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第三話 癒しと護りの剣

エリーゼさんに続くようにナルサスも向かっていく。


エリーゼさんが真下に来るタイミングでうねうねと

動き回る足を両断していた。


ボスの視界は一気にナルサスの方へと向いた。


それが合図だったかのような連携でエリーゼさんの

強力な一撃が真下から突き上げたのだった。


そこを見過ごすナルサスではなかった。

畳み込むように一気に視界を狙う。


頭を落としたいところだったが、ナルサスの刀身で

は魔力がこもっていないので切れ味もさほどないの

だ。


「ナルサスッ!イケるから、頭ごと落とせぇぇー」


いきなりの神崎の声にはっとして剣を握る手に力を

込めた。


そして、切った足に飛び乗ると、一気に切り付けた

のだった。


手応えが…ある!


肉を切り裂いた感触が手に伝わってきた。

ナルサスの剣は安物で、エリーゼのようなワザモノ

ではない。


すぐに刃こぼれしてしまい何度か買い替えている。

エリーゼのように属性を付与出来たらもっといいの

だろうけど、ナルサスには魔法の才能はなかった。


王族に産まれた者は誰しも何かの属性に秀でている

ものだったが、ナルサスにはそれがなかった。


戦いに負けた際に、王族は皆殺されたときく。


だが、何故かナルサスだけは生かされたのだ。

奴隷という身分に落とされ辱めを受けていた。


それが、今ではどうだろう。

誰よりも、強く。

魔法が使えなくとも卑下される事なく、頼られて

いるのだ。


信頼を裏切りたくない。

このまだ若い主が信じて側においてくれる限り、

どこまでだって上り詰められる気がしたのだった。


ズシィィィーーーーンッ


と大きな音がして頭と胴が崩れ落ちると、動かな

くなった。

終わったことを確認するとエリーゼさんが神崎を

呼ぶ。


「カナデーーー!おいで」


その声にシールドを解くとボスの死体を回収した

のだった。


あとは奥にある宝箱の中身を確認するだけだ。


初めてのダンジョン製覇者という称号が目の前に

現れると宝箱の中から『星の雫』のカケラが出て

きたのだった。

緑に輝くその宝石は神崎の手の上で光り輝いてい

たのだった。


「これって前のダンジョンで出てきたやつと一緒

 だよね?」


アイテムボックスから取り出すといきなり光りだ

すと、くっついてしまった。


「えっ…あ…どうしよう」


神崎は咄嗟にエリーゼさんの方を振り返ったのだ

った。


「カナデ、それはそもそも一つの石だったんだ。

 いつしか12個に別れてしまったが、集めると

 12色に輝く奇跡の石になると言われているん

 だ」

「そうだったんですね…」


神崎はホッとすると残りのものを取り出した。

底には鉄壁の指輪と一振りの剣が入っていた。


「これは…」


鑑定すると神崎には装備不可となっていた。


『清き心で他者を思いやれる者が扱えば何物で

 も切れる刃となる。同時に大事な人を護る事

 を誓った人を癒す刃にもなろう』


書かれていることは分からないが、要は鋭くも、

安全な武器と言うことだろうか?


「これは、ナルサスに持っててもらおうかな。

 エリーゼさんには愛剣があるし、最近ナルサス

 って剣を何本も買ってたでしょう?」

「ですが…俺が頂いてもいいのでしょうか…」


ちらりとエリーゼの方を見たが、反対するつもり

などなさそうだった。


「俺じゃ使えないし、ナルサス。もらってよ」


神崎の言葉に嬉しそうに受けとったのだった。


「さぁ、そろそろ時間も迫ってるし帰ろうか?」

「そうしましょう」

「ですね」


ボス部屋の奥に転移陣が書かれていた。

どこに出るのか分からない…陣に乗るより元来

た道を戻った方がいいとエリーゼさんからの進

言で、移動バフをかけて走り抜けたのだった。


外に出ると、丁度満ち潮の影響で海水の高さが

迫って来ていたのだった。

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