その9 第九話 カンのタイミング
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第九話 カンのタイミング
バラバラだった私の配牌はついにイーシャンテンまで辿り着いた。
東4局流れ一本場
ミズサキ手牌 北家 ドラ七
四六②③④555578中中
(ダイレクトに伍が埋まれば最高なんだけど……)
ツモ七
(ドラ!)
打四
そして次巡。ついにその時が来る!
ツモ中
ミズサキ手牌 北家 ドラ七
六七②③④555578中中 中ツモ
(長い交際期間だったね。まだぐちゃぐちゃの時に出会って。将来も不安で、自信を持てないでいたんだ。ふふ、なんてね。みんなお待たせ!)
「カン!」
それはさも『私たち結婚します!』と宣言するかのようなカンだった。新ドラは東。4枚目北が表示牌に出た。そんな所にいなくていいっつーの。
カンは手牌に対するプロポーズである。4枚目が来たからって準備もなしにいきなりカンしたらうまくいかない。告白のタイミング、準備、全て整えてからしなければ失敗のリスクが高くなる。
この手牌からならもう盤石。どうせ絶対に撤退しない形である。こうなれば告白していいだろう。
(さあ、リンシャン牌は――)
ツモ八
(ズコー。これじゃ結局あれじゃん。中とはサヨナラしなきゃだめなやつだ。でも、充分よ!)
「リーチ」
打中
ミズサキ手牌 北家 ドラ七 新ドラ東
六七八②③④78中中(5555)
(麻雀漫画の主人公ならここらで一発ツモして裏4枚とか乗るのがお決まりよね)と私は思った。なんなら4索の枚数を数えたりした。あと3枚あるな。しめしめ。でも、現実は――
一発目
ツモ中(4枚目)
(アホか! なんでそーなる)
すると次巡のツモでマタイさんが長考。珍しい。来るのか? 反撃か? やめてください、そういうのは。
「リーチ!」
(来たあァァァ。やめてって言ってんじゃん! 注:言ってない)
打9
「(あ、出た)ロン」
(リーチ赤ドラ……裏ドラは……)
一萬 二萬
(そんな都合良く乗らないよね。でも!)
「6400は6700の1枚」
「1枚は無いだろう。いまは競技大会中だぞ」
「あっ、ゴメン。そーでした。6700のタダで」
この大会は赤ありのルールにしてあるもののレートは一切乗せてない。子供たちも参加しやすいようにしてあるのだ。名誉だけを賭けて遅番の4人が決勝卓を囲むというのも面白い。
新ドラなんて乗らない。一発ツモなんかしない。裏ドラなんか1枚もない。それがリアルだよ。それどころか上級者のマタイさんから直撃とれただけでも僥倖って言えるよ。これこそがリアル麻雀。異世界に来といてリアルを語るのも可笑しいケドね!
とりあえず、この一局で私は減ってしまったギャラリーを取り戻した。うふふふ。やる気が漲って来るうぅ!!
「南入――」
起家の涼子がパチン、と起家マークをひっくり返す。
私のテンションが高くなった所で決勝戦は後半戦に突入した。




