第二十五話 冒険者ギルド
長野の横に戻ってくると上島は残念そうに寝転
がった。
「終わったのか?」
「仁、起きてたのか?」
「まぁ〜な。」
「おとなしくねーガキはダメだな。それにこの
世界の人間は死んだらこんなカードになっち
まったんだよ」
そう言ってさっきの少女のカードを渡した。
「これは?」
「知らね〜けどよ。死んだら死体が消えてこんな
もんになったんだよ。これじゃ〜ヤれねーだろ
…チェッ…」
「ふ〜ん。俺らは死んでも死体は残るが、こっち
では残らねぇのか……」
長野の口角が上がるのを見ると、上島はすぐに横
に寝転がって眠る事にしたのだった。
朝になると、客の数が減っていると騒ぎがあった。
だが、定刻になっても帰ってこない事から、馬車
は目的の場所へと出発したのだった。
この世界の住民は、あまり他人に関心がないのか、
自分が一番大事らしい。
居なくなったから捜索するのかと思いきや、先を
急ぐ事を選んだようだった。
「薄情な奴が多いんだな〜」
「竜、黙ってろ」
「へいへい……早くあの女騎士に会いたいな〜」
上島は昨日ヤれなかった鬱憤を早く晴らしたいら
しい。
王都では城からお金が貰えたし、娼館へ入り浸っ
ていた。
そのせいか若い身体は、刺激を求めてやまないの
だった。
時間はかかったものの、ルイーズ領に到着した。
ギルドに寄ると、パーティーメンバー募集に記入
してから指名でエリーゼ達の事を書き足したのだ
った。
「すいません。エリーゼ様は誰ともパーティーを
組む事はないと思いますよ?」
受付けの女性が言うと、そこに何人かの冒険者が
入って来た。
「おい、受付けだけしてればいいんだ。下手な口
出しすんなよ?俺たちはものすげー強いんだよ。
そのエリーゼって女騎士と一緒に組んでやるっ
て言ってんだ。話通してくれればそれでいいん
だって言ってんだろ?」
「悪いのですが、エリーゼ様はそもそも冒険者で
はないのです。地方騎士で、カナデ様の護衛で
冒険者として活動しているだけなので」
「カナデ?それは横のひょろっちい男の事か?顔
だけだろ?」
「いえ、もう一人のお若い方です。まだ成人前で
すが…」
上島が反応すると、銀髪の少女を思い出す。
「そのカナデって子はどこに行けば会えるんだ?」
「あの……それはお教えできかねます。まだ幼いの
で…」
問題を起こしそうな人に教える事はできなかった。
長野達は今日は一旦引くと宿屋の位置を聞くと一旦
引き下がる事にした。
明日は、エリーゼ達が来る日だった。
受付嬢は朝早くに来るのを知っているので、鉢合わせ
にならなければいいと願うばかりであった。




