第五話 この世界の原則
まだ城に残っていた長野達3人は毎日のように娼館
へと足繁く通っていたのだった。
たまたま夏美の話が出てイラついている時に、反抗
的な態度のクラスメイトを見つけた。
彼らにはそんな程度だった。
「おい、来るのか?来ないのか?」
「……嫌だっ、お前らは弘前を殺したんだろう?だ
ったら……、ついていったら僕も殺すんだろう…」
「ほう……あいつにも友達がいたのか?神崎だけか
と思ったが違ってたんだな…… 神崎も来たらよか
ったのになぁ〜?俺らのストレス解消の的にはな
ったのにな?」
「だよな〜、あの生意気な弘前の目の前で溺死させ
てもいいし、いっそ時間をかけて痛めつけてから
ポーションで何度も回復させてやっても面白かっ
たよな〜」
「いやいや、そこは形がなくなるまで全身の骨を折
ってやるのも良いだろう?」
「ちげーね〜」
人を人とも思っていないような、こんな奴らがのう
のうと生きられる世の中は間違っている。
それも、なぜか戦闘向きの職があてがわれた事も、
おかしいと思う。
「ここだと目立つだろう?ついて来いっていって
んだろ」
「嫌だって言ってる!」
日比野は初めて反抗したのだった。
そして通りかかった騎士を見つけると駆け寄って
いく。
「すいません!助けてくださいっ」
「チィ、あの野蛮人か……」
騎士の人たちも気に入らなかったらしい。
日比野を庇うように後ろへと隠してくれた。
「さぁ、行きなさい」
「はい、ありがとうございます」
日比野はその場を後にし、走り出した。
後ろでは大きな音がこだまして来たが、振り向く勇
気はなかった。
本当なら賢者の隠し部屋へと行きたかった。
だが今はそんな気分にはなれなかったのだった。
部屋に戻ると、食事まで引きこもる。
長野達は食堂には来ないので、安心して行けるの
だった。
弘前はローブを深く被り、実験室へと戻って来て
いた。
最近ではよく昔の夢を見る。
まだ神崎と一緒にいた時の夢だ。
気があって、いつも帰りにゲームの話や自分が夢
の中では賢者の弟子として活躍している話をした。
そんなくだらない夢の話にもちゃんと聞いてくれ
ていた神崎。
今はもういないが、懐かしく思う。
「もうすぐ会えるね……神崎くん」
培養液の中で育っていく赤子を眺めながら声をか
けた。
培養液の中なら食事も要らない。
ただ、この液体には栄養を与えなければならなか
った。
そして、同時に賢者の石を作る事だった。
この身体は外気に触れると干からびて崩れてしま
う。
動き回るにはどうしても賢者の石が必要不可欠だ
ったのだ。
魔物を倒すと魔石がドロップするように、この世界
では人間はカード化されている。
盗賊などは捕まえるのではなく、殺してカード化し
てギルドに突き出す。
それが捕まえた証拠になる。
カードは死なないと他人が手にできない。
そう言うものだった。




