表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
319/319

第四十七話 指輪

ギルドの報酬はちゃんと当分に分けている。

食費はこそから差し引いてはいるが、それでも

一緒にダンジョンに行って、狩りをした分は、

きっちり分けてきた。


最初は投資として武器と防具は買い与えた。

が、次からは、ちゃんと自分の稼ぎから買うよ

うにさせた。


だから、奴隷と言ってもナルサス達は自分の財

布をしっかり持っていた。


「何か買いたい物でもあるの?」

「えぇ、ちょっと欲しい物があるんです」

「そっか、一人がいい?それとも俺がついてい

 ってもいいのかな?」


神崎はたまに奴隷を一人で買い物に行かせる事

があった。

それは、自分の欲しいものを主人の前では買い

にくいかもしれないという配慮だった。


だが、ナルサスだけは違っていた。


いつも一緒にいるせいで、あまり自分の物を買

っているところを見た事がない。


最初の奴隷とあってか、衣服も防具も神崎が買

い与えてしまっていた。

つい、似合うと思うと、買っていた。


これにはエリーゼからも呆れられた事もあった。


「珍しいよね〜ナルサスが欲しい物があるなん

 てさぁ〜」

「奏と一緒に買いに行きたくて……この先です」

「ふ〜ん、この先ね……」


角を曲がる、まっすぐに行くと見えてきたのは

宝石店だった。


装飾品などの細かな細工物に煌びやかな小物

まだ数揃えている高級店だった。


「ナルサスもこう言う物が欲しかったの?言っ

 てくれれば……」

「そうじゃなくて、俺は……」


店に入ると真っ直ぐと進んでいく。

そして立ち止まった場所はエンゲージリングの

コーナーだった。


「奏、こっちに」

「……?」

「結婚指輪が欲しいんです」

「……!?」


いきなり店員さんに聞くと、すぐに出してくれ

た。

神崎の手を握ると、指のサイズを測りそれに合

わせて削り出す。


シンプルだけど、薬指にピッタリと合うリング

をチョイスすると、お揃いのを二つ買ったのだ

った。


「これって……」

「はい、俺の気持ちです。受け取ってくれます

 か?」


まるでプロポーズみたいだった。

いや、みたいではない。これはナルサスからの

プロポーズなのだ。


「……///////」

「……奏?」


こんなの、断れるわけがない。

永遠を誓うリングに恥じない自分でありたいと

思う。


「はい……」

「よかった……愛してるよ、奏」


年の離れた恋人は、男である自分を選んでくれ

たようだった。


いつまでも子供のままではいられない。

この気持ちはきっと、変わらない。


奴隷と主人という繋がりがなくてもきっと、今

のように言ってくれる。

そう思うと神崎は居ても立っても居られなかっ

た。


「ナルサス……行こう!」

「奏…?」


今度はちゃんとしよう。

神崎の気持ちも分かって貰おうと奴隷商人の元

へと向かったのだった。


そして……


「奴隷紋を消してください。俺は…ナルサスと

 結婚するんです。」

「奴隷紋を消すのは金額が嵩みますがいいんで 

 すか?」

「大丈夫です。お金はあるので…」


血の契約なので少し時間がかかった。

が、無事消す事ができたのだった。


「これでナルサスは自由だよ。それでも俺を選

 んでくれる?」


改めて聞いてみる。

結婚はどちらも同じ立場でするものだと思う。

だから、身分も同じにした。


「ナルサス?」

「もちろんですよ。俺はこの命ある限り、奏の

 側から離れるつもりはありませんから……」


そう言うと唇にキスをする。


恥ずかしかったけど、幸せな気持ちになった。

指にはまったリングを眺める度に暖かい気持ちが

込み上げてきた。


「ナルサス…俺、絶対にナルサスを幸せにするね」

「えぇ、奏を世界で一番の幸せ者にするのは俺の

 仕事ですから」


抱き上げられると、帰りの馬車に乗せられた。

馬車の中では終始抱きしめられ、心臓が飛び出る

かと思うくらいに鼓動が速くなっていた。


家の前にはエリーゼが待っていたが、二人の指に

はまったリングを見て、旅立ちに反対はしなかっ

たのだった。


これからの物語は、まだ見ぬ冒険の連続だろう。

でも、きっとどんな冒険も楽しいだろう。


だって隣には大好きな人がいて、大事な仲間が

いてくれるのだから……。



        ーENDー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