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第四十二話 翌朝





 ーーあのあと、色々と大変だった。




 私はベスリルとお父様が来てくれた安心で気が抜けてしまったのか、そのまま眠ってしまったらしい。

 眠ったというか、おそらく極度の緊張から解放されたことによる気絶だろう。

 全然記憶にないけれど……。


「ほんとに、心配したんだからね……!」

「ありがとう、ユウリ。でも、ほんとに大丈夫だから」


 涙目のユウリを宥めながら、色々と話を聞くことができた。


 私が気を失った後、ベスリル達は私を襲撃した女を探したらしい。

 が、取り逃してしまったとのこと。 

 残念ではあるが、今はまず屋敷の皆が無事だったことを喜びたい。


 おそらくは何者かから依頼を受けた暗殺者であろう、とヘイルは言っていたようだ。

 私としても、ヘイルの推測は当たっていると思う。

 あの襲撃者は『依頼』という単語を出していたからだ。


 そうなると依頼人が気になるところだが、当然そんなことがわかるはずもない。

 ……ただ、理由に関してはもしかすると、と思うことがあった。

 私がクロスとの婚約を発表したから、かもしれないと。


 ……でも、クロスとの婚約を発表したのは昨日の昼間のことだ。

 流石に昨日の昼にした発表から、その日の夜に暗殺者を仕向けるというのはテンポが良すぎる。

 暗殺計画自体は以前から計画されており、私の生誕祭に合わせて仕掛けてきた、と考えるのが妥当か。


 そうなると、ますます心当たりがない。

 ……いや、まあ。

 色々な人間から、こまごまとした恨みを買っている自覚はあるが。

 暗殺者を仕向けられるほどのこととなると、全く覚えがなかった。


 それと。


「カイは、なぜ私の部屋にいたのかしら……?」


 本当にマカロンのお礼をしに来て、タイミングを逃していたのだろうか。

 何にせよ、それほど親しくもない人間が部屋に潜んでいたのはまあまあ怖い。

 現状の暫定評価だと、私の人生で怖かった出来事ランキング二位といったところか。


 とはいえ、彼に命を救われたことも事実。

 できれば、改めて直接お礼を伝えたいが、


「なんか、マカロンのお礼だとか何とか……ヘイル様が尋問して、明け方には帰らせたみたいだよ。怪しい動きをしていたけど、アンを助けたのは事実みたいだし、特にお咎めは無かったって」

「そ、そうなんだ。まあ、また会った時にお礼を言えばいいかな……」


 ちょっと怖いので、できれば今度は人の目が多いところで会いたいところだ。

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