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有限は無限に語りだす。  作者: 向日雪音
本編
2/11

『価値』

――鬱蒼とした森の中、不思議な小屋がありました。

 薬品の匂いが立ち込める小屋の中、女主人はカウンター奥に座りながら新聞を開いています。

 フード付きローブで姿を覆っておりますが、醸し出る雰囲気は人を魅了する果実のようで、爛々とした姿は浮世離れした美しさを隠しています。

 一つ吐息を零すと、新聞の捲る音が止まります。

 翡翠色の瞳に映る内容は〝連続殺人〟です。

 近隣の村や町で、無差別殺人が行われているらしいです。

 ほとんどの死因は〝刺殺〟

〝魔女〟のいる世界ならよくあることです。





――カランコロンと乾いた音がする。

「いらっしゃいませ」と奥の女性店主が、事務的な挨拶を述べます。

 来客に合わせてフードを外すと、非日常的な蒼い髪が姿を現し、全てを呑み込む大海のようです。

そんな女性店主こと、(わたくし)――〝シャルロット〟はゆったりとした口調で、


「御要件は?」


 と端的に言葉を紡ぎます。

 すると、薄暗いお店の中を細かな歩幅で歩いてきます。

 入ってきたのは、小さくて可愛い魔女見習いさんでした。

 ローブを纏い、リコリスを彷彿とさせる赤眼、栗色の髪の毛はふんわり、思わず抱き締めたくなります。明らかに表情が暗く、モジモジしながら近付いてくると、ギュッと握り締めた手を背伸びしながらカウンターの上に置いて、


「おかあさんがおかぜなの、

 げんきにしたいの……『ゆーげんのまじょ』さんにおねがいしたら、

 なんとかなるかもっていわれたからきたの、だから、だから……」


 パッと離すと、金貨が三枚と折り目が付き過ぎた一枚のメモ紙が、無音の中で空気を震わせました。

 私はメモ紙に目が気になり、中身を拝見……思わず吐息が零れました。

 魔女見習いさんは「うぅっ」と今にも泣き出しそうな表情を浮かべて、上目遣い……非常に狡い。


「お嬢ちゃん?」


「んぅ?」


 私の声が威圧的なのかは分かりませんが、いよいよ泣き出す数秒前の魔法見習いさんに、


「泣いちゃダメ」


 ぶっきらぼうに言葉を吐き捨てました。あぁ、陰湿で悪い魔女がトドメの一撃を加えてしまいました。

 言ったのは……うん、私ですが何か?

 ただゆっくりと溢れ出しそうな雫に、良心の呵責が限界を迎えました。


「ちょっと待ってなさい」


 比較的優しい声音をかけると、私はむくりと立ち上がり、欠伸をしました。

 私に出来ることは一つだけ。

 不思議そうに声をあげる少女を背に、数多ある棚に向けて目を凝らし、小さな小瓶を手に取ると、可憐な魔女見習いさんに渡してあげました。


「これは?」

「それは金貨に対する対価、貴女が受け取るべき等価交換よ」


 小首を傾げて新しいモノを眺める姿は見習いさんらしい魔女の本心、未知への探究心にも見えます。

 つぶらな緋色の瞳がこっちを向くと、私は慣れない作り笑いを浮かべます。


「つまり?」


「お薬よ」


「やったーっ!」


 中身が何か分かると、魔女見習いさんは自然と笑みを浮かべました。まるで、開花直後の向日葵です。今にも飛び跳ねそうな、年相応の子供の無邪気な姿に私の頬も緩みます。


「さぁ、おかえりなさい。おかあさんが待っているのでしょう?」


 あくまで落ち着いた様子を取り繕います。えぇ、私は優しい女店主なのですからね!

 はい、本心ですか?

