その10 第伍話 麻雀の仕組み
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第伍話 麻雀の仕組み
(麻雀の仕組みってどういうコト?)
(つまりさ、ハイテイ牌は鳴けないっていうルール。これをよく理解してるってこと。もしこのチーをしないとしたらどうなる?)
(エートぉ、ミズサキの手牌は【三四伍③⑤13555789】だったから③④⑤1234引きでテンパイよネ。切られてる枚数を無視すると7種24枚)
(そうだよね。4枚受けが3種で3枚受けが4種だから数えやすいね。3×4×2だからね。じゃあミズサキみたいに鳴いた場合はどうなる?)
(ンとね。鳴いたからツモ番飛ぶけどハイテイがもらえるから結局ツモ番1回でしょ? 三四伍③⑤35557は④3467の5種20枚。アレ? 4枚チャンス減ったヨ?)
(そうだね、だけどチーができるようになった)
(ソッカ! 上家の切りがハイテイ牌じゃなくなったから④46の3種12枚がチーでもいい!)
(なるほどそうか! そうなるとチャンスが8枚増えてるんだ。すごいな)
「チー」
打3
――流局――
「テンパイ」「テンパイ」
「テンパイ」「テンパイ」
ミズサキ手牌
三四伍③⑤55(チー657)(チー789)
「見事だな。さすがは麻雀伝道師」
「でも、全員テンパイじゃん。頑張ってテンパイとったのに1点ももらえないなんてトホホだよ」
「マコト。それはみんな同じ思いだよ。私だって少しくらい加点したかったよ。ずっと張ってたのにさ」
「おれなんか役役ホンイツトイトイのツモり三暗刻で倍満のテンパイさせたんだぞ。これが0点で終わりってのはむなしいぜ」
「そっか」
南3局一本場
一本場は逆に誰もテンパイが入らなかった。全員が全力で前進したがテンパイしない。結果。
「ノーテン」「ノーテン」
「ノーテン」「ノーテン」
マタイさんには普通にやればテンパイする手が来たが残り2局で普通にやっても仕方ないということで純チャン二盃口を目指したためのノーテンだった。さすが、遅番客No.1強者。スケールがでかい。
「ふ、私の強運もここまでか」
「だけど、飛んでないじゃん」
「まァね。オーラスまでお客様を遊ばせるという従業員の使命は全うしたつもり」
「そんな使命があったんだ」
「いや、ないと思う。ゲームの回転悪くなるし店としては良くない。けど、お客様からしたらどうかな。トップの人はいいけど二着三着は面白くないよね。まして店の人が飛んで終わっちゃったとあれば、しっかりしてよと思うかもしんない。だから私はオーラスまで飛ばないの。そう心がけて麻雀してる。飛ばないことも接客かなって」
「すげえ。そんなこと考えてたんだ。店の人ってすげえな」とマタイさんに褒められた。えへ、尊敬してるマタイさんに褒められた。嬉しいな。
とは言え、絶望的点差で決勝戦オーラスをむかえた。トップとの点差は51300点。無理なものは無理。それも麻雀だし、仕方ないよね。




