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第二十八話 旅立ち

弘前達はあと4つのカケラを探す為にも、そろそろ

おいとましようと考えていたのだった。


コンコンッとドアをノックする音がして、外から

声がかかる。


「神崎くん。今、いいかい?」

「康介?どうぞ〜」


中に入ってきたのは弘前だった。


「少しいいかな?」

「あぁ、どうかしたのか?」

「王都を出ようと思うんだけど、まだここに居た

 い?」


予想外の質問に神崎は首を横に振ったのだった。


「いや、俺も出て行こうって言おうと思ってたん

 だ。明日には行くか?」

「どうかな〜立場的に王族への挨拶があるから、

 そうだね、明日にしようかな」

「わかった。準備しておくよ」

「今度は南に向かおう。陸路だから馬車の準備も

 いるから長旅になるかもね」

「なら、俺が食料を調達しておくよ」

「わかったよ、ならこれを持って行って」


弘前から渡されたのは小さなカバンだった。


肩にかける程度のもので水筒くらいしか入らない

様に見えた。


中を開くと虹色の空間になっており、腕を突っ込

んでみても奥が広くてどこまででも続いているよ

うに思えた。



「これは……」

「マジックバッグだよ。僕が作ったものさっ。前

 奴よりは容量が大きくなってるから、便利にな 

 っているはずだよ。他にも中の物を浄化する機

 能もつけておいたから、入れるものが汚れた魔

 石でも、出すと綺麗になっているよ」

「凄い!これなら何を入れても大丈夫だな」

「いくらでもとはいえないよ。アイテムボックス

 と違って時間経過はゆっくりでも、劣化してし

 まうんだからね」

「おけおけ、でも、普通に運ぶよりは楽そうだな」

「まぁ〜ね。あげるよ」

「ありがとな。早速買い物行ってくるよ」


ユニコーンを連れて街へと向かった。


明日までにシチューを煮込んでバッグに入れるん

だと張り切って買い出しに行ったのだった。


一応護衛の様に小さなサイズでついていくユニコ

ーンは、神崎の作る飯に興味深々の様子だった。


「全く、主人といい、契約獣といい。常識が通用

 しないのは変わらないな……」


この世界での奴隷の立場や、身分の差を彼らは

理解しようとは思わなかった。


奴隷に落ちた時点で、もう人間ではないのだ。

ただの物として扱われる。


だから壊しても、何をしても罪にはならない。


それがこの国の法律だった。


「南に下ったら次は東の小さな島国に向かわ

 なきゃな」


弘前がポツリと述べた小さな島国には、黒目

黒髪の人間達が集まっているという。


そこはかつて異世界へと渡ってきた武士が中心

になって栄えた街があると言う。


剣と魔法の世界に置いて、そこだけが異物の様

な場所だと言う。


魔法が磁場によって使えないと噂されるほどだ

という。


まだ行ったことのない場所だけに、弘前は一人

では向かうのをためらったほどだった。


先代の賢者は昔に一度訪れた事があるといって

いた。

が、そこで大怪我をして以来、安易な気持ちで

いくつもりならやめなさいと、口を酸っぱくし

て言っていたほどだったのだ。

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