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第八話 持久戦

どんなに大きな扉でもボス前の扉は押せば勝手に開

いていく。


別に力なんて必要ない。


出来る事なら、神崎だけを外において戦いたいとこ

ろではあった。

が、そうもいかない。


なぜならば、神崎のバフは同じパーティーにしか効

かない上に距離が離れたり、へだたりがあると途切

れてしまうからだった。


だから常に見える位置にいてもらう必要があった。


「奏、シールド張れるか?シールド張って隅にいて

 くれ絶対に俺が護るからな…」

「うん、分かった」


自分の周りに薄い障壁を張る。


エリーゼが言うには最大の攻撃を当ててもびくとも

しなかったのだという。


エリーゼの攻撃を受け切れるのなら、大丈夫だろう。

ナルサスは目の前の敵に集中できると言うものだっ

た。


重ねがけされるバフに驚くほど冷静になっていく。


溢れ出す力はあきらかに異常だった。

薄暗いはずの部屋の中が、明るく見える。


実際は暗視機能が付与されただけなのだが、いつも

の視界にそんな機能が加われば、多少薄暗くても昼

間のように明るく見通せるのだった。


魔物の位置も体温がある限りはっきりと見える。


「本当にこんな力があれば……国が滅びる事もなか

 ったのにな」


もっと早く出会っていれば。

もっと早く、彼を手に入れる事ができていたならば、

奴隷などにされずに済んだはずだった。


奴隷にされたのは王族だったからだろう。


これほど悔やまれる事はなかった。

が、今はそれより大事な事があった。


無事に目の前の主人を連れて帰る事だった。


「奏、じっとしててくれよ。俺がこいつを倒して

 帰るまではなっ!」


一気に地面を蹴ると予想以上に跳躍した。

視界は良好。

そして、目の前まであっという間に辿りつく脚力も。


本当にこの力を誰かになんて渡したくない。

普通になんてもう、戻れないではないか?


一気に断ち切る様に剣を振り下ろした。


大きな巨体は一瞬沈んだが、硬いのか切断できずに、

すぐに腕を振り回すと正面から叩きつけられたのだっ

た。


壁にめり込むナルサスを見て、神崎の叫び声が響く。


ナルサス自身、少し油断したと思う。

が。全く痛みはない。


鎧の周りに光る幕が張られ、それがダメージを吸収し

たらしい。


「無傷かよ…ははっ……持久戦と行こうか!」


再び走り出したのを見て、ホッとした神崎が再びバフ

を重ねてかけたのだった。

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