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異世界アプリ  作者: ヨシナリ
2/9

HEROES


異世界に来て2日目。

見知らぬ天井にて目を覚ました。

「そうか…。」

異世界に来たことを実感した瞬間である。夢ではないのだ。


居間に行くとババ様が朝食を用意してくれていた。黒くて固いパンはとても普段食べているような物ではなかったが、玉子に関しては自分の居た世界とは思えない程に香り豊かで濃厚な味わいであった。


一通り食べ終えた俺は、村の様子を見る為に外へ出た。村人たちは農作を中心とし、狩りも行いながら生活しているらしい。

先日、モンスターを目の当たりにして、手も足も出なかった自分が恥ずかしく思えた。


ゲーム内のジェネシスのNPCは10名程だったと記憶しているが、見渡せば女子供を含め40名は越えているようだ。


目の前に広がる光景にワクワクした俺は、スマホを取り出しカメラを起動する。

するとどうであろう。カメラに写し出された人間のステータスが歪んで見えるではないか。

俺はなんとなく、12、13歳ほどの少年に焦点を合わせてみた。


レアリティN、レベルは6、HPは22で、攻撃力は11ある。

(ヤバイ。俺より強い。)

慌ててインカメラで自分を見てみるが、昨日みたステータスと変わらないようだ…。


カメラアプリを使いながら、村を散策してみたが、どうやら俺は5、6歳の少女と同じくらいのステータスということが分かった。当然、村の外になんて出る気が起きなかった。


村には一通りの施設があり、宿屋や武器屋、防具屋、道具屋などあるにはあるが、どこも品揃えが如何にも〝最初の村〝ですと言わんばかりの品揃えであった。


なにが異世界召喚だ、なにがチートスキルだ! なにがハーレム展開だ!!

などと思っていたその時、


「--- HEROES(ヒーローズ) ヲ 習得 シマシタ ---」


頭の中でアナウンスが流れた。

HEROES(ヒーローズ)…?)

訳が分からない。身体に変化はないし、スマホを見ても特に変わったところはない。カメラアプリで自分を見たが、変化なし。

右手を前に突き出しながら

「ヒーローズ!」

と唱えてみたものの、恥ずかしくなるだけだった。

「なんなんだよ…。」

俺はガッカリしてババ様の家へと帰っていった。


ババ様が夕食を用意してくれており、その晩はババ様の息子の話を聞いた。

ババ様の息子は名を〝アラン〝というらしく、神官となる為、各地を巡礼中とのことだった。その為、空き部屋があり、俺が来たことで寂しさも紛れているようであった。


食事を終えた俺は、アランの所有物であろう

部屋のベッドでまた一人ふけっていた。というのも、夕方頃に頭の中に響いたアナウンスが気掛かりであったからだ。

「何か変化があるはずなんだよな〜」

スマホをポチポチいじってみる。

アプリストアを見てみる。

「おっ…‼︎」

何も配信されていなかったのに、一つ配信されているアプリがある。

早速ダウンロードしてみる。


「--- HEROES(ヒーローズ) ヲ ダウンロード シマスカ?---」


「もちろんYESだ!」

スマホのトップ画面にHEROES(ヒーローズ)のアイコンが現れた。


起動してみる。

軽快なBGMと共にレトロ感漂うドット絵の戦士が現れる。

チュートリアル的なものは特にないようだが、この手のアプリはなんとなくやったことがある。

「放置系のRPGかな?」


放置系RPGとは、特に操作しなくてもキャラクターがモンスターを倒していってくれて、勝手に経験値やお金を取得し、プレイヤーは再度アプリを起動した時に溜まった経験値やお金を消費してキャラクターを強化し、強化したキャラクターをまた放置して経験を積ませることを繰り返すゲームが主である。


HEROES(ヒーローズ)も同様のゲームだと思われる。

キャラクターは戦士一人だけ。

「行ける場所は…創生の森だけか。」

とりあえずやれることだけやっておこう。

画面内の戦士が創生の森の探索を開始した。


しばらく画面を眺めていて、気付いた事がある。戦うモンスターは実際にこの目で見た″ホーンラビット″と″ゴブリン″の2種類のみなのだ。どれだけ戦闘をこなしても、先へ進む気配はない。


他にやれることもないようなので、眠ることにした。

「それにしても、ずっとお世話になっているわけにもいかないよなぁ…」

そんなことを考えながら、意識は闇へと薄れていった。


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