1-5 お手伝い
今日から更新再開します!
7歳になった!
そんな僕は現在母と次に旅に向かう冒険者の為に荷造りの手伝いをしている。
僕たちが今住んでるドモール国西部は国境線の上に険しい山脈がいくつも存在している。
しかも途切れないで…
どれぐらい厳しいのかと言うと標高2500m級の山が30個も並んでいるのだ。
ただ並んでいるだけじゃない。
谷は深く、道は細く、
天気はすぐに変わり、
霧は何日も晴れないこともある。
そしてこの世界は最悪な事にこの山ですら難易度中ぐらいに値するのだ。
山脈の17個目、フリットン山には一応冒険者協会が山の一部を壊して
馬車が横に並んでも数台通れる道を作ったらしいんだけど通過するのに最短でも11日かかるからかなり遠回りしてるのが分かる。
僕が暮らしているのは山脈の4つ目の山アルド山が一番近い位置にある。
アルド山は比較的に標高は低いんだけど崖とかの危険な部分が結構ある。
だから今こうやって母と荷造りしてる。
「予備の地図はそこにいれて!
信号弾射出装置は私がやっとくから!」
「は~い」
こんな感じで今は次にアルド山の調査に向かう冒険者の為に準備をしてる。
「マッチ、非常、……短剣、コンパス、予備の地図
……よし!
基本装備は揃ってるわね
後はブレン国の管理人がやってくれるでしょう!」
テーブルの上には、規則正しく並べられた装備一式。
その横に、鈍く光る軽複合型鎧が置かれていた。
僕はその鎧に目を奪われる。
「これ……重そうだね」
そう言うと、母は少し笑った。
「見た目ほど重くないわよ。
内部に補助魔法が常時展開されてるからね」
母は鎧の胸部に手を当てて説明してくれる。
「ヘイスト、スピードアップ、五感強化。
あとは衝撃吸収と体温調整もある」
「へぇ……」
正直、ただの金属の塊にしか見えないのに、中身はとんでもない。
しかもそれを着て、あの崖や谷を越えていくのだ。
……やっぱり冒険者ってすごい。
すると、外からガラガラと音が聞こえてきた。
窓の外を見ると、紋章の入った車両が数台、補給拠点の前に止まっている。
「来たわね」
母が呟く。
「あれが移動用の魔道車?」
「ええ。都市間の移動は基本あれ。今回はアルド山だから、途中まで魔道加速小車を使って、山に入ったら徒歩ね」
僕は外に出て、近くでその車を見る。
大きな車体の側面には部隊の紋章。
車輪は普通のものよりも分厚く、車体の後方には魔力炉のような装置がついている。
「これであの山の近くまで行くんだ……」
その時、隊員たちが次々と集まってきた。
軽複合型鎧を装着し、腰には短剣、背中には荷物。
顔はどこか引き締まっていて、これから行く場所の厳しさを知っている人の顔だった。
「管理人、補給物資の確認をお願いします」
一人の男性隊員が母に声をかける。
母は即座に仕事の顔になる。
「はい、こちらが今回の補給一式です。予備地図は二部、信号弾は三本、食料は予定より一日分多めに入れてあります」
「助かります」
隊員は短く礼を言い、荷物を受け取る。
その様子を、僕は少し離れた場所から見ていた。
すると、その隊員がふと僕に気付く。
「君がライズ君か?」
「え、あ、はい」
急に話しかけられて少しびっくりする。
「将来は冒険者になるのか?」
その問いに、少しだけ迷った。
……正直、怖い。
山の話も、魔物の話も、失敗した隊の話も、何度も聞いている。
でも――
「……なりたいです」
そう答えると、隊員は少しだけ笑った。
「いい目をしてる。だが覚えておけ」
彼は一歩近づき、真剣な声で言う。
「冒険は、楽しいだけじゃない。帰ってくるまでが任務だ」
その言葉は、どこか重かった。
母がよく言う言葉と同じだったからだ。
――撤退も勇気。
――生きて帰ることが最優先。
だけど、この人の言い方は少し違った。
まるで「帰れない奴もいる」と言っているみたいで。
「……はい」
僕は小さく頷いた。
隊員はそれ以上何も言わず、背を向けて車へと向かう。
やがて全員が乗り込み、魔道車の後部の魔力炉が低く唸り始めた。
ゴォォォン……という音とともに、車体がゆっくりと前進する。
砂埃が舞い、やがて隊は山へと向かって進んでいった。
その背中を、僕と母はしばらく黙って見送る。
「……帰ってくるかな」
思わず、口からこぼれた。
母は少しだけ目を細めて、遠くを見ながら答える。
「帰ってくるわ」
「でも……山って危ないんでしょ?」
「ええ、危ないわよ。アルド山でも普通に死ぬ。
なんなら先週も一般人が紅葉を楽しむ為に無謀な軽装備で入った結果
10人中7名死亡、2名の生存、1名は行方不明
この一年でも死亡者は100を超え行方不明も30人を超える。」
さらっと、とんでもないことを言う。
「じゃあなんで……」




