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第十四話 偶然の出会い

ギルドでは朝から人が溢れ、依頼書は人気のある

ものから取られていった。


「ここは活気があっていいな〜」

「康介。適当なのでいいだろう?」

「もう、神崎くんはっ。せっかくだから討伐依頼

 のが美味しいでしょ?」

「それは……」


魔石を食べる神崎奏には、討伐依頼はありがたか

った。


討伐部位だけでいいので、魔石を食べても問題な

いからだった。

ギルド内では契約獣とて、魔物には変わりない為

腕に抱えたまま依頼書を見ていた。


「あ、これなんかどう?」

「いいよ、なんでも……」


神崎は興味なさそうに周りをキョロキョロ見てい

た。


「何かあったの?」

「いや……なんでもない」


気になるのはこの街に入ってから、身体の奥がゾ

ワゾワっとするのだ。

言葉では説明しづらい事のせいか、弘前には何も

話してはいなかった。


そこに今話題のパーティーがドアから入って来た

のだった。


騎士のエリーゼが久しぶりにギルドに顔を出した

せいか、受付嬢がこぞって依頼書を差し出してい

る。


「あの人は?」

「あぁ、噂の騎士エリーゼだな。なんでも魔剣の

 使い手で王都の貴族どもがこぞって自分の騎士

 にと言ったらしいが、誰にも靡かなかったらし

 い」

「騎士?冒険者じゃなくて?」

「そう、もう冒険者はやめたって聞いていたんだ

 が…」


弘前の情報ではとうの昔に引退したと聞いていた。


横には見た目のいい男が立っていた。

その横には獣人族の男と少女がいる。


そして、全くの部外者のように見えるが、パーティ

メンバーの少女?が立っていた。


「あの銀髪の子……」

「あぁ、だが魔力も少ないしレベルも…1ってまだ

 駆け出しのようだな」

「違う……あの子……」


急に胸騒ぎがする。

胸の石がざわつく。


「あの子……持ってる」

「持ってるって?」

「この胸の石がそこにあるって言ってるんだ」

「まさか持ち歩いてるって事か……なら好都合だ」


弘前はフードを深く被ると、ゆっくりと後ろから

近づいていく。


近づけばカバンの中身が透視してみえる。

そんな魔法を使った。


が、中身は弁当であって、星の雫は入ってはいな

かった。


だからと言って神崎が嘘を言うようには思えなか

ったのだった。


すると、横をするりと抜けると神崎は銀髪の少女?

に声をかけたのだった。


「ねぇ、ちょっといいかな?」


振り返ると、少女と目があった。

その瞬間、一瞬目を見開くと驚いたのか緊張が走

った。


「うそ……だろ……」

「あれ?……なんだろうこの感じ……」


二人とも目が離せなかった。

するとアイテムボックスに入っていたはずの3つの

カケラが重なってしまった石がいきなり飛び出して

来たのだった。


「え、なんでっ……」

「やっぱり、俺の中の石が反応したと思ったよ。

 もしよければ譲ってくれない?」


神崎の言葉に全く反応しない感じの少女?は石以上

に神崎の顔に驚いているようだった。

胸の石が反応するのはカケラがあるせい。


そう思っていたがそうではなかったらしい。



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