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第十三話 暖かい生活

いつものようにポーションを作る事に集中すると

真剣な顔つきになる。


一本一本が騎士達の命を救う事になるのだ。

少しも手を抜く事などできなかった。


そんな神崎を横で黙って見ているナルサスはとい

うと、微笑ましそうに眺めていた。


「ん〜〜〜〜っ!」


大きく背伸びをすると、今日の分を作り終えて眠

そうだった。


「終わったようですね、さぁ、寝ましょう」

「ふぇっ……ナルサス?」


急にふわって身体が浮くと、抱え上げられベッド

に横たえられたのだった。


訓練後で疲れているはずなのに、じっと神崎の作

業が終わるまで待って、ベッドに運ぶと、そのま

ま布団の中に潜り込んできた。


人の温もりは温かくてすぐに眠たくなっていった。


「おやすみ……」

「おやすみなさい、奏」


いつものように頭を撫でられるのが好きだった。

優しくポンポンと触れられるとドキリとしてしま

う。


男にときめいてどうするんだろう?


と考えを巡らすが、今は程よい疲れのせいかすぐ

に眠ってしまったのだった。


隣に人が居るというのがどれだけ安心出来るか。

それは神崎が一番よく知っていた。


誰もいない部屋に一人でいる事ほど寂しいものは

ない。


こちらにきて、ナルサスを買ってからというもの

一人になる事は無くなった気がする。


少しでも体調を崩そうものなら、すぐに気づき

布団の中に逆戻りさせられた。


過保護という言葉が非常によく出てくる気がする。

それでも、夜一人で寝るよりは、狭くとも横に誰

かがいるというのは安心できた。


たまに朝起きると、少し息苦しい時もあるが、ナ

ルサスの抱き枕になっている他は、至って平穏だ

った。


「うぅ………んっ………」


なぜか重い……。

こういう時は、大体が抱きしめられている場合が

多かった。


神崎が目を覚ますと、案の定抱きしめられるよう

な形になっていた。


モゾモゾと身動きするが、外れない。


身体を反転させると、間近でナルサスの顔を見た。

やっぱり整っているせいか男にしておくのは勿体

無いくらいに綺麗だった。


がっしりした身体は鍛えているせいだろう。

まつ毛も長いし、つい見惚れてしまうほどだった。


「もう起きていたんですか?」

「へっ……あ、うん…」

「あ、すいません。つい暖かかったので……」

「毎朝抱きつかれても、俺じゃつまらないだろう?」

「いえ、こんな可愛い主人なら俺は大歓迎ですっ!」


嬉しそうに言ってくるナルサスに神崎は離れるよう

に言ったのだった。


卵は貴重だった。

だが、大量にアイテムボックスに入れて持って来た

せいか朝からオムライスを作る事にした。


野菜の炒め物と、スープを加えると朝ごはんの出来

上がりだった。


「さぁ、ナルサス皆を呼んできてくれる?」

「いえ、もう匂いに釣られて来てますよ」


そういうと、いきなりドアが開きナラがクンクンっ

と鼻を鳴らした。


「今日も美味そうな匂いだな〜」


ケイヒードも鼻をひくつかせながら入って来た。

さすが獣人、人よりも匂いには敏感らしかった。

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