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第七話 ご褒美は御飯で

森の入り口までしか行かないので、そこまで強い

魔物と遭遇する事はなかった。


「この奥って熊も出るんだよね?」

「熊?それってグリズリーじゃないか?」

「それってどう違うの?」

「あぁ、知らねーのか?それはだな…」


ケイヒードが答えようとすると、割り入るように

ナルサスが説明を受け継いだ。


「熊は普通の動物ですが、グリズリーは見た目は

 似てますが、体長2mを超えるものが多く、赤

 茶色の毛並みに爪が発達していて、木など簡単

 に薙ぎ払えるくらいの力を持っているんです」

「それって出会ったら逃げるしかないの?」

「いえ、人数がいれば倒す事も可能ですよ?攻撃

 も通りますし…魔法は硬い毛皮で防がれるので、

 あまりダメージが入らない事が多いんです」


神崎は思い返してみると、初めてこの森の中で魔

物に襲われた時の事を思い出す。


あきらかに普通の熊ではなかった気がする。


毛皮もかなり高く買い取ってくれたし、やっぱり

アレは……


「普通は人里の側まで出てくる事はないので、そ

 んなに警戒しなくても大丈夫ですよ」

「うん。そうだね」


ダンジョンならともかく、街からそう離れていな

いし、森の入り口にまで出没する危険性はないと

聞くと、少し安堵した。


ここにはゴブリン、コボルトが多くいるという。

指定部位を切り取ると袋に詰める。


「次が来たぜ?」


ケイヒードの鼻と耳は正確だった。


奴隷なので、神崎には絶対服従なのが、気になる

ところだが、神崎自身は何かを命令するつもりな

どなかった。


仲間のような存在になりたい。

ただそれだけだった。


ナルサスのようにあまりに過保護になり過ぎても、

困るのだが…。


それでも、みんなが仲良くなってくれる事を一番

に願ってやまなかった。


「ケイヒードも、ナルサスもラナもお疲れ様。こ 

 のくらいにして街に戻ろうか?」

「俺はまだいけますけど、いいんですかい?」

「うん、もう十分だよ。今日はこのくらいにしよ

 う」


あまりに過酷な労働は決して効率がいいものでは

ない。

むしろ、非効率なのだ。


休息も、大事だという事だった。


魔石もたんまり取れたし、コボルトの毛皮も綺麗

に剥がされている。


もちろん、アイテムボックスに入れた時に最適な

剥ぎ方をしてくれているせいで買い取り価格は結

講高いのだった。


「いっそこのまま食事も行こうか?」

「ご飯っ!」


ラナはよだれが垂れそうなくらいに目を輝かせて

いた。

横のケイヒードは恥ずかしそうに横目で見るとナ

ルサスの引き攣る様子が見えた。


「まぁまぁ、みんなで食べて帰ろう?ナルサスも

 いいでしょ?」

「まぁ、奏がそういうなら……」


ナルサスは奏にはいつも甘い。

こうしてギルドに併設している酒場へときていた。


日も暮れてきて、冒険者達が次々と入ってくる。

あっという間に混雑してきてしまっていた。



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