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僕の中のサボテン  作者: 過去のサボテン
2/2

2.僕とサボテン

前回の続き、二回目の活動です。

初心者なので、お手柔らかにお願いします。

キーンコーンカーンコーン…

チャイムが鳴ると校庭には陸上部が散らばり、ウォーミングアップを始めた。一、二、三、四…、のかけ声に、下手に合わさる吹奏楽部のラの音。そこに、体育館の床をゴムが擦れるリズムが加わっていく。放課後の学校は、火事も少しは弱まって、皆がそれぞれのことに夢中になる。皆が異なることをしているのに、オーケストラが演奏をしているようだ。下手なオーケストラ、でも、先生への悪口となると急にまとまるオーケストラ。なんだか、嫌だなぁ。



僕は放課後も、化学室に残ることが多い。特にすることはないが、窓の外を見るか、名前が読めない薬品のそろう棚を眺めるか、教壇に立って誰もいない座席を見渡すか…。暇は暇だが、考え事をしているとすぐに時間が過ぎてしまう、不思議な空間なのだ。その空間の中に、『化学部』と書かれた貼り紙が落ちているのを拾ってしまった。


化学室を少し前まで使っていた化学部は、顧問(先生)の不在により、活動休止を強いられていた。仕方がないことだが、彼らにとってはオーケストラに加われないことが悔しくて仕方がないだろう。

「そこで何してんの?」

僕は突然後ろからぶつかってきた声に、思わず体を大きくびくつかせてしまった。その声の主は僕の視界へ、横からひょっこりと顔を覗かせた。丸く大きな瞳と、長いまつげが特徴的な背の高い女子だ。……僕の背が小さいから、余計に大きく見えてしまう。


「ん?どしたの?…あ!それ、うちのやつだわ。拾ってくれてありがとうね。」

「あぁ…。」

「あんた何年?」

「あっ…えっ……、二年です。」

僕は酷く緊張していたようだ。そりゃあ、今まで人と関わることも少なかったし、ましてや女子とは無縁だと思っていたし…。

「へぇ~、私は三年だから、あんたより先輩だね。化学部部長をしているリカ先輩だ、チビッ子、よく覚えとけよ~。」

意地悪そうに微笑む顔には、大人の余裕と子供らしい無邪気さがあった。






リカ先輩…とは、その後も化学室で何か話をしていただろうか。僕は緊張感に負けたのか、忘れたくなるほど恥ずかしい話をしたのか、リカ先輩との会話を思い出せないでいた。

先輩が先に帰ったことは覚えている。だから、また僕は一人、化学室にいる。そうだよな。

落ち着きを取り戻し、誰もいない化学室をぼーっと見つめていると、さっきとは違う様子だ。何かが違う気がする。


「ん…サボテン?これは……あぁ!」

さっきまでは無かったサボテンの鉢が、机の上に置かれていた。鉢には『青竜丸』というプレートが刺さっており、おそらくこのサボテンの品種だろう。鮮やかな青緑色に、白の鋭いトゲを伸ばしている。


どうしてトゲに触れば痛いだろうと想像がつくのに、僕はサボテンに触りたくなるのだろうか。

やめておくべきだと頭ではわかっているのに、指が自然とサボテンのトゲに伸びていく。


チクッ

「イテッ…」


意外と僕は大胆な人間だった、らしい。好奇心を冷静な判断で中止するなんてできない、らしい。

引っ込めた指先を見ると、鮮やかな赤色が小さく盛り上がってくる。その赤の美しさに、僕の目は釘付けだった。


赤い膨らみを凝視してみると、その中にニンマリと満足げな顔が見えたような気がした。だから、僕は少し笑ってしまった。後から思えば、自分の血を見て笑ってる人間だなんて、なかなか病んでるヤツだ。他の人に見られなくて良かった。


そういえば、僕は自分が思いつくままに行動してみるなんて、このサボテンのトゲで指をケガする以前にはあったのだろうか。…思い出せない。だから、僕は何だか満足していた。その興奮を抑えながらも、指先の血を舐めた。

「うげっ…本当に鉄の味だ…」

口の中に広がる鉄の香りと、血の味に、僕の心臓は今まで以上に強く脈打つ。


やっぱり僕は危ないヤツかな。

いやいや、たまたまだよな。

そんなことを考えて、またニヤつく顔が窓ガラスに映っていた。




しばらくして冷静さを取り戻すと、リカ先輩との会話も少しずつ思い出してきた。

「このサボテン、化学部のなんだけども。しばらく世話できなくなりそうだし、あんたはいつもここにいるようだし、この子をしばらく見てあげて。水やりはそんなに必要ないけど、ほら、冬の寒さがサボテンに可哀想じゃない。あんたがこの子の面倒を見てくれたら、うちらも助かるわ。」



あぁ、サボテンの世話を頼まれたんだった。



今日は、僕の最近の中では一番、楽しかった日だ。

リカ先輩からの頼みも、別に嫌じゃないし。

きっと、しばらくは楽しみが増えるんじゃないか。と、明日を期待できるような心の余裕がまだ死んでいなかったらしい。


こうして、僕は化学室でサボテンと過ごし始めた。

ご拝読、ありがとうございました!

次回にも作品は続きます、よろしくお願いします(^^)

また、アドバイスや感想なども受け付けます。

私もちょっとずつ勉強していくつもりです。

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