通である酉島が「みんなよく聞け、1組に転校生が来たらしいぞ。しかも女の子だ。なあ、野郎ども、これを聞いて此処に残るわけにはいかないよな。」と全員に呼び掛けて男子たちは全員揃って1組の教室へと向かった。そして教室に残った女子たちは「男子ってこういう時に行動力見せつけるよねー。」と感心するかのような発言をしたり「まあ、4組の和田君なんて1年の時に行った林間学校で当時同じクラスだった赤阪さんの下着盗んで当時付き合っていた鶴町さんに下着泥棒のことが前科を含めてバレた結果ハリケーンナックル喰らってフられたもんねー。」と一般人にはあまり理解できないような言葉を紛れ込ませた発言をして「は・・・ハリケーンナックル?」と困惑させたりしていた。まあ、俺も和田のエピソードを聞いて(あのエロ猿・・・確か修学旅行で海小國に行った時もプライベートの水着を着た女子たちの群れに近づいてやりたい放題やってたな。胸や尻を揉み続けて最終的にはそのうちの一人の彼氏によってジャイアントスイングで海に投げ飛ばされてたし。)と思い当たることを思い出していたが。
~同時刻 3年1組教室前~
酉島を筆頭にクラスの男子が「おい、転校生は何処だ。」やら「お前どけよ、俺が見えねえだろうが。」と言いながら教室内を確認する。そして男子生徒のうちの一人が「おい、転校生ってあの子じゃねえか、今教室から出て行った緑の長い髪の子。俺らの教室があるほうへ向かっていったけど何か用でもあるのか?」と燐を発見した後に6組の教室の方へ向かっていったことに疑問を感じた。
~放課後 有明中学校正門前~
俺と結依は帰路に就いたが何か不審だ。俺は気配に気づき「俺の後をつけたのはお前か?」と気配を発した人を問い詰めようとしたがその人は今日転校してきた女の子だった。するとその子は「私の名前は雲雀 燐。魔術庁の命令で月小國に派遣された。貴様の後をつける理由はそれだけだ。」と意味深な発言をした。
(もしかして前神社に来た2人組が俺を監視するためにあいつに命令したのか?すると魔術庁は俺が血属性の力を手に入れて女になったことを調べ上げたとでもいうのか・・・恐ろしい連中だな魔術庁は。)と通学路を歩きつつ考えていると「凌、どうかしたの?」と結依が俺に声をかけた。結依に心配をかけさせたくない俺は「す、すまない結依。何でもないんだ。」とその場を誤魔化した。
~金曜日・夜 御神体の間~
今週は日中に心が休まることはなかった。何せ雲雀が授業や給食といった自分のクラスにいなければならない時以外はずっと見張っていた。それに耐えかねた俺は「神様、ちょっと聞きたいことがあるんですけど出て来てください。」と迫るように声をかけ、それに応じた神様は「話ってもしかしてこの前来た魔術庁のことか?」と尋ね、「そうですよ、あれってあなたの差し金ですか?」と俺は逆に聞き返す。神様は「そうだ。」とあっさり事実を認めた。
事実関係が判明したところで俺は神様に恋人の勾玉の状態を聞くと「気配が以前より微妙に薄くなっているが何か心当たりはないか?」と聞かれ、俺には1つ心当たりがあった。それは最近結依に対してよそよそしい態度をとっていたことだ。まあ、それは余計な心配をかけさせたくないと思った結果によるものであって結果としてこうなるのは仕方がない。こうして急に生まれた障害をどうやって切り抜けるか思い悩んでいたが入口の方から結依が「凌、今までずっと様子がおかしかったのってもしかして女になった日の事を魔術庁に嗅ぎつかれて監視がついたことで思い悩んでたの?」と問い、俺は「ああ、そうだ。もしかして気づいてたのか?」と言うと結依は「もう、私を不安にさせないでよ。男に戻りたいんでしょ。ならば打ち明けるなりしないとダメじゃん。」と涙を浮かべながら俺に抱き着いてきたのだった・・・
今回より結依ルートがスタートしました。なお、各ルートの1話目のサブタイトルは攻略対象のヒロインに関係しているワードとなります。