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パニック×親ですか!?

『なんで、こんな…』


ゴブリン!?なんで?俺ってばまさかの転生したらゴブリンになった件みたくなっちゃったってこと!?え、てことは俺強し?最強のゴブリンになったってこと?それともお約束みたくこの後どっかのお姫様が魔物に襲われててそれを助けてかくかくしかじかがあってロリから熟女までなんでもござれなハーレム展開☆とかあったりして!ってか見た目ゴブリンだから助けに行っても殺されるんじゃ…?てかこのボディさっき擦っただけでどっかの骨が折れたような音がしたんですが…?え、弱し?俺、よわよわのヨワ?マジで?え?でも…


俺が呆然と考え事をしている間に、気が付いたら夜になっていた。森は薄暗く、獣の鳴き声が辺りから響き渡っている。今だって…



「ぎゅおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」


「ぎゃるるるるるるるるるるるるるるる!!」


「コーーーン!!!」



…最後のは大丈夫か。



ってかやばい!!夜ってことは獣とか夜行性多そうだしこれから大量発生してエンカウントしちゃう感じ!?俺=ゴブリン→弱い→すぐに殺られる!?かつてない大ピンチだ!!!どうしよう!!?



ガサッ…




『ひぃえはぉうっ!!?』


なになになに!?なんの音!?今近くの茂みからガサッて音したよね?したよね?え、ちょっとまってまだ心の準備が…!!!





ガサガサッ…




『ひゅぅへっほい!』


気のせいじゃないよ!来ないで来ないで!あとで百円あげるから!!待って!!!



ガサガサガサッ…『坊や?』



『来ないでこないでなむあみだぶ…うおぅ?』



…坊や?



おそるおそる目を開けてみると、そこには両目に傷を負った一匹のゴブリンが立っていた。



『…だ、…だ…だだだっ…』



大ピーンチッ!!!!!!!!!



初めての魔物との遭遇にガタガタと震えていると、そのゴブリンは話し始めた。



『坊やー、そこにいるのー?』


坊や?坊やって誰だ!?いや、待て待て待て、なんでこのゴブリンの言葉がわかるんだ!?それよりもこの状況…


話す←

戦う

逃げる


って、いやいやいや!ちょっと落ち着こう俺の脳ミソ!!ヒッヒッフー、ヒッヒッフー!…よし!


考えろ考えろ。今、このゴブリンは坊やって言ってたな。つまり自分の子供を探してると推測しよう。そしてそのゴブリンの目の前には、体の小さい生まれて少ししたであろう子供のようなサイズのO☆R☆E!つまりこのゴブリンの言う坊やとは…


『ああ!坊や、もうだめじゃない。ちゃんと巣で待っていないと。探してしまったわ』


ぎゅっと抱きしめられた。…やっぱり、坊や=…俺?


まじかああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!

このひ…と?っていうかこのゴブリンが俺の母!?ママン!?マミーなのか!?


『さあ坊や、巣に帰りましょう?お父さんが待ってるわ』


ゴブリン(おそらく母)はそう言い、ひょいっと俺を抱き上げた。…力つよいですね。




森をしばらく歩き続けると、微かだが見覚えのある景色が広がってきた。おそらく最初にいたところ…?に着いたのだろう。俺はゆっくりと腕から降りようとすると、強い視線を感じた。嫌な予感がしつつゆっくりとその方向をみてみると、サイズは母ゴブリンよりも少し大きいくらいの、ガッチリムチムチの筋肉ゴブリンがいた。近くにボロボロの斧が刺さった兎っぽい動物の死体があることから、狩りをしていたんだろう。そしてバチっと俺と視線があうなり、そいつは指を俺に向けながら唾を飛ばす勢いで怒鳴り始めた。


『おい!!なんだこいつは!!!』


うおっ、びっくりした。急な怒鳴り声って結構怖くて嫌いなんだよな。


『誰って…私達の坊やではありませんか』


母ゴブリンはオロオロしながら腕から降りようと中途半端な位置で止まっていた俺を抱え直した。私達の坊やっていうことは、こいつが俺の父さ…呼びたくないな。俺の父さんは前世?の父さんだけだし、うん。俺の父さんは超絶美形の父さん一人だけだ。もちろん家族もな。



『お前は見えないから知らないと思うが、こいつの姿形は我らよりも他の子供達よりもひと周りも小さく、すぐに死んでしまいそうなほど貧弱ではないか!』


うん。まぁ、実際に弱いと思う。布でちょっと強めに擦っただけでやばかったし。


『それに、我らゴブリン一族の誇るべき鼻が無いではないか!!』


いえ、ありますよー。ちっさいけど…。ってか、ゴブリンって鼻が誇る部分だったのか。確かに、この二人?二匹?は鼻がすごい長いけど…。


『え、鼻が!?…そんなの私の坊やではないわ!』


って、…いてえぇえぇええええ!!


突然、母ゴブリンがその腕から俺を地面へと放り投げた。あの優しそうな雰囲気から一転、今はまるで親の敵が目の前にいるような険しい顔をして俺に対し威嚇している。地面へと落ちた際に打ったお尻をさすっていると、父ゴブリンが兎(仮)の死体に刺さっていた斧を抜きこちらへと近づいてきた。


『こんな出来損ない、ゴブリンのボスである俺の息子なんかではない!せめてもの情けだ!俺が殺してやる!!』


えぇえぇええええ!マジか!?父ゴブリンがゴブリン達のボス!?てか待ってお尻が痛くて立ち上がるの厳しいんですけど!!俺ほんとのほんとうに大ピンチ!?


そして近づいてきた父ゴブリンが握りしめた少し血のついた斧を、俺に向けて降り下ろした。


『うおっ!?』


…ヤバイ。今避けなかったら、確実に死んでいた。俺が先ほどまでいた場所には斧が地面に深々と突き刺さっている。どこかで、父ゴブリンは本気で俺を殺すつもりはないと思っていた。だが、違う。本気だ。本気なんだ。たとえ血の繋がった子供だろうと、本気で俺を殺しにきている。逃げなければ、殺される。


どこにそんな力が残っていたのか、俺はあえて父ゴブリンの方に向かい走り出した。そして体の小ささを生かし、地面に刺さっている斧を抜こうとしていた父ゴブリンの股下を通り抜け、俺はがむしゃらに走り出した。


『待て!逃げるな出来損ない!殺す!絶対に絶対に殺してやるからな!逃げるなあああぁぁぁああああ!!』


そう言われて止まるやつなんていない!怖くて足が震えている。でも、一瞬でも止まったら殺される。死にたくない。俺は死にたくないんだ!


そして俺は後ろを振り返ることなく、暗い森のなかをあてもなく走り続けた。



***



はぁっ…はぁ……に、逃げきったか…。あー、疲れた。もう一歩も歩けない。


俺が今いるのは、とても綺麗な大きい泉の傍だ。月の光が水面に反射し、キラキラと幻想的に輝いている。


『キレーだなー』


この景色を見ているとまるで、さっきまでの出来事が嘘のような気がする。水面を見つめしばらく凪いだ気持ちでいるとガサッ、と後ろから草が擦れる音がした。


っ…今度はなんだ?まさか、追いつかれたのか?嘘だろ、どんだけしつこいんだよ。やべーよ。今俺動けな…。



ガサガサガサッ…ぽてんっ。



…ん?ぽてん?なんの音だ?


その音が気になった俺はおそるおそるゆっくりと慎重に、しかし動くのがきついので転がりながら移動し、草木の隙間から音のした方を除き混む。するとそこには、ボロボロで倒れている小さな子供がいた。

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