 そんなものは決まっています、物凄く撫で回したい、可愛い子はいいものですね。


「うんっ!」と大きく頷く元気な姿に、先程までのめそめそ顔は消えていました。

 魔女見習いさんはくるりと私に背を向けて、テンポよくお店の出入口へ。

 よく跳ねる髪とローブは、兎が巣穴に帰るみたいです。

 お店の出入口を開ける前に、魔女見習いさんはもう一度ターンして可愛らしいお顔が再度こんにちは。


「ありがと、『ゆーげんのまじょ』さん!」


 満面の笑みが零れると、その笑顔の主は姿を消したのでした。




   ◇◇◇




 少女が帰った店の中、


「――よう、珍しく優しい接客だったこって」


 カウンターの側で陽炎の如く揺らめく何かが、影と共に姿を現しました。

 鮮やかな空色と灰色のコントラストな毛が身体を包み、吹雪の様にくすんだ部分も爽快な空も顔を出す。

 決して綺麗とは言えませんが、何処か獰猛さが抜けない、小さなワンコがちょこんと座っていました。


「見ていたの、悪趣味じゃない?」


 私は不満を露わにします。当然です、なにせ女の子二人のやり取りを盗み見ですから、ストーカーに違いありません。


「俺は〝影狼(かげろう)〟だぜ、あたりめぇよ」


「もしもし、魔女警察で……」


「悪かったから、その最新鋭小型端末でポリスメンは呼ばねぇでくれ!?」


 言い逃れようとしたので電話を掛けようとしてみましたが、素直に謝ったので仕方なくやめました。

 ちなみに〝魔法〟の世界にも〝科学〟は存在します。中身は魔改造されているので、スペックは段違いだったりはしますけどね。

 さて、先程から私とお話ししているのは、ハスキーボイスの自称〝影狼〟さんこと〝フェンリル君〟です。一応、ストーカーではありません。

 私の従順な犬であり居候、ちょっと神様に喧嘩を売っちゃい懲らしめられた結果、小さくなった残念なワンコです。


「おい、今とても失礼なこと考えていたろう?」


「いいえ。貴方が哀れで、惨めで、愚かで、

 ちょっと大きくなった程度で神様と喧嘩する程度の子犬とは思っていましたが、

 失礼には当たりませんよね?」


「さらっと毒を吐いてんじゃねーぞ、俺だって傷付くんだからな!」


 こんなセリフを話す……マスコットキャラみたいなワンコさん、実にキューティクルですが、


「で、あの〝()()()()()〟は一体何だったんだよ?」


 デリケートな箇所には的確に突いてきます。

 チラとフェンリル君を見ると、それはそれは真面目な表情(表情差分はほぼ分からないデフォルメワンコさん)ですが、何となく分かります。

 えぇ、これでも魔女ですから。


「はぁ、ちょっとこっちにおいで」


 膝の上をぽんぽんと叩いて、こっちに来るように促します。


「んっ」


 フェンリル君もそれに習い、私の膝の上に乗り、座りやすい体制を取ると身体を触り、ちょっと毛並みチェック……ではなく真面目な御話の準備が完了。

 二人にとってのベストポジション。

 故に、こうなると私も巫山戯(ふざけ)た会話は出来ません。

 これは、礼儀でもあります。



「それで、フェンリル君は何を〝前提〟に不等価交換と言うのです?」



 実は数少ない本音で語らえる友人でもあるのです、失礼無きよう語らうとします。

 では、本題に参りましょう。




   ◇◇◇




「勿論、価値の交換に対するモノだ。

 シャルロット……アンタがあげたあのお薬は、

 ――()()()()なんて価値の代物じゃねぇよな?」


「世間的にはそうなのかもしれないですね」


 そう、あのお薬は世間体で言うと、価値の付加が出来ないとんでもないお薬なのでした。

 強いて価値を付ける……なんてことすら烏滸(おこ)がましい、

 価値の概念を超越したあの薬の正体とは、


「だって〝エリクサー〟ですからね」


 不死に至る、錬金術の完成系だったのですから。

〝エリクサー〟――別名〝霊薬れいやく〟と同一視されるモノ。一口飲めば不老不死に至るとされ、人の身が比類なき神智に近付こうとした一歩である薬。錬金術師なら誰もが挑む、最後の問題でもあります。

 あらゆる錬金術師はその答えを見つけられずに一生涯を迎えてしまうが、案外魔女にも作れるモノなのだ。私すごい!


