限界
僕はヤクザや芸能人、有名な会社の社長などとも仲良くなっていた。その人たちと交流するために学校に休んでいたりしたので、久しぶりの学校になる。不思議なことに昔のようには騒がれなかった。クラスに入って挨拶をしても返事もしてくれない。おかしい、あれだけ仲がよかったのに。アプリを起動して、みんなの親密度を見てみると星は0だった。しばらく会わないと親密度は変動するのか。そう思い、もう一度星をつけようとしたが、星はつけることができなかった。一度つけた人にはもう一度はつけられないってことか…。仕方ない、学校では一人でいるか。どうせ僕には他にもたくさん友達いるし。学校はとてもつまらない。もう帰ろう。学校から出てからすぐに僕は何者かにさらわれた。目を覚ましたら目隠しをされていて、手足は縛られていた。恐怖でおかしくなりそうだ。「だ、誰かいないのか?」「こちらの質問だけに答えろ。山口組の山崎と知り合いか?」「状況を説明してくれ!どういうことなんだ!」その瞬間腹に強烈な痛みを感じた。はっという空気だけが口から漏れた。「こちらの質問だけに答えろといっただろ?どうなんだ?」「…はい、知り合いです。」「あいつはどこにいる?」「知らないです。」パキッそんな音がして僕の右手の小指に激痛が走った。「あぁぁぁぁ!」「嘘はよくないなぁ、本当は知っているんだろ?」「本当に知らないんです…」次は左手の小指の骨が折られた。「教えるんだ。」「知らない、勘弁してください…」僕はそれから色々と拷問をされた。爪を剥がれたり、ナイフで肉を落とされたりした。最終的にはしゃべることもできないくらい叫んでしまい声が出なくなった。「本当に知らないみたいだな。今日はもうしゃべる気力もなさそうだし、今日はこれくらいにしといてやる。」そういって、そいつの足音はだんだん小さくなった。その日は眠りにはつけなかった。とても長く苦しかった。今は何時なんだ、いつあいつはくるんだ?というような恐怖で押し潰されそうになった。それからしばらくして足音が聞こえた。もう嫌だ、助けてくれ…。そう心の中で叫ぶしかなかった。「おはよう、今日は質問を変えようと思う。バタフライ計画について知っているな」バタフライ計画、山崎さんからよく聞いた。大きな麻薬取引で組の存亡がかかるほどとか。「はい、知っています。」がらがらに枯れた声でそういった。「取引て交換された薬がどこにあるのか、知らないか?」知るわけがない。そもそも山崎さんに最後にあったのは1週間前だ。取引は確かその2日後に行われると聞いた。だが、ふと気づいた。あのアプリを使って、こいつを仲間にすれば…。「知りません。でも、山崎さんの場所はわかります。」「なんで昨日言わなかった?」「昨日は混乱していて頭が働かなかったんです。」「どうするんだ?」「僕の携帯を貸してください。」「はぁ?なんで?」「アプリで山崎の場所が分かるからです。」「わかった、持ってこよう。もしわからなかった場合は分かってるな?」「はい。」僕はやっと解放されると思った。あのアプリが僕を助けてくれる。「持って来たぞ。」「目隠しと手の縄を外してください。」「わかった。」携帯を立ち上げて、絶望した。…アプリが消えている。