表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/319

第五話 仲間の犠牲

ダンジョンの中はジメジメしていて、何処からこんなに

湿気が出ているのかは不思議だった。


至るところにドロっとした物体がこびりついている。


「これって水だよな?」

「ん〜〜〜?」


壁にくっついている水の塊を見ると、どうやって水が壁に

ひっついているのかが不思議だった。


「焼くか?」

「剥がせば剥がれるんじゃね?」


先頭を歩く長野が言うと、夏美の横にいた女子が剣を抜く

くと壁に差し込んだ。


こじるように剥がそうとすると、一気にするっと手応えが

無くなったのだった。


そして、ヌルンッと剣を飲み込むとそのまま頭からすっぽ

りと覆ったのだった。


いきなりの動きに驚き暴れるが、一向に離れない。


剣で切りつけるわけにもいかず、短剣を握ったが、女子の

顔に傷をつけてもいいものかと悩む。


「ちょっと、仁!助けてよ!」

「それは……焼けばいいのか?火力調整できないぞ?」

「いいから、早く!死んじゃうじゃん!」


夏美に言われるがままに魔法を使う。


一気に炎が身体を包むと悶えるようにして丸こげになって

しまった。


動かなくなった友人を眺めて夏美は呆然としていた。


頭部を覆ったのはスライムという魔物だった。

核を壊すか、火で焼き切るのが撃退方法だった。


このメンバーの中には回復を使える者はいない。

回復用ポーションを数本渡されはしたが、ここで使う気に

はなれなかった。


「ポーション使えば助かったかも……」

「それは無理だな……ポーションは戦闘時に使うべきだ。

 それに自分の不注意で死んだのは自業自得だろ?」

「そんな言い方……」

「嫌だったら別行動するか?」


長野の言葉に反論を唱える者はいなかった。


そのあと、先に進むにつれてすばしっこい魔物が出て来る。


きのこのような見た目のコロコロしたモノが向かって来

ていた。


「おい、戦闘準備!」

「おう!まかせろ!」


手のひらサイズの小さなきのこ。

それが飛び跳ねるようにぴょんぴょんと向かって来た。


小さなきのこという見た目から、油断していた。


槍で貫くと、いきなりプシュ〜と胞子を出して来た。


「なっ……なんだよッ……これっ」


胞子を浴びた生徒は視界が真っ白になって何も見えなく

なった。

そのうちに、ペチョンぺチョンと近づく音に、恐怖を感

じたのだろう。


思いっきり武器を振り回したのだった。


横にいる仲間のことなど全く考えずに…。


その瞬間、何かを切った感触が手に伝わる。

後ろについて来ていた生徒達は自分たちの手で、仲間達

に攻撃をしていた。


先頭の3人は魔法を駆使して黙らせると、江口は思いっ

きり胞子が出る前に遠くへと蹴り飛ばした。


「こんなもんか……」

「後ろ大惨事じゃね?」

「そうだな……でも、これって俺たちのせいじゃねー

 だろ?」

「そういえばさー、あいつらがいなくなったら食糧分

 ける必要なくねーか?」

「確かにな……夏美、リュック取ってこいよ」

「えー、あたしがいくの?」


文句を言いながらも、無茶苦茶に武器を振り回している

仲間の横を素通りして荷物を回収したのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