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第二十七話 生き残った異世界人

訓練場には10人ほどの異世界人である元クラスメ

イト達がいた。


昨日と違い、今日はただ素振りをしていただけだ

った。


全員が剣や槍などの接近武器のようだ。


「魔法職はいないんだね〜」


神崎の言葉に弘前は言葉を付け加えたのだった。


「今日は近距離武器の練習なんだろうね」

「魔法職は別って事?」

「それはそうだろう。魔法と剣じゃリーチが違い

 過ぎるからね〜。大きな魔法一発で殺せるのに

 剣士と対戦するのは愚の骨頂だろう?」

「それは……どっちも習えばいいんじゃない?」


神崎の言葉に、弘前は笑い出した。


魔法師は魔力に特化し、剣がからっきしでもやっ

ていけるほど強力な職種だった。


それに加え剣士はただガムシャラに剣を振り回す

事しか出来ない。

ましてや、剣など誰でも握れるのだ。


だからこそ、優劣をつけるなら、魔法職はエリー

トで、剣士が庶民と言ってもいいだろう。


「今って何人が残ってるんだ?」

「そういえば大分と数も減ったみたいだね。確か

 魔法職が7名、前衛の剣士が10名だったかな、

 あ、それとルイーズ領で保護されて護送されて

 いる子を合わせれば18名生きている事になるね」


弘前はまるで他人事のように言ったのだった。


「そっか……」

「何?その顔は…いっそ全員死んでくれてれば良か

 ったかな?」

「そんな事は言わねーけど……」

「……」


弘前には複雑な気分だった。


一応戦い方を教えた手前簡単に死んでもらては困る

が、生きている事で神崎の気分を害するくらいなら

全員殺してしまおうかとも思ってしまうのだ。


「いっそ朝には全員死んでてほしい?」

「違う……そう言うんじゃねーって……」


素振りをする元クラスメイトを眺めながらあてがわれ

た部屋へと戻って行ったのだった。


部屋では皿を綺麗にピカピアになるまで舐めたのかと

言うほど綺麗になった皿が置いてあった。

その横でユニコーンは満足そうにしていた。


「全部食べてくれたんだね」

『もちろんじゃ。残すのは勿体無いからのっ!しか

 しのう〜主の作ったものの方が美味かったぞ?』

「それはどーも。ここを出たら俺が作るよ」

『それは楽しみじゃ。いつ出るのじゃ?』

「それは……そうだね。ここにいる意味もないし、

 康介に言ってそろそろ出て行こうか」


あの虐められていた子は大丈夫だろうか?

少しばかり不安ではあったが、彼にはこの国の皇子

がついているのだから心配ないだろう。


きっと悪い様にはしないだろう。

側から見ていても仲が良さそうに見えたからだ。


かつての自分達の様に……。

弘前と神崎もかつては仲が良かった。

気が合うと言うのもそうだが、弘前の突拍子もない

話が好きだった。


まるでおとぎ話の様な、そんな世界。

今の異世界にいる様な話だったからだ。


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