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異世界アプリ  作者: ヨシナリ
3/9

伸びしろ


異世界に来て3日目の朝である。

「さて、HEROES(ヒーローズ)はどうなったかな?」

放置していたアプリを起動してみる。


「--- exp ヲ 80 獲得 シマシタ ---」

「--- LV ガ 1→2 二 ナリマシタ ---」


どうやらアプリを起動してようやく反映されるらしい。

記録も見れるようだ。

バトルログと書かれたボタンを押すと

寝ている間に行われた戦闘について確認ができた。


ホーンラビットと50回、ゴブリンと10回戦闘し勝利している。

アイテムも様々と入手できたようだ。

「一晩で60回の戦闘かぁ。ペース的にかなり遅い気がするなー。まぁ、どのくらい寝てたかも明確ではないけどね。」


レベルが2に上がったということで、俺はカメラアプリで自分のステータスを確認してみることにした。


名前:レイジ=アンドウ

種族:人間

レアリティ:GR

ジョブ:創造主

レベル:2/999

HP(生命力):20

MP(魔力):10

STR(物理攻撃力):10

DEX(器用さ):10

VIT(物理防御力):10

AGI(敏捷性):6

INT:(魔法攻撃力)10

MND(魔法防御力):10

スキル:HEROES


「倍になってる。」

一日で幼女から少年へ昇格した気分である。

続いて、色々と入手してあるアイテムの確認をしてみる。

「ホーンラビットの角が20本と、毛皮が12枚、兎の肉が6個と棍棒が3本、木刀が1本、腰ミノが2枚…う〜ん、よく分からないな。ババ様に聞いてみるか。」


居間に行くとやはりババ様が朝食を用意してくれている。メニューは昨日と同じだ。

3日目ともなると流石に気が引けるところがあり、この村の財政についても聞いてみたが、裕福ではないらしい。

「村人たちの冷たい視線も合点がいくな。」俺は苦笑いしながら、ババ様に獲得したアイテムを見せた。

ババ様が驚いた表情で経緯を聞いてきたので、アプリのことも含め、どうやってアイテムを入手したのかを話した。


一通り聴き終えた途端、ババ様は真剣な眼差しでこう言った。

「この事は決して口外してはならぬぞ。」

ただでさえ異様な存在の俺だ。自重しなければ身を滅ぼすぞ、ということだろう。


俺はババ様とこの村に恩返しがしたかった。

「このアイテム、全部寄付したいのですが。」

ババ様は嬉しそうに言った。

「良いのか?実はお主が先ほど言ったように、村の者たちは今、お主のことをよく思っておらん。不審がっておるのじゃ。ワシはお主が何かを成す為に召喚されたものだと思っておる。力を示してやってくれないか?」

「どうすればよろしいのでしょうか?」

「なに、このアイテムで十分なのだが、少し量にインパクトが足りなくてね。もう少し集めてきてくれれば、村人たちを集めてお主の顔を立てることもできようて。」

「分かりました。創生の森へ行ってもよろしいですか?」

「そのステータスじゃとてもじゃないが一人で行くのは危険じゃ!」

「レベルは2になりまして、ステータスは見ていただいた頃の倍あります。」

「なんじゃと⁈…なるほど、それくらいあれば森の入り口らへんの散策なら問題ないじゃろう。ただし、ゴブリンに遭遇したらすぐに逃げるのじゃぞ!」


どうやら、ホーンラビットは倒せるが、ゴブリンはまだ厳しいということだろう。

俺は村を出て、一人東へ歩いていった。一時間ばかり歩いたか、ホーンラビットが現れた。俺は取得していた棍棒を取り出し、ホーンラビットの角に注意しながら思いっきり殴った。

(ゴトン)

角が地面に落ちて身体は朽ちてしまった。


俺は落ちた角をアイテムアプリに収納した。


「--- ホーンラビット ノ 角 ヲ 獲得 シマシタ---」

「--- exp ヲ 1 獲得 シマシタ ---」

「--- LV ガ 2→3 二 ナリマシタ ---」


「おっ!ラッキーだ!レベルアップ!」

すかさずステータスの確認をする。


名前:レイジ=アンドウ

種族:人間

レアリティ:GR

ジョブ:創造主

レベル:3/999

HP(生命力):40

MP(魔力):20

STR(物理攻撃力):20

DEX(器用さ):20

VIT(物理防御力):20

AGI(敏捷性):12

INT:(魔法攻撃力)20

MND(魔法防御力):20

スキル:HEROES


「…おいおい。流石にこれはチートだな。」

さらに倍になったステータスに少し引いてしまった。

「これなら森の探索もある程度やっても良いんじゃないかな?ヤバそうだったら逃げよう。」


俺は大胆に森の中を探索した。

ホーンラビットにゴブリンは勿論のこと、

ビッグアント、ウェアラット、大いもむし、ビッグトード、大ニワトリと遭遇し、戦闘になった。


「ヤバイ。日が暮れそうだ。」

戦闘に夢中になっていたが、我に帰りダッシュで村へと走った。

ババ様の家に入る前に村の井戸で水浴びをした。寒かった。

ババ様は晩御飯を用意してくれており、俺の帰宅を喜んでくれた。

共に晩御飯を食べながら、今日のことを話した。


「なんと⁈大ニワトリを倒したのか⁈」

ババ様が驚きの声を上げる。

どうやら、創生の森では大ニワトリが一番強いらしい。

戦闘回数が少なかったので、アイテム収集ができていないことをババ様に伝え、俺は部屋に戻ってHEROES(ヒーローズ)を起動した。


「あれ…⁇」

おかしい。起動しても経験値もアイテムも入らないぞ。冷や汗が出てきた。

しかし、画面内の戦士は延々と戦闘をしている。

「大ニワトリと戦ってる…!」

そう。今日、森の探索へ行ったのは、HEROES(ヒーローズ)のモンスターが増えるかもしれないと踏んでいたからだ。

「読みは当たったから良いものの、アプリを起動して経験値もアイテムもなしじゃ意味がないじゃないか。」

俺は落胆した。お先真っ暗だ。

(明日、ババ様に謝ってこの村を去ろう。)

そう思いながら眠るのであった。


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