その3 第七話 とりあえず焼き肉
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第七話 とりあえず焼き肉
……さて。焼き肉の準備も整ったので涼子が来るまでしばらく寝よう。早く起き過ぎた、まだ眠い。遅番にとって朝と夜は真逆だ。今は昼の12時。つまり私の体内時計的には深夜0時と同じこと。ミッドナイトだ、眠いに決まってる。
「カー子。いる?」
……………………
(まだいないのか。ま、夕方になれば来るだろう)
涼子は何時に来てとか決めずに呼んだ。いつ来るかは分からないけど合い鍵渡してあるから勝手に開けてくれればいい。
(それまで寝よ)
カー子も夕方には来るでしょ。起きてると考え込んじゃうし、何より眠い時は寝るのが一番だ。
ZZZ
ZZ
Z
「カー! カー!」
「あ、カー子おはよ」
むくりと起き上がると肉の焼けるいいニオイがしてきた。
「あ、起きたのね。もう先に焼いてるよー」
「いや、りょうちゃん来てたなら起こしてよ。少し高い肉買ったんだからさ。一緒に焼き肉やらせてよ。カー子も、気ぃ使っていつまでも寝かせとくことないからね?」
「……ねえ、マコト。カラスに普通に話しかけるのちょっと変だから人前ではやらない方がいいよ」
そう言われて思い出した。そうだ、それについての話がしたくて今日は涼子を呼び出したんだった。
「うん、それなんだけどさ……」
ジューーーー
横から肉の焼ける音と美味しいに決まってるニオイがしてきて私の話を遮る。
「まあいいや、先に食べよう」
「お米は?」
「そこはぬかりない。『カトーのごはん』を大量に購入してある」
「良かった。マコトん家はパッと見て炊飯器ないから気になってたんだよね。いざとなったら酒屋にひとっ走り行ってきてビールでも買ってこようかと思ってた」
「不良! 不りょうこ! お酒は20歳になってからだよ?」
「18も20も変わんないって」
「たしかに……どっちも20符か」
そんな事を言いながら私はカトーのごはんをあたためた。電子レンジくらいならあるのよ。チンするごはんは一人暮らしを始めてから何度も買ってる。……そういや『チン』するって言葉って言葉だけ残ったよね。今の電子レンジ『チン』なんて音出さないじゃん。100%で『ピーッピーッ』だよね。
ピーッピーッ
よし、ごはん食べよ。本題はあとでいいや。
「よし食うか!」
「食う!」
「「いっただっきまーす!」」
[ねぇちょっと……私のことで集まったんでしょ? 放置しないで下さいよ]
「はっ? 何?? なんかいまアタマに直接話しかけられた感じしたんだけど? えっ、なにこれ」
「あー、ちゃんとりょうちゃんにも届いてんだ。一体どーゆー仕組みなのか分からんけど、今喋ってたのはカー子だよ」
「ハァ!?」
「なんか喋るのよアイツ」
[そう、なんか喋るんです。私]
カー子は窓の外からそう言っていた。
「…………よく分かんないけど。なら、入れてあげれば?」
「それもそうか」
[涼子さん優しい]
少女2人は部屋にカラスを上げる事にした。
「とりあえず、焼き肉にしよう」
「そうね」




