稽古風景 壱
この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称・事件等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
太刀掛の総本部道場は、静かな山の奥深く、大木のある古社の境内にひっそりと存在します。稽古は、早朝の澄んだ空気の中、日の出を待って始まります。
1. 静寂と礼節
稽古場は、古い木造の社殿の横にある、土が踏み固められた広場です。門下生は白い稽古着を身につけ、静かに一列に並んでいる。
全員で神社の本殿に向かって深く一礼し、太刀掛の教えへの感謝と、日々の鍛錬を通じて心を清める誓いを立てます。続いて、師範の号令で全員が目を閉じ、静かに黙想と呼吸法を行います。風が木々を揺らす音、鳥のさえずりだけが聞こえる中、各々が心の雑念を払い、稽古への集中を高めていきます。
2. 基本動作の反復:
黙想が終わると、「四海九天」の構えから基本動作の稽古が始まります。
師範の「構え」という短い号令で、全員が静かに構えを取ります。
「天地人、一!」
という声と共に、一斉に最小限の動きで体を捌き、相手の攻撃を避ける動作を繰り返します。
師範は一人ひとりの動きを厳しく見つめ、力の入りすぎや、重心の偏りを丁寧に指摘します。門下生は、ただ技を学ぶのではなく、「天人合一」という哲学を体で理解しようと努めます。
境内の中央には、樹齢数百年の大木があります。上級者は、その大木を相手に、「磐座」の型で重心を安定させる稽古をします。幹に体を預け、木の根のように大地と一体となる感覚を養うのです。
次回も稽古場面を描写していく。