「だったら尚更だ、簡単に譲ってしまったら人類は簡単に神々と近くなっちまう」


 フェンリル君が問題点を追及し始めます。それもそうですよね、だって〝エリクサー〟らしいですからね。大問題です、大問題。


「そうね」


「それなら、俺はあの娘に手を出さなくちゃいけねーようになる」


 おっと、話が物騒になってきました。


「どうしてですか?」


「一応、〝神〟寄りの立場だからな。死は死として有るべきだし、死を恐れないヒトは――悪魔より悪魔に、神よりも神に近付いちまう。人類史というパワーバランスが崩壊もする、それは由々しき問題だと思うし、何より俺の仕事が減るのは勘弁だな」


「ふーん」


「おいシャルロット、めちゃくちゃ回答がテキトーになってないか?!」


 ちっ、バレてしまいました。

 気を取り直す為フェンリル君の毛をなぞり、子犬とかが気持ちよくなりそうな辺りをピンポイントで撫でますが、


「無言になって撫でよたって俺は誤魔化されないぞ。あっ、その手は止めるなよ、話は聞いてやるから」


 案外気持ちいいらしいですが、誤魔化しは効かないみたいです。

 私は手を動かしながら一息吐くと、一拍置いて話し始めます。


「まずあの薬ですが、私はあの子に見合うモノを等価で支払ったつもりです。たとえ、神々への叛逆と捉えられようとも、私は私の義務を遂行したまでですから」


「なんだか聞こえは良いが、無茶苦茶だな」


「何が無茶苦茶なの?」


 呆れたように、フェンリル君が溜め息を吐きました……生意気です。


「……お前は、不死の力は要らないのか?」


 大それた問答です。


「いいえ〝在るなら〟欲しいですね」


 なので、驚くように仕返しをしました。


「は――今なんつった?」


 首を無理矢理曲げて私の方を見るフェンリル君は、やはり可愛らしい子犬です。

 醸し出す雰囲気は最悪でペットショップに居たなら、絶対に買わないぶっきら棒な顔をしていました。


「いいえ?」


「違う、その後!」


「ほ、欲しいですね」


「頬を染めながら言うな、可愛くねぇよ。それに違う、その前だよっ!」


「〝()()()()〟……でしょ?」


「そうだよ、どういう意味だ?」


「そのままの意味です」


「もしかして、無いのか?」


「えぇ、私は〝エリクサー〟とは言いましたけど、不老不死の薬とは言っていません」


 頬を膨らまし拗ねて話す私に、頭の回転が遅い子犬さんが未だに疑問符を頭から飛ばしています。

 ――そうです、私は〝エリクサー〟を渡しましたが、〝不老不死〟の薬を渡した訳ではありません。本当に〝不老不死〟の薬があるなら、神に高値で売り付けます。


「どういうことだよ、お前は嘘の薬をあの嬢ちゃんに売り付けたって言うのか?」


 さらにムードが険悪になりました。

 私は、溜め息を吐きます。えぇ、二回ぐらい間を置いて吐きましたとも。

 まさか、魔法界の一般教養から話をするなんて、思いもしていませんから。


「それも違います。いいですか……まず、フェンリル君は『錬金術』とは何をする術かを理解していますか?」


 尻尾をべしべしと上下させ、更に不満を露わにします。

 当然ですよね、私よりも長く生きる〝伝説的な番犬〟に、今さら一般教養なんて猿に木登りですからね。

 それは嫌な顔もするでしょう。


「そりゃ卑金属を貴金属に変えたり、対象物をより当人の理想形に……完成形に変えたりする為の術だろ、それぐらい俺にだって素養はあるぞ?」


 なるほど。


「確かに〝正解〟ではありますね。ただ今回の〝解答〟とは違います」


「じゃあ、今回の〝解答〟つーのは、なんなんだよ」


 焦らされ続けて限界を迎えつつあるワンコさんに、より口調を落ち着けて窘めるよう――言葉を放つ。


「元来、錬金術は〝()()()()()()()()()()()()()()〟でもあるのです。

 錬金術師達にとって、卑金属を貴金属に変えるのなんて過程にしか過ぎず。

 最終行程としては〝生命〟の〝性質〟を得る事が目的とされています。

 でもって、〝生命の性質〟は人を不滅にすると言われていて、その〝生命の性質〟こそ、

 俗に呼ばれる〝エリクサー〟だったり〝賢者の石〟とか呼ばれるモノだったりする訳です」


 ここで言う性質とは、〝そのモノ〟を〝そのモノ〟たらしめている性質の事を指していて、例を出すと……私たちが、金を金と思う為の判断材料と思えばいいです。

 それを抽出する術でもある、という事です。


