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フランメイル辺境伯領は東側に山脈を配した場所に位置しており、有名なのは宝石、果物、小麦、蕎麦である。
一年を通して涼しくはあるが、冬は豪雪地帯となる。その雪解け水が美味しい作物を育てているのだ。
「ん〜日本でいう山梨か長野って感じかな」
自領に海がないのは残念である。日本人だもの、刺し身とか食べたい!
因みに西の辺境伯領は鉄鉱石と芋が有名らしい。
芋いいな〜ジャガイモもサツマイモもバターで食べると最高なのよね。
フライドポテトにしても美味しい。
芋は女子のお友達だ。
カロリーに関しては相容れないが、芋好き女子は多い。
帰ったら今日のオヤツに作ろうかな⋯⋯フライドポテト。
世間ではマ●ク派だのケ●タ派だのあったが、アンナはSUB●AY派だ。
特にハーブソルトが大好きだった。
因みにバーガーはバ●キン派。
あのでかいバーガーをコーラで流すのが最高である。
(その内挑戦してみよっかな⋯⋯)
クラフトコーラは昔化学の実験で作ったことがあるが、この世界に炭酸水があるのかは分からない。
推し活しつつ、前世好きだったものを作りつつ、穏やかに過ごせればそれでいい。
あとは出来れば。
「葵衣のような友達が出来たらなぁ〜」
気が合って、趣味が合う。そんな友達なんてなかなかない。
ため息を吐いて外を見る。
引きこもりの5歳児⋯⋯うん、人生これからよね!もう少ししたら学校とかあるんだろうし!
そこで友達が出来れば御の字である。
貴族として〜とかもあるだろうし!
「まぁ、やれるだけやるよ⋯⋯」
折角この世界に生まれたんだから、取り敢えずは楽しんでみよう。
取り敢えずは推し活から♪
ガラガラと馬車は目的地へと向かう。
辺境伯の寄り子である貴族や、大商人などの住む居住区を抜けると、そこは庶民も利用するマーケット街である。
広い通りを抜け、マーケット街のシンボルでもある花の女神像の噴水を左に入って、少し走ったら目的の場所だ。
「お嬢様、お店に着きました」
外から侍女が扉を開けてくれる。
「ありがと」
タラップを降り、店の前に立つと、中から店主が出て来る。
「これは、フランメイルのお嬢様。いらっしゃいませ」
「こんにちは。ちょっと布を見せて下さいな」
「は、はい!どうぞ」
観音開きのドアを潜ると、そこは布の洪水だった。
「うわぁ⋯⋯」
色々な種類の布が所狭しと棚に並んでいる。
「どういったものをご所望でしょう?」
揉み手せんばかりの店主に、アンナはキッパリ告げる。
「取り敢えず赤い色の布を全部出して」
「ーーは?」
「聞こえなかった?赤い色の布を全て見せてと言ったのよ」
「え?あ、はい!ただいまお持ちします!」
一瞬呆けた店主がバタバタと動き出す。
店の者も総出で、店内の赤い布が一箇所に集まる。




