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その2 第二話 あえての『流さず』

第二話 あえての『流さず』


 最近、涼子も麻雀が上手くなってきた。なんというか、細かい戦略を使うようになったように思う。これは間違いなく私や青澤さんの影響だろう。というのも、私達は近頃青澤さんの麻雀を研究しているのだ。だって、青澤さん強いんだもん。青澤さんとの対局で私達は勝ったためしがない。多分直接対決でまだ一度も青澤さんより上の順位を取ってないんじゃないだろうか。


 麻雀は強い人が勝つゲームだというのはわかっちゃいるけど、これ程だと思わなかった。間違いなく運の要素もあるゲームなのに、こんなに差が生まれるものだなんて。


 だって、青澤さんたらこの前だってこんな事したんだよ?!



 状況は南3局の北家で39900点持ち二着目。トップ目の下家との点差は700点。

そんな状況で青澤さんに来た配牌が9種だった。

※9種=9種9牌というもの。配牌時に使いづらい牌が9種類ある人は『9種9牌』と開示する事で現在の手牌を流して次の局へ進めるルールがある。

これはつまり「クズ牌多すぎ! この局やりたくない!」ということである。


(流しか。オーラス勝負だな)と見てる私は思ったのだが。なんと青澤さんは第1打を捨てるではないですか。


 なんで? と思った。青澤さんは9種あればすぐに流すタイプなのに。だがこれがの青澤さんの凄いとこ。

 彼は徹底してトップ目には絞り、テンパイを入れさせなかった。すると終盤になって。


「ツモ。1000.2000」


 そう、この『流さず』はラス回避争いをしてる三着四着にツモアガリをさせて親っ被りでの逆転を狙ったものだったのよ。


「どうせターゲットは下家だから絞り殺せるし、下位2人には二着捲るほどの実力はないから安心だしな」とのこと。生意気〜! でも、納得。


 オーラスもラス目が三着逆転アガリを決めて終了。青澤さんは見事、アガることなくトップ逆転をしたの。


 凄すぎない? なんていうか、発想が自由でとっても柔軟なんだよね。1つのやり方にとらわれないというか。いつも新しい答えを模索してるというか。


 青澤さん曰く、こんなやり方もある。あんな勝ち方もある。と様々な可能性を追求するのが本物の雀士なんだって。確率的に最もいいものを選び続けてれば勝てるなんてそんな簡単なゲームじゃないから、そもそも相手ひとり違うだけで正解が変わるのも麻雀の面白さなので、良さげに思える選択をいくつも考えておいて、ベスト手に頼り切りにしないのが万能の麻雀なんだって。難しいはずだわ。


「ねえ、りょうちゃん。麻雀って面白いね」

「……そうね。ベストを尽くすのも難しいのにベスト手だけではダメとか。そんな複雑なゲームは多分ほかにないからね。私にはお手上げだけど」

「一緒に強くなろーよ」

「まあ、できる限りね」


 あまり乗り気じゃない涼子を巻き込んで、私は今日も鍛錬する。


 プロの遊び人になることを目指して――


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