「それが、お前があげた紛い物と何の関係があるってんだ?」


「私があげたのは…飲んだ途端に身体の中で〝錬金術を行う為の薬〟

 ――〝万能融解液〟という〝物質から性質を抜き取る〟エリクサーの完成前をあげたのです」


「はぁっ?!」


 語られた真実に、さも理解出来ないのだろう尻尾が上下にバンバンと振られており、

 私の太ももがチクチクする、非常に不快です。


「じゃあ、テメーはあの子から魂を抜くことでエリクサーを完成させようってのか!」


「はい、その通りです。私はあの子を〝救う〟為に敢えて、完成前をあげましたから」


 グルルと唸る声がします、相当気が立っているのか可愛い手からは爪が出ています。

 ローブを通り越しに爪が当たっていて、非常に痛いです。

 乙女の肌が傷ついて辛いです。えっ、乙女と言える年齢かどうか……さぁ、どうでしょうね。


 私は、本日最後にしようと決心して、もう一つだけ吐息を零しました。




「但し、完成したエリクサーは〝屍人(グール)〟の魂を取り込んでいるでしょうから、

 使い物になりませんけどね」




「は?」


 本日二度目の驚嘆を聞いて、満足しました。




「フェンリル君の目は節穴ですか、彼女は〝屍人(グール)〟に憑かれて間もない子供です」




――では〝屍人(グール)〟とは何か?

 書いて字の如く〝死んだ人の魂が成仏を出来ぬまま、身体の概念を有するモノに魂を宿した人やモノ〟を指します。

 俗に呼ばれる〝ゾンビ〟は自らの手で人を殺して、死人に自らのゾンビウィルスを投与することで仲間を増やしていきますが、屍人は作られる原理が違うので、ゾンビみたいに増えることはありません。


 執念・怨念・復讐心・羨望・失望・野望・後悔……等々、その全てが屍人に成り得る材料でもあります。

 様々な思いは死んですぐに魂の一番定着しやすいモノに定着し、大よそは〝死んですぐの自分の屍〟に定着するのが通例です。


 しかし、ごく稀に〝子供〟の体に定着する場合があるのです。


 生命を守る身体の器が未発達で、揺らぎある発展途上の心を棲み処とする。

 幼ければ幼い程に定着率は高く、元の人格が残る確率が少なくなる――不慮の事故。

 墓守や魔女の一族には多く見受けられる現象でもある為、生まれた子供にはまじないが丁寧に施されます。

 もちろん、例外もありますから一概には言えませんが――憑りつかれて一週間を超過した場合、魂が定着して子供の身体は完全に屍人に変わり果てます。


「少なくとも、あの少女には生まれた時に施されるまじないを感じることは出来ませんでしたし、屍人特有の〝彼岸花の如く赤い瞳〟でした」


 それに、テンションも異様でしたし、金貨はよく見ると金メッキの加工が施されていた銅貨でしたし、外的要素でも違和感は数多かったのです。


「なので、あのお薬を使えば〝魂にへばり付く屍人(グール)の魂単体を吸い取る〟ことで、万能融解液はエリクサーとなり、彼女は本来の魂だけになるので元通り、ほら――万時解決です」


 フェンリル君はようやく理解できたのでしょう、ゆっくりと逆立つ毛は落ち着きを取り戻していきますが、


「でもよ、意識が屍人持っていかれているとは言え、

 お母さんに当たる人が〝死霊使い〟だったら……なんてリスクもあっただろうし、

 結局エリクサー自体は完成しちまっているんじゃ、

 結果的に人間界のバランスは崩れるじゃねぇか」


 まだ納得はいかないようです。

 確かにそれも一理あります。

〝死霊使い〟とは、ゾンビや屍人等の冥界に落ちるべき御霊を操る術を会得する者達、彼らが操っていたのなら不可能ではないでしょう。


「相手が冥界を侮辱する者なら、

 それこそフェンリル君が察知しているでしょうし、

 出来上がったエリクサーは〝亡き者の魂〟を吸い取っているので、

 完成しても本来の効力は一切発揮できません。

 それに魔女の世界では〝魂の性質〟を帯びた万能融解液が、

 一括りにエリクサーと呼ばれているだけですし。

 実物の成功例はないと思いますよ」


 これでも真面目なワンコさんですからね、彼は。

 ツッコまなくては、気が済まないのでしょう。


「どうしてそこまで言い切れるんだよ」


「亡き魂を得て不老不死に成れるなら、世界はとっくに神を超越していますよ」


 私は静かに微笑むと、フェンリル君の両脇を持ち上げてテーブルに下して優しく頭を撫でてあげました。




「それに私は〝万物を創造する〟――〝有限の魔女〟ですからね、

 自分の作ったモノには責任を持ちます」



 

