第二十三話 乗り合い馬車
その頃、同じく城を出た長野達は、王都の南に位置
するルイーズ領を目指していた。
そこには、元最強の冒険者が今も活動していると噂
がされており、少し前に王都にあるギルドにもその
時のパーティーメンバーの絵姿が貼られていた。
未踏のダンジョン攻略か!
そんな見出しだった。
人数はたった3人。
それも、少女のような可憐な見た目の少女と。
美しい女騎士。
見た目綺麗なだけの細い身体付きの男が載ってい
た。
「あんな貧弱な男、俺たちが入れば必要ないだろ
!なぁ?」
「勿論!仁と俺がいれば、感謝されて、毎晩楽し
めそうだぜ」
「お前は少女でいいよな?」
「ちょっと、仁。俺もあの女騎士とやってみたい
っすよ」
「はははっ、冗談だ。好きにすればいい。それよ
りも、前に幼女とやってみたいって言ってなか
ったか?」
「あぁ、それなら……」
そういうと、こっそりと耳打ちした。
娼館に幼い幼女もいたという。
実際には数百年を生きた種族らしい。
見た目は幼女だったが、ドワーフだったせいか、
中身はしっかりしていたという。
「あの子も?」
「いや、人間だそうだ。だから、多分見た目通り
だと思うぞ」
長野に言われ、上島は少し期待していた。
銀髪の少女がどんな風に泣くのか?
まだ、誰にも犯されていないのなら、楽しみがい
があると下卑た笑みを浮かべると、楽しみで仕方
なかった。
乗り合い馬車のせいか、混雑していてずっとぎゅ
うぎゅう詰めだった。
途中で一人降りたが、まだ狭い。
「もっと、広くできないのか?」
「こんなぎゅうぎゅうでよくも金取るよな〜、俺
たちは荷物かなんかか?」
「お客さん、みんな同じなんだから、わがまま言
わないで下さいよ。文句言ってるのはお宅だけ
ですぜ」
目の前の客があからさまに嫌味をいう。
「もうすぐ休憩さね、仲良くおしよ」
向かいのおばさんも声を荒げた。
だんだんイライラが募る。
「こっちだって好きで載ってるんじゃねーつぅ〜
の!」
「竜、少し黙ってろ」
「はいはい…」
すると、やっと広い場所に出た。
目の前に川が流れていて、ここで休憩らしい。
日も暮れて来たので、ここで野宿だと言う。
「マジかよ!野宿って…」
「お前ら、煩いぞ!いい加減我慢を覚えろ!痛い
目にあいたいのか?」
さっきの男の連れだろうか?
喧嘩をふっかけて来た。
その横にはまだ幼い少女がいる。
「俺に言うなよ……」
「ってか、あんたもその子を味見したのか?少女
の体はどうだったんだ?」
「お前らのような外道と一緒にするな!娘の前で
あんな話をしやがって……」
父親のようだった。
上島の話に嫌気がさしたのだろう。
「なんだ?やんのか?」
「おい、いい加減にしておけ。」
「へいへい、あんた命拾いしたなっ!」
長野に止められると、上島はおとなしく引き下が
った。
だが、父親の方は怒りが収まったようには見えな
かった。
「なぁ〜、仁。あのままでいいのか?」
「やるなら夜にしろ。今は目立つ……」
「あぁ、なるほど。なら、いっそあの子供を…」
「勝手にしろ。ただし、見つかるなよ」
「へいへい。」
そうして寝静まるまでおとなしくしていたのだっ
た。




