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怨血  作者: 棗院宵月守吉景
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第壱帖 代償

 今から300年以上前、滅びの神デリタスが自分にとっての理想郷を作ることを目的に破壊活動を行った。花は枯れ、地面には亀裂が走り人々は絶望の淵へと立たされた。

 だが、禁忌と言われていた血属性の力を手にした英雄カーマインによってデリタスは封印され世界に平和が戻ったもののカーマインは力を手にした代償として死ぬことができない呪いにかかってしまったのだった。


 そして時は西暦2034年・・・


 ~月小國(げっしょうこく) 紅月(こうづき)神社~


「ねえ、凌。高校は私と同じ海王を受けるの?」

「ああ、俺は魔戦士になる気はあまり無いから普通科だけどな。そういうお前は魔戦士を目指してるから魔術科を受けるんだろ?」

 こういった受験生ならではの会話が境内を駆け巡る。

 俺の名前は霜村(つゆむら) (りょう)。冬に受験を控えた普通の中学生だ。そして、今俺と一緒にいるのが紅月 結依(ゆい)。俺の女友達でありこの神社の巫女だ。そんな日常を送る俺たちだったがまさか急に使命を負うことになろうとは思いもしないのだった。


 結依の妹の小百合ちゃんと一緒にいると何処かからか「来い、我がもとへ」と俺にささやきかける声が聞こえ、「ちょっと、凌兄ちゃん。何処行くの。」と小百合ちゃんの呼びかける声を無視して発生源へ向かうとそこはこの神社の御神体である血を連想させる黒みを帯びた赤い長刀が壁に飾られているわずか4畳の空間だった。靴を脱いで御神体に近づくと声の主と思われる幼い女の子が現れて「よく来てくれたな、確かおぬしの名は霜村 凌だったな。」

「こうやって直で会うのは初めてだし名乗っておくとしよう。我が名は血の神ウィナリー・ヴァンプス。おぬしは見所のあるやつだし力をやろう。それは伝説の英雄カーマインが滅びの神デリタスを封印した力である血属性だ。」と俺に言い、俺は「実は俺、魔戦士になろうと思ったことは無いんです。いろいろと面倒ごとに巻き込まれそうですし。」

「それに、英雄カーマインって確か力の代償として死ねなくなったんでしょ。俺、そういうの嫌です。」と断った。

 彼女は案外簡単に引き下がり、「そうか、まあ、気が変わったらいつでも来い。そのときは力を授けてやるぞ。」と俺に告げて姿を消した。

 そして俺はその場を後にして帰ろうとすると結依がやってきて「凌、まさか向こうの御神体の間に行ってたの?最近御神体の様子が変だったけど大丈夫だった?」と俺に問い詰め、「ああ、俺に対して交渉を持ちかけたけど断ったら案外引き下がった。」と俺は答えた。

 帰宅するため境内を後にしようとしたらスマホの着信音が鳴り、画面には「親父」と表示され、電話に出ると尋常じゃない様子で「凌、よく聞け、今は家に帰るな。何せ近所で化け物が暴れ・・・」と電話越しで話している途中に想像したくもない情景が浮かぶような音が聞こえた。そして、それから俺が何度も「親父、どうしたんだよ。返事してくれよ。お袋や姉貴は無事なのか。」と呼びかけるものの全く返事がないため諦めて電話を切った。

 とりあえず神社に残った俺は家族のことが気がかりになり自宅の方へ向かおうと石段を下り切ったところで電話が鳴り、画面に「姉貴」と表示されていたため電話に出て「もしもし姉貴、みんな無事か?」と尋ねたが発信したのは姉貴ではなかった。俺に対して姉貴のスマホから電話を掛けたその人は魔術庁月小國支部の紅月 (ひじり)と名乗った。通話相手が俺の知ってる人だと知って安心した俺は「聖さん、家族の様子はどうでしょうか?」と尋ね、向こうも「良かった、君か。大変申し上げにくいんだけど、君の両親とお姉さん、ご臨終だ。」と自分の知っている人が出たことによる安心感を得た後に嘘だと信じたいことを言い放った。

