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第三十話 精霊魔法

魔法の属性は、1属性に決める。

それは常に一般的な考え方だった。


昨日までは密かに風属性の魔法でスピードを維持

して来た。

そのことを気づいていたのは弘前くらいだろう。


だが、ここには有名な魔術師も来ているらしい。

そうなればすぐに気づかれるだろう。


火力と圧倒的な強さを誇るなら火属性に絞るのが

いいのだろうが、神崎の戦い方はそこまで派手で

はないし、むしろ剣も得意ではない。


相手の動きを封じる方が得意といえば得意だ。


「水属性かな……」

「そうだね、その方がいいかもしれないね」

「うん、相手を拘束するのはこっちのがいいしね」


弘前にも賛同されると、水属性のみで戦うように

務める。


もちろん、非常時には別の属性も使うが、基本的

には…という事だ。


会場は中央に大きな石で出来たリングが作ってあ

り、そこに続々と人が入っていく。


全部でリングは3つに分かれており、同時にやる

らしかった。


いい事なのか、残念な事なのか。

弘前と神崎は別のリーグに分かれてしまった。


入口で引いたクジの場所へいくと、先ほど会った

男性がいた。


「よかった。君とは別のリーグみたいだね」

「よかった?」

「うん、まだ君とは戦いたくないからね」

「そうですか?でも、最終には戦うのでは?」

「うん、でも、今じゃない気がしてね」

「その子も連れて行くんですか?…」


何に気なしに聞いた言葉に男は怪訝な顔を向けた。


「その子?」


神崎のその返答には疑問を抱く。


「えっ…後ろに隠れている赤髪の子供がいる…

 よね?」

「あぁ……君は見えるのか……それは残念だ」

「見える?」

「精霊だよ、俺は精霊の加護を受けているんだ。

 奥の手だったんだけどな」


実に残念そうに頭を掻いた。


昨日はその力を使わなかったという事らしい。

実に不思議な男だった。


彼、ブレイズは弘前と同じリーグに配置されて

いた。


多分一瞬で決めるつもりだろう。

弘前の周りの魔力の流れが一気に膨れ上がったの

だった。


試合は3つのリーグで同時に始まった。

各リーグ内にいる人数が5名以下になったらそこ

で終了。

そこまではバトルロワイヤル形式で行われる。


誰と誰が組んでもOK。

ただし、最後に残って勝ち抜けるのはたった5人。


ここだけ組むのか、それとも実力で行くのかは個

人の自由だ。


『では、始まりのゴングがまもなく鳴り響きます』


大きな拡声器を使った声が聞こえると、その後に

ドラの音が響き渡ったのだった。


神崎の周りにいた男達の視線が一斉に振り向くと

何も示し合わせていなかったはずだが、神崎だけ

に向かって来ていた。


「なるほど……邪魔な新参者はさっさと退場させ

 ようって事か……その手には乗らないけどね」


一つのリング内に一気に水蒸気が広がると視界が

遮られる。


目が見えなくても魔力の動きでどこにいるかは理

解できる。


冷気が足元を通ると地面が凍りついた。


「おい、誰だよっ!こんなんじゃ視界が…ぐっ!」

「広がれ!げほっ…」

「何なんだよ……これじゃ試合どころじゃ…ゴンッ」


次々に倒れる音が聞こえてくる。


魔力を遮断出来る者がいればよかったのだろう。

だが、肉弾戦を得意とする猛者ばかりで、魔力を高

めたせいですぐに気絶させられたのだった。


水蒸気が薄れて視界が見えるようになった時には、

リングの中で立っているのは神崎だけになっていた。


『おぉーーっと、どうした事か!第一リーグ通過は

 たった一人だぁーーー』


終わって隣のリングを見ると、予想外な事態になっ

ていたのだった。


ブレイズと言う男以外、誰もいなかったのだった。

弘前も……いない。


一体何があったのか。


視界を遮っていた時も、気にはなっていた。

隣のリーグにいた人間が一気に消えた様に感じた

からだ。


一気に魔力が消えたのだ。


ブレイズは機嫌が良さそうに観客に手を振っている。

横にはあの少年がしがみついている。

赤髪の少年は神崎をみると憶えるようにして、それ

でも必死に睨んできてた。



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