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39話 選択を誤ちとしてはいけません。



 え?ジュンがいない?なんで!

 いや、いつからいなくなった!?


 姿もわからない強敵を前にすでに俺の緊張は最高潮なのにこんな状況で追い打ちをかけるかの様なジュンの失踪。

 

 だめだ落ち着け、焦るな。


 そう自分に言い聞かせるが体は意志とは裏腹にどんどん指先からは熱が奪われ自分の心臓の脈打つスピードが早くなっていくのを感じる。頭で色々考えているがその実ほぼ考えられていない。言葉にまとまらない。緊張と焦りでただ考えている風でいなければ正気を保てそうに無いのだ。



「ダレスのおっさん、トオルとモネを頼んだ。シノネの姉貴もすいませんがよろしくお願いします!」


 俺がまとまりもしない無意味な思考をしている最中にアオイはそれだけ言うと一人来た道の方へ飛び出していってしまった。



「ちょっ!待ちぃ!!っもう、ダレスはん!しっかり見張っとかなあかんやないの!これ以上はあかんで!」


「申し訳ございません!すぐ追いかけます!」


「何言うてんの!?それこそあかん!あの子らには悪いけど自力でどうにかして貰うしかあらへんよ!こっちも無事で済むかわからへんからね。」



 アオイの勝手な行動に対して二人の満月級冒険者が言い合いになってる最中、俺はただただダレスさんの後ろに隠れこの状況を必死に拒否していた。何も変わるわけないのに。


 何かの間違いだ…… …………………ル!?

 そうだこれはあれだ。   …………オ……ル?

 幻術か何かで本当はみんな居るんだよ。……トオ……!


 ――パシッ――

 

「トオル!!ねぇ!しっかりして!あの二人ならきっと大丈夫!1番それを知ってるのは私たちでしょ?ね?落ち着いて、大丈夫だから。今は目の前の敵に集中しなきゃ。」



 両方の頬に微かな痺れの様な痛みとモネの声で我に返るとすぐ目の前にモネの真剣な眼差しと目が合った。


 こんな近くにモネがいるのにも気づかないくらい心ここに在らず状態だったのか俺は。そうだな。

必ず世界樹の麓で会える!

 半ば強制的に自分の心を誤魔化し冷静を装った。



「ああ、ごめん、モネ!そうだよなきっと大丈夫だ。あの二人ならきっと無事に世界樹の麓に来る!」


「ええ!そうね!それより今は目の前の見えない敵をどうにかしないとだね。」



 そうだな。こっちに集中するにしても、どうもこの濃霧が厄介だな。まずこれをどうにかしないと。敵の姿も確認したいしな。


「あの!お二人さん!この霧なんとか出来ませんか?」


「すみません。私にはほんの少しだけしか取り除けないでしょう。それにすぐそこも戻ってしまいます。シノネさんで或いは……」


「はぁ、ほんまにウチが―エルフ族(シルヴァリアン)―で良かったわ。でも数分薄くするくらいが限度やからその間に倒し切らなあかんよ!」


「分かりました!頼みます!」


精霊の息吹(ノミアド・アメンプ)





 〜〜


 気づけば俺は走り出していた。

 後ろからシノネさんが何か大声を発しているがそんなことはどうでも良かった。頭で考えるより先に体が動いちまったんだから仕方がない。まぁいくなと言われても聞く気はねーけど。


 ジュンが一言も言わずいなくなるわけがない。なんかトラブルに巻き込まれたに違いない。

 そんなジュンを一人にしておけるか。

 しておけるわけがない。


 俺はこいつらを守るってアークヴェリアの門から出る時に誓ったんだ。誰一人欠けず必ず地球に帰るって。



 考えなしに飛び出しちまったけど、この濃霧じゃ足跡も見えねー。くそ、、闇雲に探してもこの迷宮じゃ…………


 ………………


 俺は心底バカだった。少し冷静になりゃ気づく。と言うかあんなに忠告されてたじゃねーか。くそ、

 

 ――一人になるな

 

 この言葉が印象に残りすぎて後は流れで覚えてしまってたぜ。

 俺は進んできた道をなるべく真っ直ぐ引き返してきた。

 まぁこの迷宮でそれが通じるのかは知らんが。


 でもシノネの姉貴が言っていた様に今俺の見ている方角に聳え立ってる世界樹。

 入口の方に引き返してきたのに。


「ほんと、薄気味悪りぃ森だな。」


 俺が流れで覚えていた気になっていた所。


 ――世界樹まで走れ。


 俺より何倍も頭がいいジュンなら一人になった時必ず冷静にそれをするはずだ。もしかしたら余計な一人行動をとったかもしれない。ジュンには助けなんか必要ないかもしれない。


 でも、それでも、

 助けに行かなくていいなんてことは考えちゃいけない。



「ジューーーン!!いるか!!返事しろ!」


 足元もろくに見えない森を世界樹を目印に真っ直ぐ走る。その間俺は呼び続けた。


「ジュン!いたら返……っ!ぐはっ」


 何かに横から勢いよく追突され、大型トラックに轢かれた時の様に吹っ飛んだ俺は数メートル先の木に強く打ち付けられた。


「ってぇ。こんな大声出してりゃそら寄ってくるか。にしてもなんだ、衝撃の強さからしてかなり大型なのは違いないが。」


 鎧があって良かった。衝撃に比べて体へのダメージはそれほどない。


 こんなやつ相手にしてる暇なんて無いってのに……


「グルルル……ジュ」


「獣の魔物か?にしてもあの突進……あの重量のやつが走ってきたら流石に気付きそうなもんだが……」


「グルルル……」

「グル…………スゥーー」


 なんだ?なんの音だ?鳴き声の他に何か別の音が聞こえる。


「スゥーー…………ン」


 その音が止んだのと同時に正面が真っ暗になり、瞬間全身に凄まじい衝撃と最初に食らった何倍もの身体ダメージが俺を襲った。


「ぐあぁ!……」

 

 や、やばい。見えなかった。回避できない攻撃を受けている。何をされてるんだ俺は。


 脳まで揺れて気持ちが悪い。平衡感覚も怪しいな。


「グルルル……ジュ」


「ハァ、ハァ……クソッタレ!お前なんかに……時間割けるほど暇じゃ無いんだよぉおお!!」



 俺はおそらく数メートル前にいる魔物に伝わるわけないのに吠えた。今現状出来ることがそれしかないのだ。


 そしてまたあのことが聞こえる。


「スゥ…………」


 

 

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