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異世界アプリ  作者: ヨシナリ
5/9

一瞬の戦闘


「…ぃ… … じ…?」


「おい!レイジ‼︎」

「うおっ!?」

ババ様の喝で目が覚めたと同時にババ様の顔が近過ぎてびっくりした。


「うおっ!じゃないわい。道端で寝るとはだらしがないぞ。」

「ごめんなさい。」

少し頭がグラグラする。

「…飲み過ぎたなぁ。」


宴から一夜明け、起き上がると目の前にはババ様と共に、恰幅の良い男たちが8名と、今の俺と同じくらいの年齢であろう女の子が一人立っている。

馬車が2台用意されており、荷車も2台用意されている。それぞれ許容一杯程ではないが、十分にアイテムを積んでいる。


「あの、これはどういうことですか?」

「おまえさんから貰ったアイテムの換金に行くんじゃよ。村で直接使う資源以外は、隣町まで換金に行くんじゃ。」

「俺のアイテムアプリに入れていけば、こんな大所帯じゃなくても大丈夫だと思いますけど?」

ババ様が顔を曇らせる。

「前にも言ったじゃろう。お主が不用意に正体を晒せば、大ごとになる可能性が高いのじゃ。」


確かに。俺の存在はおそらく人外的なのだから、大人しくしておいたほうが良いだろう。

昨日見た自分のステータスを思い返して、再認識したのだった。


「気をつけて行くのじゃぞー!」

ババ様と残った村人たちが見送りをしてくれているのを背にして、俺たちは隣町へと歩み出した。


隣町へは創生の森を抜けて更に東へ進んだところにある。単身で歩けば半日もかからないとのことだった。


創生の森を歩きながら、対峙したモンスターは、先頭を歩く″ラルフ″と()()()()を務める″ブラウン″によって討伐されていった。

ラルフやブラウンが傷を負うと、一緒に来ていた少女が魔法のようなモノで癒していく。


「すごいな。それって魔法?」

「は、はい⁈」

後ろから声をかけたのがいけなかったのか、少女は驚き跳び上がった。

「ごめんごめん。俺はレイジ。君は?」

「私のほうこそ驚いてしまってごめんなさい。私は″マリー″。″マリー=アンドレ・サ・コルレオーネ″と申します。」

「えっと、マリーって呼んでいいのかな?」

「もちろんですよ。レイジ様。」

「俺のこともレイジでいいよ。ところでマリー、さっき使っていたのは魔法かい?」

マリーは少し不思議そうな顔をしながら言った。

「もちろん魔法ですよ?私は神官見習いで、初級の神聖魔法ならある程度使えるんです。」

「いいなぁ。俺も使ってみたいな。」

「レイジは魔法系統のジョブなのですか?」


どうやらジョブによって魔法が使えるかどうか決まるらしい。

(創造主って魔法使えるのかな…)

マリーとそんな話しをしていると、ラルフが緊迫した声をあげる。

「大ニワトリだ…‼︎」

馬車を操っていた御者たちや、荷車を引いていた男たち、そしてしんがりを務めていたブラウンも前へと出てきた。


「おいおい、なんてこった。」

ブラウンがそう呟くと、大ニワトリの後ろから更に3羽の大ニワトリが現れた。

男たちに緊迫が走る。


マリーが積荷に目を向けながら言った。

「レイジは今まで、何匹の大ニワトリを狩ったの?」

男たちが視線を俺に向けた瞬間、

「コケェェェーーーー!!!」

一羽の大ニワトリが劈くような声で鳴いた。


鳴き声が森へ響くと同時に残りの三羽が前へと土を蹴り出そうとした。

(ああ。俺、強いんだっけ。)

特に何か考えた訳ではないが、俺の足はニワトリよりも先に動いたらしい。

そのまま先頭のニワトリの頭に右腕を振るった。一羽のニワトリが弾けた。

レイジには殴った感触すらあまり伝わらなかった。そのせいで空中でバランスを崩しながら鳴き終わりがけの大ニワトリへ突っ込んでいく。

体制を立て直せないまま、レイジの左踵がニワトリの首へと当たり、二羽目のニワトリが弾け飛んだ。

そのまま一瞬の空中浮遊を楽しみ、着地する。

(ズザァァァー)

砂を擦る音と共に、

(ドパンッ!)

という衝撃音が感覚を置いて森へこだました。


辺りは刻が止まったような静寂に包まれた。

「…いてて。」

不時着?した俺が起き上がると、残った二羽のニワトリは慌てるように森の奥へと逃げていった。


未だ何が起きたか分からないという様子のブラウンに声をかける。

「大丈夫ですか?」

「…あ…ああ。それにしても、すごいな。」

マリーが駆け寄ってきた。

「お怪我を…」

治します。と言おうとしたのだろうが明らかに無傷な俺を見て、安堵の息を漏らした。


「レイジ様がいれば俺とブラウンは要らなかったんじゃないか?」

ラルフはそう言いながら少し笑っていた。

「レイジ様がいてくれりゃ安心だ。さあ、先へ進もうぜ。」

ブラウンは意気揚々としている。


あと一時間もしないうちに森の外へ抜けるだろうということで、俺たちは静かになった森を東へ進むのだった。

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