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その3 第八話 カー子の正体

26.


第八話 カー子の正体


 私はあらかじめ買っていたカー子用の紙皿を出した。


「カー子も醤油とか使う?」

[欲しいデス。あと、レモン汁と大根おろしもネ]

「なっ、まだ出してないのになんでわかんの?」

[私は鼻が利くんですヨ。レモンと大根おろしがあるのはニオイでわかりマス。ちなみに本物のカラスは鼻が効きません]

「ね〜。くだんない話をテレパシーしないでくれないかな。脳に直接来るから変な感じするのに内容が私には極めてどーでもいいんだが」

[あっ、すみません。まあそのうち慣れますヨ]

「ちなみに私はもう慣れた」

[はやっ]

「でさ、りょうちゃんに来てもらったのはほかでもない。打ち明けたい秘密があったからなんだけど」

「その秘密。もう完全に理解したけどね」

[でしょうネ]

「そういうこと。まあいいや、とりあえず食べ終わってからにしよっか」



────

──


「「ごちそうさまー」」

[ふぅ、満腹デス]


「で、このカラスなんなの?」

「私にもわかんない。カー子ってなんなの?」

[私は神デス]

「「ああ!?」」

[ちょ、なんですか。怖いなモウ……]



「えっ、神とか言った?」

[言いましたネ]


「いや、冗談でしょ。カラスじゃん」

[これは借りてる身体です。飛べると監視する上で都合良かったノデ]


 監視? なんで私が神に監視されねばならないのか。


「なんで私を監視するのよ?」

[いいかなーと思っテ]

「何が」

[うちの店員としてちょうどいいかなーっテ]

「店……員?」

[私、こことは違う星。つまり地球人の言うところの『異世界』で麻雀店をやってまして。従業員不足で悩んでいたんでス]

「ちょ。待ってよ。異世界ファンタジーに雀荘は無いでしょ」

[いや、うちの異世界にはあるんデス。私が作ったノデ]


 その瞬間、ハハハハハハ!! と涼子が大笑いした。


「ハハハ! あーおかし。……ふー。なにそれ。結局麻雀の誘いなわけ? 神とか異世界とか出てきてわけわからんと思ったけど、麻雀の誘いなら納得ねー。マコト」


「いや、納得はいかないよ。なんで何日も監視してんのよ。ストーカーじゃん。エロじゃん。私基本的に部屋で一人だとノーブラなんだからさ。見ないでよね」


[ま、ま、私も女ですから。そのへんは許して下さいヨ]


「いや、許さん。神でも許さん」

「神を許さんとか、そんなんあんの」


 カー子が言うにはこういうことだった。

 こことは違う世界【マージ】には娯楽が存在しないという問題があった。この度の神選挙で神に選ばれた新米神様のカー子(の中身)は地球の娯楽を取り入れることにした。それが麻雀。専門家を呼んで麻雀荘を作ってみたがその専門家はレンタルスタッフであり、地球に帰す必要があるため知識だけ受け継いで自分たちでお店をがんばってみた。しかし、人気店となったので人手不足となる。

 麻雀店のスタッフとして優秀な人物を検索したら出てきた名前が『ミズサキマコト』だった──と。


「んなバカな」

[いや、間違いないんです。ただ、時代を間違えちゃっただけで。あと数年後には麻雀伝道師になり最優秀スタッフと呼ばれるのがミズサキマコトという人物なのですガ。チョット過去に来すぎちゃって。私、時空も超えられるんですが、タイムトラベルは上手ではないみたいで……また時空を移動するのモ微調整がメンドクサイから毎日見て成長したら連れてこうと思いまシテ]

「なるほどなー。って、そんな簡単に受け入れらんないけど。とりあえずわかった」

「や、わかったって、あんた異世界行くの? 仕事はどうすんのよ」

「時空超えれるんでしょ。つまり何日異世界に行ってようとまたこの時間に戻ることができるはず。そうよね?」

[さすが賢いデスネ。その通りデス]

「ほら、だから問題ないっしょ。りょうちゃんも一緒にどう?」

[人手不足ナノデ、来てくれたら嬉しいデス]

「えええー! 私もぉ!? なんか私たち2人は行くことによるメリットがあるんでしょうねえ? 知らない土地に仕事に行くのにメリットの提示無しなんてありえないわけだから」


[そうですね。向こうの世界は魔法が使えマス。魔法屋さんで売ってるので。その、お店で売ってる魔法で地球で使っても問題なさそうなヤツを1つ買ってあげます。どうですか?]


「……例えばどんな魔法があるの?」

[色々ありますよ、怪力になる魔法とか、転ばなくなる魔法とか。使用回数の制限もないし便利ですヨ]


 そう言ってカー子は空間からヒョイとメニュー表のようなものを取り出した。

[これが私が贔屓にしてるお店の魔法一覧です]


「……面白そう」

「よし、乗った!」








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