ターニングポイント
「え?そんなことがありえるんですか?」僕は期待をせずにそう言った。なぜなら僕自身を変えれば友達は簡単にできるというような答えだと思ったからだ。僕自身を変えることができるなら僕はそれをやっている。人はそう簡単に変われるとは思わない。高校デビューだとか大学デビューだとかいうけれど、いつかは素の自分が出てしまって関係に綻びが出たりするし、なにより自分が楽しくないのでは?と思ってしまうからだ。僕もそう思いながらも友達がほしいという矛盾があるのだが。「ありえる!だって私が今実践してるのだから。君は今私と話していて楽しいと思ったかい?」「はい、思いましたけど、それとなにが関係あるんですか?」「それはね、私が開発したアプリ【DISTANCE】というアプリの効果が関係してるんだ。このアプリはね、人と人との関係を近づけることができるんだよ。実際に私と話していて楽しいと思ったのはこのアプリのおかげだよ。そしてこのアプリを君にインストールしてほしいんだ。」僕は理解が追い付いていなかった。このアプリのおかげで関係が縮まっている?そんな風には思えない。だけど、これが本当であったなら使うより他はない。「分かりました。インストールだけなら…」そうして僕はこのアプリをインストールした。「おっと、もうこんな時間か。そろそろ仕事に戻らないと。それでは、財布拾ってくれてありがとう。」そういって彼はお金だけ置いて行ってしまった。とりあえず僕も時間は潰せたし、家に帰ることにした。その夜、そのアプリを起動した。画面には「あなたの世界が広がるアプリ、DISTANCEへようこそ!」と書いてあった。なんとも胡散臭い。何か変なことが起きたらアンインストールしようと思った。startというところをタッチして初めてみることにした。そこには一切の説明はなく、半径5キロくらいにいるかもしれない人たちの場所がGoo⚪leマップのような地図に表示されているだけだった。「なんだこれ?」つい、独り言が出るくらい意味が分からなかった。眠気がピークだったので明日の学校の時にでも考えるかと思い、明日の準備をして眠りについた。