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怨血  作者: 棗院宵月守吉景
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第弐帖 始動

 凌は家族全員を、結依は姉を失い絶望した。果たして、女になった凌は22個の解呪の勾玉を集めて男に戻れるのだろうか

 あの出来事から一夜明けた土曜日、俺が目を覚ますと目に映ったのは自室のものとは違う天井だった。「そうか、結依の家で寝泊まりしてるんだった。」と思い出したとともに「そういや、何もかも崩壊しちゃったな。」と(ひじり)さんの浴衣を着た俺は昨日のことを振り返る。何はともあれまずは食事だ。居間に行くとちゃぶ台には白米に鮭、そして納豆とみそ汁というオーソドックスな朝の和食が並んでいた。それを20分ほどで平らげ、今後のことを結依と考えることにした。まずは学校、今のままじゃ流石に通えないため俺は森小國(しんしょうこく)の親戚に引き取られたことにして新しい名前である紅月(こうづき) 綾瀬(あやせ)を名乗ることにして引き続き学校に通うことにした。

 そのためには制服を新調する必要がある。試しに俺は聖さんが有明中に通っていたころに来ていた制服を着用したが浴衣の時同様サイズがぴったりだったため新しいのを買わずに済んだ。こうして俺は聖さんが生前に来ていた服を着用し、女としての生活をスタートさせた。


 ~月小國(げっしょうこく) 有明中学校~


 呪われてから最初に迎える月曜日、俺は新しいクラスである3年6組の担任に挨拶を済ませ、案内されるがままに教室の前へ向かった。まあ、教室の場所やどんなクラスであるかは男だった時に把握しているため案内など無意味ではあるが・・・

 3年6組は担任の東雲(しののめ)が妖艶な雰囲気を持つ上に優しいため男子なら誰もが羨ましがる。この前の金曜日まで俺のクラスだった1組は担任の山本がお世辞にも良いとは言えなかった。ヘビースモーカーであり中庭での煙草の匂いは彼の仕業であることが多く生徒や他の先生が抗議しても「自分の金で買った煙草を外で吸って何が悪い。」と開き直る始末だから質が悪い。しかも何度か(俺の知っている範囲では2回)ボヤ騒ぎも起こしてるからいつ左遷されてもおかしくない。そのうえ授業もつまらないしいい先生だとは思えない。だから次のクラスに対し期待を寄せているといっても過言ではない。

 廊下で待機していると東雲先生が「今日は転校生を紹介するわ。」と教室にいる新しいクラスメイトに話し、その直後に俺に対し、「入ってきていいわよ。」と呼びかけ、俺は教室に入り、「紅月 綾瀬です。今日からこのクラスで一緒に勉強するのでよろしくお願いします。」と挨拶を済ませて「綾瀬さんの席は窓際の一番後ろ、青柳(あおやぎ)さんの隣ね。」と指示が入り、指定された席へ着席した。隣の席に座っている青柳は小学校5年の時からずっと同じクラスで付き合いが長いがその時から持っていたファンタジー物の漫画やラノベに出てくる黒魔術師を連想させるような印象は相変わらずだった。

 授業を終え、神社に戻っった俺は御神体の間へ向かい、「神様、俺が元の体に戻るための段階は少しばかり踏めそうですか?」と聞くと神様が出てきて「実は青柳 千慧(ちさと)と名乗るお前の同級生と結依の体に解呪の勾玉を取り込んでいるぞ。千慧には魔術師の勾玉、結依には恋人の勾玉が体内に取り込まれている。まあ、どっちを先に入手するかはお前次第だ、凌。」と言ってそのまま去っていった。そして、俺の足元には色彩の無い2つの勾玉が落ちていた。


 ~電小國(でんしょうこく) 魔術庁本部~


 「これから会議を始めるんやけど巨蟹(かにざ)の席の澄川(すみかわ)はんは部下の美原(みはら)はんに代理出席させて入院しとりますか。」と進行役を務めているのは処女(おとめざ)の席の境谷(さかいだに) (あおい)。実家は病院であり虚弱体質の巨蟹の席の澄川 (たくみ)が幼いころから葵の両親の世話になっていたため面識があり、身を案じている。

 「そうです。澄川さんに言われたから来てるんですけど本当は他の人に頼んで欲しいですよ。」と代理出席している美原 賢壱(けんいち)が愚痴をこぼす。どうやら毎回自分が代理出席をさせられるのを嫌がっているようだ。

 自分の部下以外の愚痴を聞かされているのに痺れを切らした宝瓶(みずがめざ)の席の大宮(おおみや) (まこと)が「悪いけどそろそろ始めてくれねえかな。俺は待つことが苦手なんだぞ。」と伝えた。

 そして境谷は大宮に対して「それじゃあ始めましょか。それと大宮はん、どんな結果になったとしても早とちりしちゃあきまへんよ。」と忠告した。大宮も「分かったよ。今回は俺自身を抑えるよ。」と納得して会議が始まった。

 「血の呪いのことなんやけどどうやって対策したらええと思いますか?」と境谷が出席者に対して聞くと金羊(おひつじざ)の席の若宮(わかみや) (いおり)が「血の呪いにかかったのが何処の誰か分からなければどうすることもできないんじゃないでしょうか。」と意見すると獅子(ししざ)の席の福久(ふくひさ) 倫康(ともやす)が「若宮さん、心配ありません。こちらで調査します。」と報告すると「調査って、どうしますの?福久はん。」と境谷が福久に対して尋ねた。その問いに対して福久は「調査方法はですね・・・」

 果たして、福久はどんな方法を用いるのだろうか・・・

 閲覧ありがとうございます。この作品の専門用語はtwitterで順次説明していこうかと思います。早速ですが次回以降の進行に向けてアンケートを取ります。詳しくはhttps://twitter.com/ONKETSU_NAROUをフォローしてツイートでの指示に従ってください。

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