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その2 第六話 鳴きとは隙がない選択である

第六話 鳴きとは隙がない選択である


 私は最近気が付いた。青澤さんから直取りできるのって青澤さんがメンゼンの時だけだということに。


 よく聞く教えに鳴いたら降りるな、降りるなら鳴くな。というのがあるが本当にそれでいいのだろうか? また、鳴いたなら前に出て来たから放銃も期待できるという考えもあるがそれも本当に正しいだろうか?


 そもそも、それらの教えを言っていたのは共通して早番の時間帯に来るお客さんだったことに気付いた。本当に時間潰しという感じの趣味の雀士。ハッキリ言って私の方が強い。


 私は最近、むしろ鳴いたら隙が無くなってしまうものと思っている。


 鳴きとは、メンゼンだと出アガリ役が無くてリーチに頼らなければならない手にアガリ手段を与える行為。という見方もあり、リーチして無防備になる方針やツモにのみ頼るダマの方針を否定する選択で隙がない。

 しかも鳴きなら無理な牌を引いたら押さないでおさえることも出来るし、また、そこから復活するのも自由である。


 鳴いた=押してきた。チャンス! と考えるのは激甘で、むしろ鳴いたが最後。そこからアガリはもう見込めないとすら感じることもある。事実、青澤さんや店長が鳴くと(あ、もうこの局は直撃とれそうもないや)と思ってしまう私がいる。

 鳴き上手の鳴きは前進させる手段でありながら守備力の高い前進を選んだという証でもあり非常に隙が少ない戦略なのである。


 だからこそ麻雀には絞りが戦略として有効。相手の隙を作るために鳴かせないという考えもある。

 メンゼンこそ直撃を取れる機会であり、鳴かれたら降りられるものと思うべきなのかもしれない。


 その事を私はそのままノートに書いた。そして涼子にまた読んでもらった。すると


「へ〜。なるほどねー。一理ありそうだわ。実際アタシも青澤さんの鳴きって放銃してくんなくなるから嫌だなって思ってたし。この感覚は合ってるんじゃない? でもさ、アタシはマコトが鳴いても嫌じゃないな」

「うっ、それは私は鳴いてからでも放銃しちゃうし……。ほら、鳴いて降りるな。鳴いて降りる奴は下手! みたいなのをちょっと前まで信じてたから……。そんなん言うなら私だってりょうちゃん鳴いても嫌じゃないんだけど?」

「アタシは単純に鳴いてもアガリが多くないからね。放銃こそ減るかもだけど鳴きが下手だから鳴いた結果がアガリに結びついてない気がしてる」

「分かってんじゃん」

「ろくに分かってないわよ、それの対策が分からないんだから」

 ふたりして天を仰ぐと

「「麻雀、難しいねー……」」と同時に呟いてため息が出た。

 しかし、その時に私は気付いたことがあった。

 やる気なんてないないと言っていた涼子が近頃は真面目に強くなろうとし始めていたことに。


 何かが涼子の中で変わったのかもしれなかった。

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