第六話 マッピングスキル
ケイヒードはこっそり後ろから回り込むと、尻尾
にとりつき背中の鱗を伝って頭部へと走り出した。
神崎のシールドを壊す事に夢中だったせいか、身
体に取りつかれた事に気づくのが遅くなった。
すぐに振り払おうとした瞬間。
神崎の矢がもう一つの眼球へとヒットしたのだった。
「やったぁ〜!」
「これならイケる!」
ナルサスが飛び出すのと、エリーゼの攻撃が同時
だった。
上に乗って注意を引いたケイヒードはそのままし
がみつくと、振り落とされないように剣を鱗に突
き立てたのだった。
何度も剣を当てたせいか鱗が剥がれ落ちる。
そこを狙って何度も切りつけたのだった。
「ここにデカイの一発頼むぜ!」
「任せて!」
攻撃の蓄積のせいかしばらくスタンが入った。
その隙にラナの魔法が剥がれた鱗目掛けて貫い
ていたのだった。
エリーゼの魔剣が一気に色を変えて燃え盛る。
そして……太く項垂れた首を一刀両断にしたのだ
った。
力が抜ければ、切り落とすのに問題なかった。
硬いのは全身を覆っている鱗のせい。
首の付近の鱗との境目を狙えば問題なく切り落と
せるのだった。
もちろん、普通に切ろうとしても硬い鱗に弾かれ
て、反撃を喰らってしまうが、今のように注意を
逸らしてくれれば、問題なく攻撃が通るのだった。
「カナデ、回収できるかい?」
「はい、すぐにアイテムボックスに入れます」
最近はそばにいれば触らなくてもアイテムボック
スに入れる事ができるようになっていた。
「本当に便利ですね」
「そうだね。荷物を持たなくていいのがいいよね。
大事なものはしまって置けるし」
大きな身体の土龍はアイテムボックスの中で肉と
素材と、魔石に解体されたのだった。
奥の宝箱へはケイヒードとエリーゼが向かった。
「いいもんが出てくれよぉ〜」
「今回はマッピング情報もいるからな、この後は
、細かい通路も通ってから帰ろうか」
「それも値段のうちってか……」
「あぁ」
ケイヒードはたまにメモしていた理由が分かった
気がした。
マッピングには色々と方法がある。
直に通りながら書く方法と、覚書のように記号だ
けで暗号のような図式を書きながら行く方法だっ
た。
エリーゼのやっているのは後者だった。
そして、神崎は最近新しいスキルを獲得していた。
パーティーでの攻略が効いたのか、レベルは1のま
まであったが、パッシブスキルと言うものを手に
入れていた。
勝手に発動するので、スキルを使ったつもりは本
人にもない。
だが、頭の中で通った道は勝手にマッピングされ
るようになっていた。
「エリーゼさん、マッピングなら俺がやります」
「さっき通った道を覚えているのか?」
「はい、一度通った道は全部思い出せます」
神崎はさっきまでの道や、これまで行った事の
ある場所全部を頭で記録されており、後から書
き出すことも可能であると話した。
「それは便利だな。だが、それは人に言わない
方がいいな。知っているのはこのメンバーだ
けにしようか!」
「そうですね。奏なら簡単に攫えると思ってい
る人間は多いでしょうからね」
ナルサスも同意見だったらしい。
それからは、ケイヒードの背中におぶさるよう
に、ダンジョン内の道という道を駆け抜ける様
に制覇して行ったのだった。




