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第二十九話 間違った知識

それから、王への謁見を経て、やっと旅立てるか

と思った矢先。

新たな問題が起きたのだった。


「う〜ん、困った事になったよ……」

「康介?どうかしたの?明日旅立つんじゃ……」

「それが、そうもいかなくてね。どうにも王様が

 頼みがあると言うんだ」

「頼み?簡単な事?」

「……そうならいいんだけどね…」


弘前が言うには、もうじき他国の使者がこの国を

訪問すると言う。

その目的は異世界人の確保と、見極めらしい。


先日護送されてきた河北朱美は個人にバフをかけ

る事の出来る支援職だった。


だが、意識はあるのに話す事は愚か、受け答えす

らできない。

ましてや自分の事すらわからない始末だという。


「それって賢者の康介に関係あるのか?」

「それがね…」


他国が満足する様な異世界人であって欲しいら

しいのだった。

すなわち、そう仕立て上げよと言うのだ。


やる気のない人ほど、邪魔でしかない。


強くなろうと思っている人でなくてはいくら教え

ても、身にならないのだ。


「直接戦闘させればいいんじゃないのか?」

「それも考えたけどね…あまりにスキルに依存し

 た戦い方しかしてこなかったみたいでね」


魔法職なら、常に魔法を打つことしか考えない。


普通避けて、走って魔法を撃つくらいはして欲し

い。

だが、避けもせず、ただ固定砲台の様に魔法を撃

つだけでは、魔物との戦いならヘイトを稼ぎすぎ

て狙われる事、必須だった。


「どうしてそんな戦い方になってるの?」

「指導官が、そう教えたんだろうね〜、そのせい

 で、恰好の的ができたってわけだよ。このまま

 他国へと渡しても、きっと役には立たないだろ

 う」


弘前の心配した通り、無駄なタンクを配置する事

になり、あまりに非効率的だったのだ。


だが、異世界人には不思議な力が宿っているとい

う噂すらあった。


だからかどこの国でも、召喚の儀が執り行われて

いたのだった。

ただ、成功したのは数百年ぶりの事らしかった。


「そもそも間違った召喚の儀式ってのに気づかな

 いんだよね〜」

「間違った?」

「そう!召喚する対象は異世界の人間なんだけど

 その座標と時代。そして生贄が必要なんだよ。

 まぁ、魔力なんだけどね」

「それって、ここの城の人は補えたって事だよね?」


神崎の質問に、少し言葉を濁すと、頷いた。


「そう……だね」


やり方は教えた…、座標は弘前が合わせた。

魔力は……神殿で祈りを捧げていた信者から十分

補充した。


密かに神殿の地下に作った魔力吸収の魔法陣は発

動しており、祈りを捧げにきた人間から少しずつ

吸収していたのだ。


それ以外にも、訓練場を使っている兵士、騎士か

らもいただいていた。


それを何年も繰り返し集めた分で今回召喚を行っ

たのだ。


先代賢者が寝込んでから、ずっと城にいたせいか

あらゆるものを勝手に変えてきたのは弘前ならで

はだろう。

それは、今も誰にも知られていない事実だった。



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