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第六話 永遠の命

敵対して、攻撃して来た人を殺す分には仕方がな

い。

そう思える様になった。

殺さなければ殺される世界なのだと…。


しかし、無抵抗の人間を殺していい理由にはなら

ない。


しかも、殺気すらなく、無害そうに見える人間を。


「なぜ殺したのかが、聞きたい?」

「……」


弘前に聞かれ、ゆっくりと頷いたのだった。


「この世界では人は死ねばこうなる」


地面に落ちている一枚のカードを見せた。

さっき襲って来たエルフの精鋭達のものだろう。


「カード?」

「そう、これが死体なんだ」


少し焼けこげたカードを眺めるとそこには生き

てきた時の功績が書かれていた。


そして、弘前は自分のステータスを見せた。


そこには赤い文字で『エフルの虐殺者』と書か

れており、下には多くの事項が書き連ねるられ

ていた。


『獣人族の虐殺者』獣人族を1千万人以上殺す。

『人間族の虐殺者』国を壊滅させ1万人を殺す。

………


「これは…一体……」

「神崎くんのその石を作る為に、犠牲になった

 人達だよ。さっきの様に生きたまま石の養分

 になれば石の中で永遠に生きていられるんだ」

「それは……」


それは流石にやっていい事とは思えなかった。

だが、それを言っても仕方がない。

もう、神崎の身体に埋め込まれてしまっている

のだから。


それを返したとて、死んだ者が帰ってくるわけ

ではないのだ。


「これ以上は……」

「生きている命を貰わなければ、維持できない

 のは分かってるよね?」

「……そこまでして生きてる意味ってあるのか

 な?」

「ある。あるに決まっている!この世界の人間

 が全員死滅しても、神崎くんさえ生きていれ

 ばそれでいい」


極端な考えだが、弘前にとっての神崎の価値が

それほどまでに高いという事だった。


「でも……魔石を食べればそれだけでも魔力は

 補えるんでしょ?」

「えぇ、ですが……毎日動く為のエネルギーと

 魔法を使うエネルギー分を補うとなると最低

 でも毎日500gの魔石を摂取してもらう事に

 なるかな…それか、もしくは……」

「他にも方法があるの?」

「無くはないよ。今集めているカケラを石にす

 る事だよ。星の雫。これには膨大な魔力以外

 にも奇跡を起こす力があると言われているん

 だ」


この世界の人には探す事のできない石なのだ。


異世界から持ち込まれた奇跡の石と昔の伝承で

はあった。


願いの叶う石。

奇跡の石。

賢者の石。


どれも呼ばれ方は違えど、実際にあるかもわか

らない代物だった。


そう、弘前が夢で見ていた時は、伝説の石とさ

れていたのだ。

先代の賢者さえも見た事がないと言っていた。

書物でしか見聞きしないものだった。


だが、確かにあるのだと断言していた。


その理由が王城の地下に眠っているという話が

残っていたからだった。


昔に召喚されし勇者がダンジョンを始めてクリ

アした時に宝箱から出て来たとある。


それを知った時、弘前は身震いした。

自分がこの世界に召喚されれば、全部探し出し

て手に入れれるのに……。


そして、夢ではなく現実となった今、全部を集

める為に旅に出ている。


アルスラ帝国の宝物庫は賢者として何度も入っ

たが、見当たらなかった。


だが、今の神崎となら見つけられる。

それは神崎自身に融合されてしまった事で、石

同士が惹かれ合うせいでもあった。



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