 そして、俺は絶望した。念のため、聖さんに「まさか・・・嘘ですよね。」と問い詰めるも「嘘だと思いたい気持ちはわかるんだけど3人ともかなり派手な死に方をしてるんだ。もう手遅れだ。」

 「それにこの辺一帯思い切り壊されてる。これは・・・しまった、君との連絡に気を取られていて攻撃を受けた。それじゃあ切るね。」と最後は危機的な状況に陥ったところで聖さんからの連絡は途絶え、ツー、ツーと電話が切れた音が聞こえるのみとなった。

 俺はこうしちゃいられないと思い石段を駆け上がって御神体の間へ赴いた。そして、長刀に向かって「決めました。俺、あなたの力を授かります。」と声をかけると「そうか、だが、力を授かるということは同時に代償として呪われてしまうがそれでもいいのか?」と聞かれ、俺は「俺の大事な人があの世へ行ったんだ、憎き者どもを討ち取るためなら俺は死ねなくなったって構いません。」と決意を伝えた。

 すると、先ほどの少女が現れて「死ねなくなったって構わない・・・か。よかろう、今から力を授ける。そこで目を瞑っておれ。」と俺に指示を与え、「汝、この物に血の力を授けたり。そして、血の呪いを受けさせたり。」と唱えた。そして1分弱が経ったころに「終わったぞ、目を開けろ。」と言われ、目を開けると光景には何も変わりはなかった。だが、後ろを振り向くと結依がこちらを見て「凌、もしかしてその体は呪いでそうなったの?」と聞かれ、俺は自分の体を見た。その体はそこそこの大きさの乳房を持ち、人が見ている中行うのは(しゃく)だったが仕方なく自分の下半身を確認すると男としての象徴が存在しなかった。

 すなわち俺は女になっているのだった。これは流石に呪いとして受け入れることに抵抗があり、「ふざけないでください、まさか呪いで女になるなんて思ってませんでしたよ。元に戻してください。」と長刀に向かって詰め寄った。その攻め立てる様子に対して我慢できなくなったのか神様が出てきて「実は血の呪いにはさまざまな種類があってな、英雄カーマインが受けた呪いは不死呪(しなずののろい)、お前が受けたのは性変呪(しょうがわりののろい)だ。」と俺に説明した。その説明で俺はこうなった理由に納得したがこの体は正直言って受け入れることができない。元に戻る方法を神様に聞くと「その呪いを解くには22個ある解呪の勾玉をすべて集めなくてはならない。そのためには今年度の16校合同魔術科入試を受けろ。そうすれば目的は果たされるだろう。」と神様は答えた。

 だが、気になる問題点が一つある。それは勾玉持ちが1つのクラスに集まる可能性が低いということだ。もし勾玉持ちの学校やクラスがばらばらだと俺が元の体に戻るのに多大なる時間を要する。それを不安に思った俺は「大丈夫なんですか?仮に俺が魔術科に入っても22個全部集めるのは難しいんじゃ・・・」と尋ねると神様は「こっちがバックアップするから大丈夫だ。」と答えた。

 今の現状に俺は「姉貴たち死んでしまったし聖さんも自分が危機的状況に陥ってから連絡が取れないし挙句の果てには女になっちまった。これから俺、どうすればいいんだ・・・」と嘆いた。その時、結依のスマホが鳴り、結依が電話に出ると「えっ、姉さんが殺された!?まさかそんな事ないですよね。」と反応したためどんな要件か分かった。

 聖さんも死に、俺と結依は2人で絶望した。身寄りを失った俺は小百合ちゃんの提案で神社で寝泊まりすることにした。こうして、一夜にして大きな運命に立ち向かうことになった俺の物語が始まるのであった・・・

 今回よりスタートした「怨血」如何でしたか?この作品ではtwitterを用いて話の進み方を決めようと思っています。

 投票方法はhttps://twitter.com/ONKETSU_NAROUをフォローし、その後はツイートの指示に従ってください。

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