 ――きっと、あの子には戻るべき場所がないから……、

 彷徨うことしか出来ないから、

 拠り所なんてないから、

「助けて」の一言が言えないから、

 彼女は私の元を訪ねたのだと、メモを見て信じてみたかったと言うのが本心です。

 

 なにしろ、言葉ではなくメモに言えない一言を綴っているなんて、反則です。

 死霊使いの魔力を感知出来た訳でもないですし、彼女に意思が存在したのかも、実は私自身は分からないのです。ただ直感的に、彼女を助けたい一心で、無邪気な彼女の笑顔に胸打たれての行動でした。

 そこに価値を求めたりはしません。

 そもそも命より価値の高いモノなんてないのです。

 命あっての物種とも言いますし。

 


 何より――人を助けることに価値を付与したくはありませんから。

 


 これは私……〝有限の魔女〟としてではなく、一人の〝ヒト〟として、

 魔女見習いさんの未来を見てみたいと思えてしまったから――。




(それに、昔の〝私〟を見ているようでしたから)




「なんだよそれ、まあいいわ。お前がそこまで言うのなら大丈夫なんだろう。

 ただし!

 今後変な薬の売り方すんなよ、例えば不等価交換とかな」


 さっきの勢いとは打って変わって、フェンリル君は私の身を案じるような(?)目で訴えかけてきます。

 ふむ、確かに――。


「確かにそうですね。では、以後注意します」


「以後じゃねぇよ、今から気を付けろよ――お前は優しすぎるから」


「なんですか、口説いているつもりですか?」


「違ぇよ、どういう思考回路をしたら、そんなお花畑みたいな思考に行き着けるのかさっぱりだ」


「あら、冷たい」


「馴れ合う気はないからな」


「居候が調子に乗るな?」


「……辛辣すぎね?」


「馴れ合うつもりはないのでしょう?」




 ――これが、私の日常。

 なんてことはない、他愛ない会話を無限に続け、

 彷徨い迷える人に手を差し伸べる〝有限の魔女〟の俗称を持つ――〝シャルロット〟の日常です。

 私のお店には、種別関係なく多くの人が訪れます。

 悩みは千差万別。

 単純明快なものもあれば、複雑怪奇で解答不可な難問もあります。

 





 ――して、次は悩みを持った人が現れるでしょうか?

 変哲もない魔女のお店は、今日も密かに開店しているのです。

 凡俗な会話を求めて、いつも通り。




     ◇◇◇




 あれから数日後、殺人事件の記事がめっきり載らなくなった頃。

 ――カランコロンと乾いた音がする。

「いらっしゃいませ」と奥の女性店主が、事務的な挨拶を述べます。

 非日常的な蒼い髪は、全てを呑み込む大海のようです。

 服は簡素なローブをきた女性店主こと、私――『シャルロット』はゆったりとした口調で、


「御要件は?」


 と端的に言葉を紡ぎます。

 すると、薄暗いお店の中を細かな歩幅で歩いてきます。

 様相は、フード付きのローブを纏い、金木犀を彷彿とさせる黄金色の目、栗色の髪の毛はふんわり、思わず抱き締めたくなります。

 明らかに表情が暗く、モジモジしながら近付いてくると、こういいました。







「――弟子に、してください」



如何だったでしょうか?

読んでいただいた方には分かると思いますが、こんな感じの内容です。

魔女と子犬と弟子が接客したり、日常生活を営む姿を書き記していく感じです!

癖の強い人って結構難しいなぁ~とか、可愛い子が出したいなぁ~と私が思うと出てきます(そりゃそうだ)

ゆっくりと書いているので、時たま内容がガクンとおかしくなっている場合もありますが、そこはこっそり指摘を頂けると私は感無量です。

ちなみに、今日の午後六時にもう一話投稿するので、どうぞよしなにしてやってください!

それではまた!

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